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Netflixドラマ『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』シーズン1感想:人生は時間軸の詰まった箱

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Life is like a box of timelines.

- Nadia Vulvokov, Russian Doll season 1

 

 死んでしまったら前の時間に戻され、再び同じ時を過ごし、また死んでしまったら、もう1回同じ時を生きる。こういったタイムループあるいはタイムリープものは近年の流行のジャンルですが、Netflixのドラマ『ロシアン・ドール:謎のタイムループ』は、このジャンルが初めての人でもお馴染みの人でもおすすめしたい作品です。ということで、今回は『ロシアン・ドール』シーズン1のネタバレ感想・解説です。

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基本データ

  • 原題:Russian Doll
  • 制作:Netflix
  • 配信年:2019年
  • 話数:8
  • 主演:ナターシャ・リオン
  • あらすじ:自堕落な生活を送るゲームプログラマのナディアは、自分の誕生日パーティからタイムループに囚われてしまう。
  • 予告編:

    www.youtube.com

 

感想(ネタバレあり)

 ここ数年、タイムループものは非常に流行っています。誕生日に殺人鬼の殺されまくる映画『ハッピー・デス・デイ』のスマッシュヒットは記憶に新しいところ。Netflixのドラマ『ロシアン・ドール』も、基本的な設定は『ハッピー・デス・デイ』と似ているようです。

 

 主人公のナディア(ナターシャ・リオン)は、お酒大好き、ドラッグ大好きのゲームプログラマ。ある日、友人のマキシンが企画してくれた誕生日パーティのときにタイムループに囚われてしまいます。最初は、マキシンにもらったコカインが原因だと思ったのですが、どうも違うらしい。バスルームのドアの飾りや元ユダヤ教徒の学校だったという建物など様々な原因を考えてみても全部ハズレ。

 

 原因を当てられなければ、永遠にタイムループに囚われて、死に続けることになります。ナディアの死に方は様々。最初はタクシーに轢かれ、その後は何回か階段から転げ落ち、育て親の家で爆発事故に巻き込まれ、工事現場の穴に落っこち、侵入者だと思われて撃ち殺され、ホームレスと一緒に寝込んで凍死してしまいます。たいていの人は一度も死ぬことなく70年くらい生きるのですが、タイムループに落ちてしまったナディアの場合は数日の間に何度も死んでいます。

 

 タイムループに囚われてしまった人物はナディアだけではありません。ナディアと正反対の性格のアラン(チャーリー・バーネット)もその一人。背筋をピシッと伸ばした姿は、見るからに几帳面そうです。しかし、彼はタイムループの中で毎回、彼女にフラれ続けてしまいます。さすがに不憫です。

 

 エレベーターの事故で出会った2人は、協力してタイムループからの脱出を図ります。ナディアとアランは同一人物なんじゃないかとか、感覚がリンクしているなら痛みも同じなのかとか思いついたことを色々と試してみます。ときにはナディアが開発した難関ゲームをやったり、酒に酔った勢いでセックスをしたり。それでも、タイムループからの脱出することはできません。

 

 そのうち、最初の死因はなんだったのかという話になります。ナディアは交通事故でした。アランは最初は語りたがらなかったものの、実は自殺だったことが明らかになります。

 

 そこから、2人は自分の過去や現状と向き合うことになります。第7話では、物や人はどんどん消えていき、2人の死因も心臓発作になるなど不気味さが高まっていきます。ナディアは自分の子供時代と、アランは彼女と正面から向き合った結果、タイムループからの脱出してすべて元通り。かと思いきや、まだでした。

 

 第8話で、2人の世界線はクロスしてしまったようです。ナディアがタイムループをしていない世界にアランが入り込み、アランがタイムループをしていない世界にナディアが入り込んでしまったのです。2人が互いにそのまま放っておくと、どちらも交通事故と自殺で死んでしまいます。お節介だとしても相手を助けなければいけません。

 

 アランのミッションの方は、そんなに難しくないと思うんです。ナディアを交通事故から救うだけなので、邪魔に思われたとしてもストーカーでもなんでもすれば良いわけです。一方、ナディアのミッションは大変。自殺への介入ですから。なんとかして、アランに生きる気を起こさせなければいけません。でも、これもなんとか成功させ、どちらも無事に生き抜くことができました。めでたしめでたし。

 

多重世界線(案)

 世界観の設定に関しては詳しい説明がなかったので、勝手に解釈しても良いということですかね。SFなので、タイムループの原理とかを考える意味はあまりないのですが、頭の体操みたいなものとして自分でも考えてみました。

 

 とりあえず一番単純なパターンで考えてみましょう。まずナディアとアランは世界線Aにいるとして、2人が死んだ瞬間に世界線Aはそのまま、分岐した世界線Bも生まれます。世界線Aでは2人は死んだままで、2人の意識だけは世界線Bに移ったと考えれば良いでしょうか。次に死んだら、今度は世界線Cが分岐して生じ、2人の意識はそっちに。これの繰り返しです。

 

 ただ、これだけだと最終話の展開が疑問になります。2人の世界線の移動がずっと一致していれば、クロスするようなことはないはずです。とするなら、最初から世界は一つではなかった。すなわち、世界線Aだけでなく世界線αが物語の最初からあったとしましょう。

 

 世界線Aがナディアの世界、世界線αがアランの世界です。2人はそれぞれの世界で死ぬのですが、復活した世界はともに世界線Bでした。その後も2人の行動は常にシンクロし、世界線C、世界線D……と移動していきます。

 

 2人がすべてを解決した世界線を世界線Xとしましょう。ここで死んだら、次は世界線Yのはずですが、そうではありませんでした。ナディアは世界線α’に移り、アランは世界線A’に移ります。世界線α’は最初と同じようにナディアが死ぬ世界、世界線A’はアランが死ぬ世界です。それぞれ世界線α’と世界線A'のコピーみたいなものです。ここで、2人はそれぞれ相手を救って、無事にその後の人生を過ごします。

 

 最初の時点では、世界線A=世界線αであっても構いません。そうでなくても構いません。どちらもを否定することができないので。そもそもナディアとアランが出会うまでの世界線の移動だって同じである必要はありませんから、より一般的には、次の世界線の移動が成り立ちます。

 

ナディア:A→B→C→……→E→F→G→H→……→X→α’

アラン:α→β→γ→……→ε→F→G→H→……→X→A’

 

 ただし、A=α、B=β、……E=ε を可とします。最初から存在したのはA、α、A’、α’のみで、その他はナディアまたはアランの死亡によって生成されています。世界線Fで2人は出会います。A’とα’以外の世界線(Aとαを含む)では、ナディアとアランの死体が転がっています。この解釈だと、なんだか無駄に話をややこしくしている気がしなくもないのですが。

 

 これでも、いくつかの事実は説明が付きません。アランの部屋にいたハエがナディアの部屋に移ったこととか、第2話のラストで花が急にしおれたこととか。誰かはすでに良い説明を思いついていたりするんですかね。もうわからないです。

 

まとめ

 タイムループの原理や全体的な話の整合性を考えると腑に落ちないところはありますが、正直言ってそんなことはどうでもいいのです。SFですから。どんなに考えたって、まともな説明があるわけではありません。そこのところは、割り切ってしまった方が良いでしょう。

 

 『ロシアン・ドール』は、主人公の皮肉っぽい性格やファッション、全体的な音楽やデザインを含め、とても楽しめる作品に仕上がっています。タイムループものではお馴染みの死因大喜利も面白く(凍死は予想の斜め上だった)何度死んでも飽きさせません。

 

 ジャンルとしての新しさや新趣向はさほどないものの、このジャンルの一つの完成形としてよくできた作品と言えると思います。Netflixのお気に入りの1本に挙げたいですね。2022年春に公開予定のシーズン2も楽しみにしています。

 

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