Bow ties are cool.
- The Doctor in Doctor Who series 5
ようこそ『ドクター・フー』の世界へ!どれどれ、僕が君に会うのは~(ソニックドライバーを向けて)、あぁ、初めてだね。よろしく!え、違うって?じゃあ、もう4シーズンも一緒にいたことになるのか。でも、この顔は初めてだろう!今度はイカした蝶ネクタイだってあるんだ!....
何を言いたいかというとですね、「ニュー・ジェネレーション」という名前のDVDを観ている人にとっては、シリーズ5が最初の『ドクター・フー』なのだろうということです。シリーズ1から追いかけている方にとっては、5シーズン目になります。詳しくは、以下の記事を参照してください。
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『ドクター・フー』はシリーズ5で大きな変換点を迎えます。シリーズ4までのドクターは10代目のデイヴィッド・テナントだったのですが、シリーズ5からは11代目のマット・スミスになります。製作面でも、ヘッドライター(メインの脚本家)がS1~4のラッセル・T・デイヴィスから、『SHERLOCK』を手掛けたスティーブン・モファットに代わります。
私自身が初めて『ドクター・フー』に出会ったのは、このシリーズ5からでした。しかし、それも何年も前のことなので、今回改めて見返してみることにしました。その感想・解説を書いていきたいと思います。なお、この記事にシリーズ5以外のネタバレはありません。
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『ドクター・フー』シリーズ5基本データ
・原題:Doctor Who
・放送局:BBC One
・放送日:2010年4月3日~6月26日
・話数:13
・クリエイター:スティーブン・モファット
・キャスト:マット・スミス、カレン・ギラン、アーサー・ダーヴィル、アレックス・キングストン
・予告編:
各話感想(ネタバレあり)
第1話「11番目の時間」
11代目のマット・スミス=ドクターがついに登場。新ドクターは、どれだけエキセントリックな登場が出来るかが勝負の分かれ目(笑)なのだけれど、その点マット・スミスも他のドクターに引けを取らない。今回改めて観ると、視覚フィルターって『秘密情報部トーチウッド』に出てたなぁとか、オリヴィア・コールマン出てたんだ!という発見が多くて面白い。圧倒される勢いで豪快に新生『ドクター・フー』の誕生を告げる素晴らしいエピソードです。
第2話「眼下の獣」
33世紀、人類が宇宙船で生活するようになった時代が舞台。スター・ホエールがめっちゃ優しいという話ですね。あれだけ人間から痛めつけれておきながら、それでも救ってあげようという気持ちは、もはや仏。いや、仏の顔は三度までなので、仏を超えています。
第3話「ダーレクの勝利」
チャーチル&ダーレク。ダーレクは、何回倒しても生き返ります。今回も再生して、しかも逃げちゃったので、この後もまだまだ登場してきます。それにしても、チャーチルってイギリスの英雄なんだなというのが端々から伝わってきます。
第4話「天使の時間」第5話「肉体と意思」
嘆きの天使、再来。過去にモファットが脚本を担当したシリーズ3第10話「まばたきするな」で登場した嘆きの天使と、シリーズ4第8話「静寂の図書館」及び第9話「影の森」に登場したリバーソング教授が再登場します。時空の裂け目は、どうやら宇宙の終わりに通じているらしいことが分かる一方で、パンドリカという言葉も登場。そう、シリーズ5からは伏線がとんでもないことになるので、よく覚えておかないといけないですよ。
最後には、エイミーが「慰めてよぉ」とドクターに懇願するなど、モファットはしばしば『ドクター・フー』が子供を含めた全世代向けであることを失念しがちです(笑) それでも、ドクターが断固として断るのは、人間と付き合ってもタイムロードの方が圧倒的に寿命が長く、必ず別れを経験しなければならないからだという理由があります。これは、シリーズ2第3話「同窓会」でサラ・ジェーンとの再会したときにドクターが語ったことです。こんな風に、『ドクター・フー』は見ていけば見ていくほど面白くなってきます。
第6話「ヴェネチアの吸血鬼」
さかなさかなさかな~♫ ヴェネチアの吸血鬼が、実は魚に似たエイリアンだった!? ローリーのヘタレっぷりが面白いエピソードでした。ここでは、再び静寂という言葉が登場します。第1話でも「大いなる静寂が訪れる」と言われており、この言葉はシリーズ5,6のキーワードになってきます。ちなみに、ほとんど関係ないのですが、モファットは今年の初めに『ドラキュラ伯爵』(Netflix)というドラマを製作していました。
第7話「エイミーの選択」
ドクターたちは、田舎町でエイリアンに襲われ、ターディスで凍った星に向かっていく。突如現れたドリーム・ロードから、どちらかは現実で、もう一方は夢であり、その判断はエイミーに懸かっていると告げられます。結局、どちらも夢だったことが明らかになるのですが、エイミーがローリーを選択したことが確認できたという点で意義深い。ドリーム・ロードを演じたのは、イギリスの個性派俳優トビー・ジョーンズ。悪役が似合います。
第8話「ハングリー・アース」第9話「冷血」
地球にはサイルリアンという地底人が住んでいた!サイルリアンと人間の共存を望むドクターに対し、共存はあり得ないと考える者がサイルリアン側と人間側にそれぞれいます。そのせいで、結局交渉は決裂してしまうのですが、どうやら1000年ほど後に共存の話し合いが進んだようです。
設定が明確に現代社会のメタファーとなっていて、交渉が決裂するのもこれまでの人類の歴史=戦争の歴史を反映したものになっています。いずれは共存できるだろうという希望をもって終わるのですが、実際には果たして?そして、終盤ではローリーがあっけなく消滅してしまいます。え、もう退場なの!???
第10話「ゴッホとドクター」
シリーズ中でも屈指の名エピソードと言われるゴッホ回。生前は全く評価されなかった才能に、後の世界的な評価を教えてあげたい、ということを考えたことがある人いるかもしれません。それを、見事に見せてくれるのがこのエピソードであり、最後には優しい感動が訪れます。脚本を書いたのは『ラブ・アクチュアリー』や『アバウト・タイム』のリチャード・カーティスだそう。納得。「夜のカフェテラス」や「ファンゴッホの寝室」など、ゴッホの名画をモチーフにしたセットにも注目です。
第11話「下宿人」
2階がないはずの建物の2階に人々が吸い込まれていく~。全体を通して、ドクターのコント感が特に強め。サブ主人公の気の弱い男を演じるのが、司会者としても有名なジェームズ・コーデン。コメディアンとしての顔もある彼ですが、今回はボケまくるドクターにツッコみを入れる立場です。
第12話「パンドリカが開く」第13話「ビッグバン」
シリーズ5最終話。パンドリカにおびき寄せられたドクターは、過去の宿敵たちによって中に閉じこめられてしまいます。そのため、地球以外の星や種族はすべて消滅。最終的に、ドクター自身がパンドリカに入ってターディスの火の中に入ることで、宇宙を元に戻します。
私が驚いたのが、第5話のドクターが一瞬だけ今回のエピソードのドクターだと知ったことです。エイミーが目をつぶって待っていたときに、ドクターが話しかける場面ですね。第5話のドクターはジャケットを着ていないんですが、このエピソードでは着ています。第5話の場面でも実際にそうなっていて、こんな伏線があったのかと舌を巻きました。
結婚式のオチも上手いですね。新婚の人には「古いもの、新しいもの、借りたもの、青いもの」というサムシング・フォーを贈ると良いという言い伝えが西洋にはあります。これを利用して、綺麗にまとめたなと思います。
クリスマス・スペシャル「クリスマス・キャロル」
何度も映像化されているディケンズの名作『クリスマス・キャロル』をSF仕立てにしたエピソード。もともとの『クリスマス・キャロル』自体が、偏屈老人スクルージに過去・現在・未来の3体の幽霊が訪れるという話なので、『ドクター・フー』と相性が良さそうですよね。でも、今回のエピソードはそんな単純な映像化ではなく、過去の恋愛のエピソードに重点を置いたものになっています。美しい歌に載せて綴られる物語は感動的です。
まとめ
5年ぶりぐらいかな?『ドクター・フー』シリーズ5を見返してみました。自分が初めて観た『ドクター・フー』がこれなので、やっぱりシリーズ5には愛着があります。特に、マット・スミス=ドクターに久しぶりに会えたのが嬉しかった。もうしばらく、11thドクターとエイミーの冒険を観ていけるので、楽しんじゃいましょう!
そして、これからシーズン6以降を観る方にご忠告を。シリーズ1から観てきた方なら、シリーズ5から若干話が複雑になってきたなと感じたかもしれません。でも、スティーヴン・モファット(シリーズ5~10の製作総指揮)の本領発揮はこれからなので、ぜひ楽しんで観ていってください!