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Amazonドラマ『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』~アマゾンだからできる笑い~

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  今月からAmazon Prime Video(アマプラ)で配信開始されたAmazonオリジナルドラマ『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』が、かなり話題になっているようです。正直、私は予告編の段階ではあまり期待していなかったのですが、実際に観てみると、これは面白い。Amazonによる皮肉たっぷりなITネタの数々にも注目です。なお、この記事はネタバレなしです。

 

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『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』シーズン1基本データ

・原題:Upload

・配信元:Amazon Prime Video

・配信開始日:2020年5月1日

・話数:10

・一話あたりの長さ:24~46分

・製作・脚本:グレッグ・ダニエルズ(US版『ジ・オフィス』,『パークス・アンド・レクリエーション』)

・あらすじ:

 まだまだ若くてイケてるネイサン・ブラウンだったが、自動運転車の事故により瀕死の重傷を負う。病院に行くも助かる見込みがないと判断し、意識をデジタル化して「レイクビュー」というデジタル世界の天国にアップロードすることにした。

・予告編:

www.youtube.com

 

だから『アップロード』は面白い

 ドラマ『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』は、とにかく笑える作品です。人の死を扱っているので、ともすれば非常にシリアスになってしまいます。逆に、一歩間違えれば、ただの不謹慎なブラックジョークばかりになってしまい、全く笑えなくなってしまいます。しかし、ドラマ『アップロード』はその微妙なラインを見極め、たっぷり笑わせられるコメディに仕上がっています。

 

 これは、制作総指揮及び全話の脚本を手掛けたグレッグ・ダニエルズの功績のよるところが大きいでしょう。何しろこの人は、過去にアメリカ版『ジ・オフィス』や『パークス・アンド・レクリエーション』といったコメディドラマを手掛けて、大成功させてきた人物なのです。

 

 今回、彼はAmazonでドラマを作ることになり、たぶんこう考えたのでしょう。「しめしめ。これは、Amazonという名前が使い放題じゃないか。思いっきり、IT業界を皮肉ってやるぞ」と。つまり、IT界の巨大企業Amazonという名前を100%活用することで、皮肉や自虐ネタをふんだんに盛り込むことができたのです。

 

 例えるなら、NHKのコント番組「LIFE!」の中の「NHKゼネラル・エグゼクティブ・プレミアム・マーベラス・ディレクター及びLIFE!スーパーアドバイザー三津谷寛治」のネタみたいなものです。ドラマの枠組みを利用して笑わせてくるのです。

 

 そんな特徴が顕著に表れている場面の一つは、第8話で他のアップロード先を探しているところでしょう。ここで、パネラ・フェイスブックが提供するカジノリゾートというものが登場します。そして、「フェイスブックは長年個人情報を集めてきたから、顧客満足度が高い」と言っていますが、これは実際に何度か起こっているフェイスブックの個人情報流出事件を皮肉ったです。

 

 他にも、ナショジオ・インスタグラムやAT&T&Tといったように、勝手に大企業を合併させちゃったり。Amazonがバックについているのを良いことにして、やりたい放題(笑) Amazon以外にスポンサーがいたら、絶対にできないことでしょう。だけど、何事も5段階の星で評価するという、Amazonの自虐ネタもちゃんとあります(笑)

 

 もちろんそれだけではなく、いちいち課金が必要だったり、通信制限がかかったりするなど、日常のテックあるあるも盛りだくさんです。主人公ネイサンのとぼけた雰囲気も相まって、とことん笑える作りになっています。

 

 

 

陰謀はこれからだ

 そんな風に、『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』シーズン1は基本的にコメディ調で進むのですが、その裏で陰謀の影が見え隠れします。自動運転車が事故を起こすはずがないので(Amazonも開発してるからね笑)、ネイサンは殺されたのではないかと一部の人々は思い始めます。

 

 一応、この陰謀について最終話で説明がされるのですが、まだまだスッキリしません。おそらく、陰謀はもっと大きくなりそうですし、こっちのストーリーを追ってサスペンス要素も足していけそうです。これらは、シーズン2以降で期待したいところですね。

 

意識のデジタル化は絵空事ではない

 『アップロード』は遊び半分に死というテーマを扱っているだけではありません。実は、意識をデジタル化してアップロードしようという研究は実際に行われています。WIREDのこの記事では、東大で行われている意識のデジタル化に関する研究が紹介されています。

「20年後までに、人間の意識を機械にアップロードせよ」 東大発スタートアップは「不死」の世界を目指す:菅付雅信連載『動物と機械からはなれて』|WIRED.jp

 

 これを読むと、この研究で目指しているのは、まさに『アップロード』の世界なのです。この技術が開発されたときの倫理的問題を、『アップロード』では扱ってもいるのです。宗教的な天国とアップロードたちの天国の違いや、デジタル化された死者の意識が完全に生者にコントロールされることの問題などは、実際に考えなければならない事柄でしょう。

 

 そして、一番大きなテーマともいえる「デジタル化された人間は、生きていたときの人間と同じなのか」という問題もあります。脳機能をコンピューターで完全にコピーでき、生きているときと全く同様の反応ができるとして、それは元の人間と同じと言えるのでしょうか?それとも、肉体を持たずに、人間であるなどということはできないのでしょうか?

 

 「機械は、意識を持ちうるのか?」というテーマを追求しているドラマ『ウエストワールド』とセットにして、科学哲学の最前線の話題について考えてみるのも面白いのではないでしょうか。

 

 

 

『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』感想まとめ

 以上、Amazonオリジナルドラマ『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』の紹介をしてきました。意識のデジタル化についても色々書きましたが、ドラマ自体はとにかく笑って楽しめる作品です。

 

 映像にはチープなところも見られますが、そこはあまり気にしなくても良いでしょう。Amazonは、あんまりオリジナルドラマに予算を掛けたがらないんですよね。HBOやNetflixは、かなり予算をかけているだけに、そこは少し目立ってしまいます。ただ、その分アイデアで魅せてくるような作品も多いようです。

 

 今回の『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』も、あまり有名でないキャストが起用されていたりと、小ぶりな作品ではあります。でも、そこを主に脚本の面白さで楽しませてくれるあたり、とても良かったです。評価が高いのも納得。

 

 なお、『アップロード~デジタルなあの世へようこそ~』はシーズン1が公開されてから2週間ほどしか経っていませんが、すでにシーズン2の制作が決定しています。こちらも非常に期待したい。

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