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【決定版】おすすめ30分コメディ海外ドラマ7選

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 以前、笑って癒される!おすすめ30分コメディ海外ドラマまとめという記事を書いたのですが、これが意外と多くの人に読んでいただけているようです。でも、この記事、コメディドラマを30作品以上ズラーッと一覧で紹介しているので、わかりにくいかもしれません。ということで、今回はより簡潔にするために、テイストの異なる7本のコメディ海外ドラマを厳選して、関連作品とともに紹介します。

 

 

画期的なモキュメンタリー形式『ジ・オフィス』

 21世紀のコメディドラマに最も大きな影響を与えたのが、イギリスのドラマ『ジ・オフィス』(Hulu, Amazon)です。普通の会社のオフィスで働く人々をモキュメンタリー(フェイクドキュメンタリー)形式で描いたこのドラマは、地味な設定なのにイギリス中で大ヒット。数年後にアメリカでリメイク(Hulu)され、こちらも全部で9シーズンも続き、大成功しました。

 

 ドラマの中では、登場人物がカメラに向かってインタビューに答える場面がたびたび出てきます。ここで、登場人物は他の人には言えない本音をぶちまけたりします。設定が妙にリアリティがあるので、彼らの秘密をひっそり聞いちゃったような気分になって楽しいです。このような形式は、後に多くのコメディドラマで踏襲されました。

 

関連作

 共同生活をするヴァンパイアたちのシュールな日常をドキュメンタリー形式で描いた『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』(Disney+)、公立小学校の教師たちの日々をドキュメンタリー形式で描く『アボット・エレメンタリー』(Disney+)もおすすめ。

 

最後のシットコム?『ビッグバン・セオリー』

 90年代には『フルハウス』や『フレンズ』などのシットコムが人気を集めましたが、2010年頃にアメリカで最も人気のあったシットコムは『ビッグバン・セオリー』(Hulu, U-NEXT)です。4人のオタク物理学者たちとアパートの隣の部屋に引っ越してきた美女との不器用な交流を描いています。全12シーズンで完結しました。

 

 最も人気を集めるキャラクターは、天才理論物理学者のシェルドン・クーパー。すべてを数学と物理の知識、そしてオタクパワーで解き明かそうとするものの、その奇妙なこだわりと行動には笑ってしまいます。スピンオフの『ヤング・シェルドン』(U-NEXT)は、現在も大ヒット放送中です。

 

関連作

 従来のアメリカのシットコムといえば、観客の笑い声(ラフトラック)が挿入されているのが一般的でした。しかし、現在では、ディズニーチャンネルなどのティーン向けコメディを除くと、ラフトラックを使ったコメディはほぼ絶滅しています。ということで、関連も何もありませんが、刑事たちの友情と恋愛と仕事関係がほどよく楽しい『ブルックリン・ナイン‐ナイン』(Netflix)をおすすめに挙げておきます。

 

起業コメディ『シリコンバレー』

 『シリコンバレー』(U-NEXT)は、その名の通り、スタートアップの聖地シリコンバレーで起業をする若者たちの姿を描いたコメディドラマです。ITオタクたちのジョークや不器用な日常も面白いのですが、それとともに、起業をめぐるストーリーもとても面白い。スタートアップ企業が成功する確率はごくわずか。様々な困難に遭遇しながら、彼らの会社が成功することができるかどうかという展開はスリリングです。

 

 ビル・ゲイツもこのドラマのファンだと公言しており、ドラマのリアリティにもお墨付きを与えています。笑えるコメディであるだけでなく、ストーリーの面白さでも魅せてくれるコメディドラマが最近は増えています。『シリコンバレー』は、そのなかでもずば抜けて面白いです。

 

関連作

 ゲーム開発現場の日々を描いた『神話クエスト』(Apple TV+)がおすすめ。アメリカ副大統領の日々を強烈な皮肉を交えて描いた『VEEP/ヴィープ』(U-NEXT)は、笑いと政治の駆け引きの面白さが融合した秀作です。

 

ミステリー×コメディ『マーダーズ・イン・ビルディング』

 コメディに限らず、ジャンルを横断するドラマが増えているのが昨今の潮流。コメディ俳優のレジェンド的存在であるスティーヴ・マーティン&マーティン・ショート、そして若者から絶大な支持を得ているセレーナ・ゴメスの3人が主演する『マーダーズ・イン・ビルディング』(Disney+)は、ミステリーとコメディを融合させたドラマです。

 

 実話犯罪ポッドキャストにハマっている3人組が、マンションの中で起こった殺人事件に挑みます。コメディとしてもミステリーとしても面白く、さらにヒューマンドラマの要素も含んでいます。米批評サイトRotten Tomatoesで2シーズンとも100%を獲得している面白さは伊達ではありません。

 

関連作

 SFとコメディを融合させた『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』(Netflix)と『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』(Amazon)もおすすめ。両作とも設定の面白さが際立っています。『ロシアン・ドール』は、主人公のキャラクターも最高です。

 

孤独な殺し屋の宿命『バリー』

 主人公の心理状況を深く描いていき、コメディの域を半分飛び出しているようなドラマもあります。『バリー』(U-NEXT)は、殺し屋を辞めたい帰還兵が役者を志すダークコメディ。主演のビル・ヘイダーはコメディアンとしても有名で、彼が演じる主人公はどこかユーモラスな雰囲気があります。

 

 しかし、主人公が置かれている状況は一筋縄ではいきません。ギャングとも関わり合い、命の危険もある中、同時に演劇の本番も迫っています。笑いあり、銃撃戦あり、サスペンスあり。この面白さは他では味わえません。

 

関連作

 もう少し共感できそうな話なら『フリーバッグ』(Amazon)を。皮肉屋で周囲の人々との関係をことごとく破壊してしまう主人公の孤独と再生の物語は、世界中から共感を呼びました。『アトランタ』(Netflix, Disney+)は、成功を目指すラッパーが主人公のゆるいコメディであるとともに、人種差別をシュールに皮肉りまくる独特の作風が絶賛されています。

 

メンタルヘルスの時代に『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』

 現代はメンタルヘルスの時代です。コメディであっても、きついブラックジョークではなく、人を傷つけない優しい笑いが人気を集めています。『テッド・ラッソ』(Apple TV+)は、イギリスのプロサッカーチームの監督をすることになったサッカー経験ゼロの主人公の話。テッド・ラッソは、サッカーのコーチはできませんが、選手それぞれの性格をよく理解し、能力を最大限に引き出せるようにサポートします。

 

 テッド・ラッソの性格は、とても明るく、観ているだけで元気がもらえるほど。選手たちは最初の頃は良い人ばかりではありませんが、テッド・ラッソの影響で少しずつ変わっていきます。『テッド・ラッソ』は、悩み多き現代人に贈る笑いの処方箋です。

 

関連作

 テッド・ラッソよりも明るい主人公といえば『アンブレイカブル・キミー・シュミット』(Netflix)のキミー・シュミット。何事にも明るく前向きに取り組むキミー・シュミットの姿勢は見習いたい。『シッツ・クリーク』(Netflix)は、元お金持ちの一家が、いきなり田舎町で生活を始めることになってしまう話。誰も傷つけることなく、多様性を温かく受け入れるヒューマンドラマとしても一見の価値あり。

 

青春はコメディだ!『デリー・ガールズ~アイルランド青春物語~』

 青春というのは、大人になって振り返ってみると、甘酸っぱい話より笑える話の方が多いもの。1990年代のアイルランドを舞台に、様々なトラブルを巻き起こしてしまう女子高生たちの日常を描いた『デリー・ガールズ』(Netflix)は、そんな青春のおかしさと懐かしさを感じさせてくれるドラマです。

 

 近年、女性が主人公の作品は増えていますが、その中でも『デリー・ガールズ』が特徴的なのは、恋愛要素をさほど含まないことです。5人組は、学園ドラマにありがちな三角関係とは無縁で、基本的にいつもバカをやっています。アイルランドの紛争がドラマの背景にはあるのですが、そんなことはお構いなしにたくましく生きていく若い女性たちの姿を見ることができます。

 

関連作

 19世紀のアメリカに実在した女流詩人エミリ・ディキンスンの姿を実話とフィクションを交えて描く『ディキンスン~若き女性詩人の憂鬱~』(Apple TV+)でも、男性優位社会の中で力強く生きていく女性たちを見ることができます。青春コメディとしては、ちょっと甘酸っぱいブラックコメディ『このサイテーな世界の終わり』(Netflix)や、オタク男子の奇想天外な逆襲を実話ベースで描いた『ドラッグ最速ネット販売マニュアル』(Netflix)がおすすめ。

 

 

まとめ

 21世紀のコメディドラマを概観すると次のようになります。2001年にイギリスで放送が始まった『ジ・オフィス』は、モキュメンタリー形式でコメディドラマを作ることで、新たなコメディの可能性を開きました。従来型のシットコムは『ビッグバン・セオリー』が最後の作品になりそうです。

 

 2010年以降は、ストーリーに力を入れたコメディドラマが増え、IT業界での起業のリアルを描いた『シリコンバレー』、ミステリーとしても面白い『マーダーズ・イン・ビルディング』、殺し屋の心理を深く描写した『バリー』などの作品が生まれます。近年、メンタルヘルスの重要性が訴えられる時代を反映して『テッド・ラッソ』のような作品も作られています。女性が主人公の作品も格段に増え、『デリー・ガールズ』はその一例です。

 

 今回は、30分枠のコメディドラマに限定して紹介してきました。1時間枠でも『マーベラス・ミセス・メイゼル』『THE GREAT~エカチェリーナの時々真実の物語~』など、有名な作品もあります。エミー賞のドラマ部門作品賞を受賞した『メディア王~華麗なる一族~』もブラックジョークだらけで、真面目な顔をしている割にほとんどコメディです。最近は、本当に色んなタイプのコメディが作られています。

 

↓こちらの記事で個別の作品をすべて紹介しています。

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