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海外ドラマ『VEEP/ヴィープ』感想~これがセリーナ式ドタバタ政治だ!~

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 She is spinning.

- Veep

 

  政治なんてバカバカしいし、真面目に考えてもイライラするだけです。今回は、そんな政治をとことん皮肉って大笑いできるコメディに仕上げた海外ドラマ『VEEP/ヴィープ』を紹介します。

 

  

 

ドラマ『VEEP/ヴィープ』基本データ

・原題:Veep

・放送局:HBO

・放送期間:2012~2019年

・シーズン数:7

・話数:65

・一話あたりの長さ:27分

・あらすじ:

 女性初の合衆国副大統領(通称ヴィープ)になったセリーナ・マイヤーだったが、彼女の周辺はいつも大騒ぎ。果たして、彼女は補佐官たちの力を借りて大小様々な危機に対処できるのか!?

・予告編:

www.youtube.com

※現在、『VEEP/ヴィープ』シーズン1~7はU-Nextで配信中。Huluでの配信は終了しています。

 

エミー賞5冠ドラマ『VEEP/ヴィープ』とは?

 アメリカの政界を皮肉たっぷりに描いたコメディドラマ『VEEP/ヴィープ』は、批評家からもとても高い評価を受けています。特にエミー賞との相性が良く、作品賞(コメディ部門)を2015~2017年の3年連続受賞、主演のジュリア・ルイス=ドレイファスは主演女優賞(コメディ部門)を2012年~2017年の6年連続受賞をしています。2015年には、さらにトニー・ヘイルの助演男優賞や脚本賞など全5冠を達成しました。

 

 主演のジュリア・ルイス=ドレイファスは、90年代の大ヒットシットコム『となりのサインフェルド』で主人公の一人エレイン・ベネスを演じていました。『VEEP/ヴィープ』のクリエイターのアーマンド・イアヌッチは、イギリスで『The Thick of It』という政治コメディを手掛けた人物で、本作は『The Thick of It』の実質的なアメリカ版リメイクとされています。

 

ドラマ『VEEP/ヴィープ』登場人物

 
 
 
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 セリーナ・マイヤー/ジュリア・ルイス=ドレイファス

 アメリカ合衆国初の女性副大統領。大統領選に出馬したものの落選したため、副大統領になった。大統領から責任ある仕事を任されず、信頼されていない模様。

 

ゲイリー・ウォルシュ/トニー・ヘイル

 常にセリーナのすぐそばにいて、様々な面でサポートをする。メインの仕事は、セリーナに会った相手のプロフィールを耳打ちしたり、身の回りのものを用意すること。

 

エイミー・ブルックハイマー/アンナ・クラムスキー

 セリーナの首席補佐官。セリーナに最も信頼されている部下。常に仕事で忙しそうにしているため、私生活がほとんどない状態。

 

マイク・マクリントック/マット・ウォルシュ

 セリーナの首席報道官。メディア対応や情報収集を主に扱っている。

 

ダン・イーガン/リード・スコット

 セリーナの次席報道官。新入り。キャリアのためにはどんなことでもする悪賢さを買われ、セリーナの下で働くことになる。

 

スー・ウィルソン/スーフィ・ブラッドショウ

 セリーナの秘書。セリーナのスケジュールを管理することと、大統領からの連絡がないことを伝えるのが仕事。辛辣でクールな性格。

 

ジョナ・ライアン/ティモシー・シモンズ

 大統領との連絡係としてホワイトハウスから毎日やってくる大男。皆に嫌われている。

 

ドラマ『VEEP/ヴィープ』感想(ネタバレなし)

①コメディとして

  『VEEP/ヴィープ』は、ほとんど説明もなく副大統領室の場面から始まり、BGMやモンタージュなどはなく淡々と進んでいきます。そして、かなり早口で吹替版もないので、最初はやや取っつきにくいところがあります。

 

 ただ、観ているとだんだん気づいてきます。この人たち、真面目なフリしてかなり変なことしてるじゃないかと。で、実際めちゃくちゃ変なことしてます。セリーナは執務室の椅子で回り、ゲイリーはどうでも良いようなことをセリーナに囁き、マイクは架空の犬を飼っています。なんかジョナはめっちゃ嫌われてるし。

 

 これが、アメリカの政治の実態なのかというと、そんなわけはないと思いますが、それでも色々と内情を知ることができます。報道官とか補佐官という役割を聞いたことはあっても実際には知らなかったり、大統領と副大統領との関係もよく知らなかったりします。そういったところが『VEEP/ヴィープ』を観ていると、徐々にわかってきます。ただし、HBOドラマらしく第1話から唐突に始まるので、最初からわかるわけではありません。観ていくほど味が出てくるタイプですね。

 

②政治風刺として

 シーズン1はどちらかというとシットコム的な感じが強く、あまり政治風刺を感じなかったのですが、シーズンが進むにつれて政治色が濃くなっていきます。場面も、副大統領執務室ばかりではなく、どんどんスケールが大きくなっていきます。ドタバタ劇ばかりではなく、政治的な駆け引きの話も多くなり、どんどん面白くなっていきます(特にシーズン3以降)。

 

 マスコミに惑わされる国民に悩まされたり、あらゆる方面の意向をくみ取らなければならず、やりたい政策が出来なかったりと、あながちデタラメではないであろう場面が多々出てきます。それらの政治風刺は、基本的に政治家個人へ向けてというよりは、現在のアメリカ政治システムへの批判です。すなわち、『VEEP/ヴィープ』は時の政治家に向けての薄っぺらい攻撃ではなく、政治の根本問題を提起しているとも言えるのです。だからこそ、『VEEP/ヴィープ』は日本の方でも楽しめる内容になっています。

 

 

ドラマ『VEEP/ヴィープ』まとめ

 HBOドラマは、観進めていくことでやっと面白さがわかる作品が多いように思います。自分は、『アントラージュ★オレたちのハリウッド』がその典型例だと思うのですが、『THE WIRE/ザ・ワイヤー』や『ウエストワールド』もまた然りですね。個人的には1話から面白かったものでも、人によっては『ゲーム・オブ・スローンズ』『ウォッチメン』なども最初はいまいち面白くないけど、徐々に面白くなってくる作品と言われています。

 

 『VEEP/ヴィープ』も、最初からそのテンポを掴むのは難しいのですが、そのテンポに慣れてくると面白くなってきます。というか、普通にシーズンが進んでからの方が面白いです。シーズン1がつまらないとは言いませんが、シーズン3ぐらいからの政治的な駆け引きの要素が入ってきてからが圧倒的に面白くなっています。

 

 最初の数話だけ観て『VEEP/ヴィープ』が面白いかどうか決めつけるのは早計です。少なくとも、あなたもジョナのことが嫌いになるくらいは観ないといけません。そうすれば、『VEEP/ヴィープ』がとにかくバカバカしくて笑えるドラマであるだけでなく、政治システムへの痛烈な皮肉が込められているドラマであることに気づけるのではないでしょうか。

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