カルト宗教によって15年間監禁されたいた女性が主人公。という設定だけを聞いて、このドラマがコメディだと想像できる人はいないでしょう。実際には『アンブレイカブル・キミー・シュミット』は、コメディの中でも特に明るくハッピーなコメディなのです。
今回は、太陽よりも明るいキミー・シュミットが主人公のNetflixオリジナルドラマ『アンブレイカブル・キミー・シュミット』の紹介をしていきます。ネタバレなし。
基本データ
- 原題:Unbreakable Kimmy Schmit
- 制作:Netflix
- 公開年:2015~2019年
- シーズン数:4
- 話数:51
- 製作:ティナ・フェイ、ロバート・カーロック
- 主演:エリー・ケンパー
- あらすじ:カルト宗教の教祖によって15年間地下に閉じこめられていたキミー・シュミットは、ニューヨークでの新たな日常に奮闘する。
- 予告編:
どこまでも明るいキミー・シュミット
キミー・シュミットは、14歳のときにカルト宗教の教祖によって言いくるめられ、地下に監禁されました。それ以来、外の世界は滅亡していると信じ込まされて、3人の仲間とともに15年間監禁されていました。コメディらしからぬシリアスな設定です。
しばしば回想シーンで描かれる監禁されていたときのエピソードは、なんだか楽しそうにも見えます。しかし、キミーは当時のことに関しては強い拒絶反応を示すことがあるので、実際には決して楽しくはなかったのでしょう。ドラマの中では、監禁生活のツラさについてはかなり曖昧に触れる程度で、詳しく語られることはありませんが。
その代わりに、キミー・シュミットはとてつもなく明るい人物です。すべてにポジティブ、誰に対してもフレンドリーに接していきます。超新星爆発よりも明るいキミーの性格は、周囲の人々もポジティブな気持ちにさせていきます。
なぜ、キミーはこれほど明るく生きることができるのでしょう? たぶん、キミーは失われた15年間を取り戻そうとしています。14~29歳の頃を地下に閉じこめられて生活することになってしまったので、本来ならばやりたいことはたくさんあったはずです。その代わりに、全部は無理でも、一つでも多くのことを経験したいのです。
そのためには、キミーに悲しんでいる暇はありません。それに、地下での監禁生活と比較すれば、日常生活での困難など大したことはありません。キミー・シュミットは、地上での自由な生活を満喫し、世界が滅亡する不安をせずに生きられることを喜んでいます。
意外と頻出する3つのネタ
キミー・シュミットは、2000年以降の知識がほとんどないので、一種のジェネレーション・ギャップに多く遭遇します。そもそも、ニューヨークに来たことも初めてのようなので、大都市の風景に圧倒されることもしばしば。『アンブレイカブル・キミー・シュミット』には、そんなすれ違いネタが多いのですが、一方でドラマの設定とは関係なしに、妙に頻出するネタがいくつかあります。これに気づけるとさらにドラマを楽しめると思うので、3つ紹介します。
①風刺ネタ
このドラマには、しばしば社会風刺的な皮肉が効いたネタが登場することがあります。ドラマの雰囲気を崩さない程度の穏やかな風刺ですが、政治批判や資本主義批判からキャンセルカルチャーといった最近の話題まで、ちょっとした教養が必要なレベルで幅広いネタが出てきます。
おそらく、このあたりは脚本を担当しているティナ・フェイとロバート・カーロックによるものでしょう。2人は、ドラマ『30 ROCK』やコント番組『サタデー・ナイト・ライブ』でも脚本を担当し、エミー賞を受賞するなど様々な面で評価されました。どちらも政治や社会風刺などの時事ネタが多く、その作風が『アンブレイカブル・キミー・シュミット』にも受け継がれています。
なお、ティナ・フェイ自身もシーズン2からセラピスト役で出演しています。お金持ちのボーヒーズ夫人役でレギュラー出演しているジェーン・クラコウスキーは、ドラマ『30 ROCK』でもレギュラー出演していました。
②『マッドメン』ネタ
ドラマでは、レギュラー出演というほどではありませんが、カルト教団の教祖役でジョン・ハム、キミーの義理の妹役でキーナン・シプカが出演しています。この2人といえば、思い出されるのはドラマ『マッドメン』です。2007~2015年に放送された本作で、ジョン・ハムは敏腕広告マンのドン・ドレイパー、キーナン・シプカはその娘を演じていました。
その縁もあって『アンブレイカブル・キミー・シュミット』には、しばしば『マッドメン』ネタが登場します。具体的にいうとネタバレになりそうなものもあるので控えますが、1つだけヒントを言っておくと、『マッドメン』の最終回まで観た人ならばクスッと笑わずにはいられない台詞がシーズン2にはあります。お見逃しなく。
③日本ネタ
日本人や日系キャストがいるわけでもないのに、なぜか日本ネタが多いのもこのドラマの特徴です。シーズン1には、ハローキティもどきの謎の着ぐるみが登場。日本のサラリーマンがどんなに狭いところでも寝られる(たぶんカプセルホテルのこと)と言われ、日本からやってきた万能ヒューマノイドロボットが登場します。
なぜ、これほど日本にまつわるネタが頻出するのかはわかりませんが、日本人ならばプラスαでこのドラマが楽しめる要素になっています。
まとめ
とにかく明るいキミー・シュミットが主人公のNetflixオリジナルドラマ『アンブレイカブル・キミー・シュミット』の紹介をしてきました。これほど元気づけられるドラマも他にないので、気分を明るくしたいときには特におすすめの作品です。
『アンブレイカブル・キミー・シュミット』を見終わってしまった人には、『30 ROCK』をおすすめしたいのですが、現在『30 ROCK』が見放題配信されている動画配信サービスはありません。関連作としては『マッドメン』がAmazonプライムビデオで配信中。あるいは、キミーと同じくらい明るい主人公が登場するApple TV+のドラマ『テッド・ラッソ』もおすすめです。