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Apple TV+ドラマ『シュリンキング:悩めるセラピスト』感想|笑うもよし泣くもよし

I’m a psychological vigilante.

俺は心理学自警団だ。

- Jimmy Laird, Shrinking season 1

 

 Apple TV+の新作コメディドラマ『シュリンキング:悩めるセラピスト』を観ました。同じくApple TV+のヒット作『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』と製作陣が共通していて、どちらもメンタルヘルスをテーマにしているので、セットにしておすすめしたい良作です。

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基本データ

  • 原題:Shrinking
  • 配信:Apple TV+
  • 公開日:2023年1月27日~3月24日
  • 話数:8(シーズン2も決定)
  • 原案:ビル・ローレンス、ブレット・ゴールドスタイン、ジェイソン・シーゲル
  • 出演:ジェイソン・シーゲル、ハリソン・フォード、ジェシカ・ウィリアムズ
  • あらすじ:事故で妻を亡くしたセラピストのジミーは、悲しみに暮れ、自暴自棄になっていた。ジミーは、やがて患者たちの人生に深入りするようになる。先輩のポールからたしなめられるが、果たしてこのアプローチは上手くいくのだろうか。

予告編

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 ドラマ『シュリンキング:悩めるセラピスト』はApple TV+で独占配信中。Apple TV+は初回7日間無料、その後は月額900円(税込)です。Apple TV+で配信されている作品は、すべてここでしか観ることができない独占配信作品です。

Apple TV+

 

感想

 自分は、このドラマがとても好きです。今年観た新作ドラマの中では、トップクラスに気に入っています。メンタルヘルスというテーマは近年はそこまで珍しくありませんし、妻を亡くした夫のストーリーというのもいくつか観たことがある気がしますが、それでも『シュリンキング』はユニークで面白いドラマです。

 

 まず、コメディとしてちゃんと笑えるのが良い。特に、主演のジェイソン・シーゲルが面白い。シットコムの『ママと恋に落ちるまで』ですでにお馴染みの人もいるかもしれませんが、自分はあまり知らなかったので、こんなに面白い人なんだと初めて気づきました。親父ギャグも含めて好きになってしまいます。

 

 ハリソン・フォードも、想像以上に面白かった。ハリソン・フォードは、小粋なユーモアのある役を演じることはあっても、本当にコメディの役を演じているのはあまり観たことがありませんでした。このドラマのハリソン・フォードは、素直に面白い。年齢相応の可愛らしさみたいなものもあって、ここに来て新境地を開拓したなと感じます。

 

 そして何より、主人公が悲しみを乗り越えていく様子が丁寧に描かれていて、悲しみや喜びを共有できるのが凄く良い。主人公のジミーは、1年ほど前に妻を事故で亡くして以来、自暴自棄な生活を送り、娘との関係も悪化していました。ジミーはセラピストではあるのですが、それでも自分のメンタルを整えるのは難しいようです。

 

 自分の人生に不満を抱えているからなのか、ジミーは自分の患者の人生に深入りするようになっていきます。本来、セラピストは患者の話を聞き、自発的な気づきを促すような役割があると聞いています。とするなら、ジミーの行動は過干渉であって、セラピストとしては決して褒められた行動ではありません。

 

 その結果、ジミーは殴られ、患者の1人は有害な彼氏のもとに戻ってきてしまいます。彼女の最終話での行動を見れば、ジミーの過干渉が重大な事件を引き起こしてしまったことも分かります。だから、普通のセラピストは他人の話を聞くばかりで、あまり積極的なアドバイスをしないんですね。

 

 先輩のポールから注意されたジミーは、他人の人生を変えようとする前に自分の人生を改善させることを決意します。娘のアリスも、彼女なりに色々悩んでいて、ポールに相談していました。悲しみと向き合う第一ステップとして、ポールは2人に「1日15分だけ思いっきり悲しむ時間を取れば良い」とアドバイスします。

 

 そこで、2人ともフィービー・ブリジャーズのI Know the Endをかけて大泣きします。そうですよね。現代の泣ける曲といえば、フィービー・ブリジャーズですから。

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 そうやって、ジミーとアリスは悲しみを乗り越えていこうとしています。他のセラピストも、それぞれに悩みを抱えています。ポールは、パーキンソン病が進行しつつあるにも関わらず、疎遠だった娘にはまだ病状を告白できていません。ジミー父娘に助言してはいるものの、こっちも親子関係は上手くいっていないのです。

 

 ギャビーは、つい最近離婚しました。それでいて、カップルセラピーを担当することもあるので、状況は皮肉的です。ジミーの患者のショーンは、なかなか戦地での経験を打ち明けることができません。隣人のリズは、アリスに執着しているかもしれないと感じ始めています。

 

 そんな調子で、全員が何かしらの悩みを抱えています。それでも、ドラマは悲壮な雰囲気になることはなく、笑いもたくさんあるので、とても楽しく観ていけます。登場人物たちには共感できるところもあって、最終的には全員に対して親しみを覚えるようになっていました。

 

テッド・ラッソではない

 冒頭で書いた通り、このドラマは『テッド・ラッソ』とよく似ているのですが、ある点に関しては方針が真逆です。それは、リアリティです。

 

 簡単に『テッド・ラッソ』の紹介をしておきます。エミー賞の作品賞(コメディ部門)を2年連続受賞した『テッド・ラッソ』の主人公は、イギリスのサッカーチームの監督に任命されたアメリカ人のテッド・ラッソ。サッカーのことを何も知らなかったテッドは、最初は誰からも期待されていませんでしたが、徐々に持ち前のポジティブパワーを発揮してチームを変えていくことになります。

 

 『テッド・ラッソ』でも、すべての登場人物がそれぞれに悩みを抱えていますし、雰囲気は全体的にポジティブです。その点は『シュリンキング』とよく似ているのですが、『テッド・ラッソ』はちょっと異様なほどポジティブです。

 

 主人公のテッドは、ほとんど怒りませんし、不機嫌になることも、さらには無表情になることもありません。常にポジティブでニコニコしています。サッカーチームのメンバーは、驚くほど監督に従順で、面倒くさい奴は一人もいません。なんなら、ロッカールームも常に清潔で、汗の臭いすらしなさそうです。

 

 『テッド・ラッソ』というドラマは、リアリティを求めていません。ポジティブパワーに反抗する者がいない、きれいな夢の国が舞台です。例えるなら、すべてのジャイアンがきれいなジャイアンになっている世界です。サッカーの試合のシーンを見ても、現実のサッカーの試合とは全然雰囲気が異なることがわかります。撮影の仕方から、あえてそういう風にしています。

 

 それに対して『シュリンキング』は、テッド・ラッソやダニ・ロハスのように底抜けに明るい人物はいません。誰もが悩みを抱えていて、日々なんとかそれに対処しようとしています。映像も妙にクリーンなわけではなく、良い意味で普通です。汗をかくこともあれば、ゲロを吐くこともあります。下ネタだって盛りだくさんです。

 

 別に『テッド・ラッソ』が悪いというわけではありません。少なくとも『テッド・ラッソ』のシーズン1は、素晴らしい作品ですし、私もとても心が動かされました。シーズン2以降は、シーズン1ほどではないものの、隙のないポジティブな世界を描くことで、視聴者に癒しを与えてきたのは間違いないでしょう。

 

 それでも、私は、つい先日観た『テッド・ラッソ』のシーズン3と比較するなら、『シュリンキング』の方が好きです。リアリティのある作品の方が好きですし、こっちの方が純粋にコメディとして笑えるところが多かったと思います。

 

 幸いにも『シュリンキング』はシーズン2に更新されたので、あのキャラクターたちにもう一度会うことができます。そのおかげで、自分はさらにハッピーな気分になれました。

 

 ドラマ『シュリンキング:悩めるセラピスト』はApple TV+で独占配信中。Apple TV+は初回7日間無料、その後は月額900円(税込)です。Apple TV+で配信されている作品は、すべてここでしか観ることができない独占配信作品です。

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