I am not “a” doctor. I’m THE Doctor. The original, you might say…
- The Doctor in Doctor Who series 10
12代目ドクターの第3シーズンであるシリーズ10では、新たなコンパニオン2人が登場。そして、早くも12代目ドクターの最期の時も近づいています。あの強烈キャラの再登場も待ち受けるシリーズ10。
『ドクター・フー』シリーズ10基本データ
・放送局:BBC
・放送日:2016年12月25日、2017年4月15日~7月1日、12月25日
・話数:12話+クリスマス・スペシャル
・出演:ピーター・カパルディ、パール・マッキー、マット・ルーカス
・予告編:
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シリーズ10各話感想(ネタバレ)
クリスマス・スペシャル「帰ってきたドクター・ミステリオ」
アメコミ映画オマージュ満載のエピソード。ヒーロー映画でも一番美味しい「正体がバレそうでバレない」がたくさん出てきて笑えます。「大いなる力には大いなる責任が伴う」はスパイダーマン・シリーズの名言だし、宇宙船を手で支えるオチは『スーパーマン・リターンズ』にそっくり。ちなみに、『ドクター・フー』自体も、実際にアメコミにもなっています。
第1話「約束」
新たなコンパニオンのビル・ポッツの登場です。いつの間にか大学教授になっていたドクターは、ビルとともに不思議な水溜まり怪物に挑みます。ビルが好きになった女性が、怪物に飲み込まれてそれっきりというのはちょっと悲しい。
第2話「スマイル」
感情が絵文字で表される世界。悲しむと、ロボットに殺されます。悲しみがあってこその幸せだ、みたいなことは『ドクター・フー』の特徴でもありますからね。他のSFシリーズに比べて、主要人物の死が多いのはそのせいでしょう。そもそも、ドクター自身が定期的に死ぬ(正しくは再生だけど)ようになっているくらいだから。
第3話「氷の下の怪物」
テムズ川が凍り、その下には全長1kmを超える何かがいた。過去には、実際にテムズ川が凍ることもしばしばあったそうで、その上で祭りみたいなこともやっていたそうです。その部分に関しては、史実通り。今回のドクターは、またしても人間を見殺しにしてしまっていますね。12代目は、見殺しがやや多め。
第4話「シェアハウス」
古い木造屋敷に、宇宙ダンゴムシがわらわら。虫が苦手な人は失神するんじゃないか!?というぐらいのダンゴムシの量でした。その背景には、母と息子の物語があったのですが、結局、無数のダンゴムシしか記憶に残ってないなぁ笑。
第5話「宇宙での死に方」
未来の資本主義では、人間は酸素よりも価値が低くなってしまうのかもしれません。そんな究極の資本主義のお話です。資本主義には賛成だけど、これはヤダ。そりゃあ、酸素のために死にたくはないですからね。発想自体は、とても面白かったです。好きなエピソード。
第6話「迫る終焉」第7話「滅亡を呼ぶピラミッド」第8話「噂という支配」
第6話は、モンクたちが地球侵略をシミュレーションするための世界での話。そこで、モンクは致死性の細菌に注目して、地球を滅亡させようとします。結局、ビルはドクターを救うためにモンクに助けを求め、彼らは大義を得て地球を侵略しました。彼らは、ビルをベースにして人間たちを洗脳していましたが、ビルとドクターが発信機を壊したために、侵略は終わりを迎えます。
『ドクター・フー』はそういうことが多いんだけど、特に今回は色んなSFを混ぜた感じがしますね。デジタル世界は『マトリックス』で、ピラミッドは『フィフス・エレメント』で、致死性の細菌は色々。ビルが大活躍していたのは、良かった。ちなみに、第6話で金庫の中身がミッシーだったというのことも明らかになりました。ミッシーはタイムロードだから、もし本当に処刑をしていたとしても再生するだけなんじゃないのかな?
第9話「火星の女王」
火星人の話。この火星人の種族はs7ep8「冷戦」でも出てきていました。火星人に撃たれると、人が布を丸めたようになって倒されるのですが、あれは一体何なの?気になるよ!
第10話「消えたローマ兵の謎」
古代ローマの第9軍団の話。ローリー・ウィリアムズが出てくるかと思ってしまった。ちなみに、第9軍団が消滅したという記録は、実際にもあるようです。『ドクター・フー』流に解釈すれば、彼らは異世界の門を永遠に守り続けているのだとか。カラスの「カーカー」に繋がる展開は粋。
第11話「残酷な宇宙の時間」第12話「散りゆくドクター」
ドクター、ビル、ナードル、ミッシーは救難信号が出ている宇宙船へ。その宇宙船は、ブラックホールに捕らわれていたために、下階に行くほど時間が速く進むようになっていた。この原理は、相対性理論によって科学的にも裏付けされます。
今回のエピソードは、なんと!ジョン・シム演じるマスターが、シリーズ4以来の再登場です!もう、大好き。絶対に善に妥協しないよね。ドクターからどんなに説得されても「わけわからん。あっかんべー」みたいな態度なのが、完全に振り切れてて好きすぎる。悪役笑いも、世界一上手いんだよね。フハハハハ。フハハハハ。
クリスマス・スペシャル「戦場と2人のドクター」
再生を拒否したドクターは、南極で初代ドクターと出会います。なぜか第一次世界大戦の大尉もやってきて、3人はガラス製エイリアンの謎を探ります。このガラス製エイリアンは、死の直前の人の意識を抽出している善いエイリアンでした。2人のドクターは、ついに再生を受け入れることを決心します。
まさかの初代ドクターの登場です。さすがに役者は違うのですが、それでも50年以上の歴史があってこその展開です。大尉を演じたマーク・ゲイティスは、『ドクター・フー』S5~10で製作総指揮を務めたスティーヴン・モファットとともにドラマ『SHERLOCK/シャーロック』を製作した人です。『ドクター・フー』には、これまでも脚本と出演でいくつものエピソードに携わっています。
初代ドクターが性差別発言を繰り返すというブラックジョークもありましたが、全体的には死に臨むドクターを描いた話です。クララが登場したときには、泣きそうになってしまった。
まとめ
シリーズ10からは、新たなコンパニオンのビル・ポッツとナードルが登場。ビルは、メンタルが強い。モンクたちにも勝ち、サイバーマンに改良されても意識を残していたぐらいですから。第1話のヘザーや亡くなった母親との物語は、もう少し観たかったかな。ナードルは、なにかと器用で有能。
これで、12代目ドクターとはさよならです。あっという間に観てしまいました。シリーズ10は、前半にはややネタ切れかな?というようなエピソードもあったのですが、それでも特に最後の3話は12代目ドクターの最期を飾るのに相応しいエピソードだったと思います。ピーター・カパルディにスタンディングオベーションを贈りたい。
また、シリーズ5からメインクリエイターを務めてきたスティーヴン・モファットも、シリーズ10をもって『ドクター・フー』から卒業します。モファット自身が脚本を書いている回は、タイムトラベルを大いに活用したプロットが多くて、自分は凄く好きでした。モファット自身の一番好きなキャラクターは、たぶんリヴァー・ソングだと思う(初登場エピソードs4ep8「静寂の図書館」以来、多くのリヴァー回の脚本を担当)のですが、それゆえか彼女の物語はとても魅力的で楽しかったです。
シリーズ11からは、『ドクター・フー』は新たなステージに突入します。史上初の女性ドクターとなる13代目を演じるのは、ジョディ・ウィテカー。クリエイターは、クリス・チブナルに交代です。この2人は、BBCのミステリードラマ『ブロードチャーチ~殺意の町~』でもタッグを組んでいます。また、新シリーズの開始当初から音楽を担当してきたマレイ・ゴールドも退任し、今度からはSegun Akinolaに交代。全く新しい『ドクター・フー』が始まります。