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アロンジ!『ドクター・フー』シリーズ3感想&各話解説

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https://www.bbc.co.uk/programmes/p0208fwp/p0208fxc

People assume that time is a strict progression of cause to effect, but actually from a non-linear, non-subjective viewpoint - it's more like a big ball wibby time-y wimey stuff.

- Doctor Who series 3 episode 10 "Blink"

 

 シーズンを重ねるごとに面白くなっていく『ドクター・フー』。シリーズ3では、そんな『ドクター・フー』の魅力が本領発揮されています。多くの伏線が用意され、魅力的な悪役も続々登場。アロンジ!

 

↓『ドクター・フー』シリーズ1,2の記事は、以前のサイト「映画の並木道」に載せています。

presbr.hatenablog.com

 

 

 

『ドクター・フー』シリーズ3基本データ

・放送日:2006年12月25日~2007年6月30日

・放送局:BBC

・話数:14話

・一話あたりの長さ:約45分

・キャスト:デヴィッド・テナント(10代目ドクター)、フリーマ・アジェマン

・予告編:

www.youtube.com

 

新たなコンパニオン、マーサ・ジョーンズ

 シリーズ2までのローズ・タイラーに代わり、シリーズ3でドクターとともに旅をすることになるのは、医学生のマーサ・ジョーンズ。まさに、医者ドクターの卵というわけです。そのため、歴代コンパニオンの中でも頭が良い方です。しばしば、救命措置を行うこともあります。

 

 マーサ・ジョーンズのキーワードは、「2番手」であるということ。マーサも、ローズ・タイラー同様ドクターに恋をしてしまうのですが、ドクターがその思いに気づくことはありません。結構あからさまに、その素振りを見せているんですけどね。ドクターはどうしてもローズのことが頭を離れないのです。それでも、マーサはドクターのために尽くすわけですから、健気ですねぇ。

 

 演じているのは、イギリスの女優フリーマ・アジェマン。彼女は、『ドクター・フー』の後に、イギリスのドラマ『LAW & ORDER: UK』にレギュラー出演しています。実はフリーマ・アジェマンは、マーサ・ジョーンズを演じる以前に、シリーズ2第12話「嵐の到来」にトーチウッドの一員として別の役で出演しています。それなりに出演シーンもあるので、シリーズ3でコンパニオンとして起用するというのは、大胆なキャスティングでしたね。

 

 エピソード解説&感想(ネタバレ)

第0話「消えた花嫁」

 シリーズ2のラストで突如ターディスに表れた謎の花嫁を巡る物語になります。この人が新しいコンパニオンになるのかと思っていたのですが、結局違いました。何かとドクターや周りの人にツッコミを入れがちな、面白い人でしたね。このエピソードでは、ターディスと車のカーチェイス(?)シーンも見所。

 

第1話「スミス&ジョーンズ」

 ついに、新コンパニオン登場!医学研修中ということで、芯が強く、頭も良いマーサ・ジョーンズの登場です。彼女は、人を助けたいという思いも一層強いです。第1話では、そういった性格が垣間見られます。加えて、タイムトラベルを利用した伏線も見られ、楽しいエピソードになっています。

 

第3話「大渋滞」

 50億年ほど未来のニュー・ニューヨークを描いた話です。6年かけて16kmしか進まない大渋滞が舞台で、なにか皮肉が込められていそう。たぶん、脚本家が渋滞に巻き込まれているときに思いついた話なのでしょう。ディストピア的な世界観が描かれていて、好きなエピソードの一つです。

 

第5話「ダーレクの進化」

 第4話「ダーレク・イン・マンハッタン」の続きになります。1930年のニューヨークを舞台に、ダーレクの生き残り(スカロ軍団)が人間たちをダーレク化しようとする話です。第4話の最後に登場したのが、ダーレクと人間が合体したヒューマン・ダーレク。触角がちょっと気持ち悪いかも。第5話の後半で登場する、ダーレクの遺伝子を持った人間は、ダーレク・ヒューマンです。紛らわしい!

 

 見所は、ダーレクがついに良心に目覚めるところ。スカロ軍団のメンバーは元から他のダーレクとは違って、命令に従うだけでなく自分で考えることもできるのですが、感情は持っていませんでした。今回、ヒューマン・ダーレクは人間と合体することで感情に目覚め、虐殺をやめようとします。しかし、他のメンバーはダーレクのままなので、謀反が起こって、ヒューマン・ダーレクは結局死ぬことになってしまいます。ダーレクだけど、なんか可哀そう。最終的に生き残ったのは、ダーレク・カーン1体のみ。カーーーン!! スター・トレック最強の悪役と同じ名前じゃないか!

 

 ちなみに、第4,5話には映画『アメイジング・スパイダーマン』のアンドリュー・ガーフィールドが出ています。カッコいい。

 

第9話「ファミリーと永遠の命」

 第8話「ジョン・スミスの恋」の続きです。このエピソードでは、ドクターは”ファミリー”という敵から逃れるために、記憶を消して普通の人間ジョン・スミスとして生活しています。しかし、いつまでも人間ではいられないので、やがてドクターに戻るときがやってきます。

 

 ドクターは、普段は陽気に旅をしているように見えますが、実はかなり辛いことを経験してきました。タイムロードというドクターの種族は、タイム・ウォーにより全員絶滅したので、今生きているのはドクターのみ。究極の天涯孤独なのです。でも、人間として生活していれば、親しい人とずっと一緒にいることもできます。そんな幸せは、ドクターのままでは得られないものなのです。人間のジョン・スミスが、そんな深い悲しみを抱えたドクターに戻るという決断を下せるのかというのが見所になります。

 

第10話「まばたきするな」

 嘆きの天使(忍び泣く天使)の初登場回です。嘆きの天使は、見られているときは石像なのですが、目を離すと高速で襲い掛かってくるエイリアンです。嘆きの天使に襲われた者は、過去のある時点に飛ばされます。2006年からの新シリーズを代表するエイリアンの一人と言って良いでしょう。

 

 このエピソードには、ドクターがほとんど登場しません。時々、指示を与えたりはするものの、実際に何をしているかは一度も語られません。代わりに主人公となるのが、サリー・スパロウ。演じるキャリー・マリガンは、映画『17歳の肖像』(2009年)でアカデミー賞にノミネートされるなど、実力派女優として知られています。

 

 今回のタイムトラベルをふんだんに生かしたストーリーもこのエピソードの魅力。嘆きの天使によってタイムトラベルしてしまった人がサリーにメッセージを残したり、逆もあったりと、とても楽しいです。このエピソードは、ヒューゴー賞短編映像部門を受賞しました。

 

第13話「ラスト・オブ・タイムロード」

 第11話「ユートピア」、第12話「鳴り響くドラム」の続きにして、シリーズ3最終話です。この3話で登場する悪役は、ドクターと同じタイムロードという種族のマスター。まさに、ドクターが悪に堕ちたパターンであり、ドクター最大の敵として立ちはだかります。タイムロードという種族の性なのか、やっぱり飄々とした態度なのですが、とにかく悪のことしか考えていません。

 

 この3話では、シリーズ3のあらゆる伏線が一気に回収されていきます。マーサの家族に付きまとっていた謎の組織の正体がマスターだと明らかになり、マスターはラザラスの若返り装置を武器に転用しています。そもそもマスターが直前まで人間だったのも、あの懐中時計を使ったからです。さらには、フェイス・オブ・ボーの正体も明らかに!?シリーズドラマという強みをフルに生かしたストーリーは見ものです。

 

 ちなみに、このエピソードではタイムパラドックスについてはっきりと言及されます。人間の子孫が人間を殺したらおかしいではないかというパラドックスなのですが、これを『ドクター・フー』はどうやって解決したのでしょうか?『ドクター・フー』の答えは、「パラドックス・マシンがあるから」。タイムロード(時の支配者)が作ったマシンなので、どうにかなるらしいです。さすがとしか言いようがない。

 

『ドクター・フー』シリーズ3総括

 シリーズ3の特徴は、伏線を生かしたストーリーになります。『ドクター・フー』はタイムトラベルものの割に、シリーズ1,2では時間軸を生かした展開があまりなかったのですが、シリーズ3ではそういったストーリーが多数登場します。最終話での伏線回収も見事ですが、第10話「まばたきするな」のように、タイムトラベルをふんだんに使ったストーリーも出てきます。タイムマシンが出てくるなら、やっぱりこうでなきゃ。

 

 シリーズ3のもう一つのキーワードは、「ローズ・タイラー」。ローズ・タイラーはシリーズ1,2のコンパニオンなのですが、シリーズ3に入ってもその存在感は小さくなるどころか大きくなっていきます。ローズにとってドクターが大切な存在だったのはわかっていましたが、ドクターにとってもローズが非常に大事な存在だったということは、シリーズ3に入って明らかになっていきました。マーサには申し訳ないなという感じもしてしまうのですが、とにかくドクターにとってローズは唯一無二の存在だったのです。

 

 悪役も、また良いですよね。特に、最後のマスターは最高。最強の敵は、ヒーローと同じ能力を持っているものですが、マスターはまさにそういった悪役でした。これエピソードで、もう出てこないのかな?ぜひ、復活してほしい。

 

 さらに、嘆きの天使も登場。自分は、マット・スミス版のシリーズ5~7はすでに観ているのですが、また出てきますよ。これが怖いんだわ。見てないときに限って襲ってくるわけですから、とてつもない恐怖です。ダーレクやサイバーマンに表情はないのですが、嘆きの天使については見た目も怖い。天使なのに、牙をむき出しにしてくるわけですから、そのギャップが怖いです。油断なりません。

 

 ほら!こうやってスクリーンを見てるあなたの背後にも、今にも襲い掛かってきていますよ!DON'T BLINK! 

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