HBOの名作ドラマ『ザ・ソプラノズ』はシーズン3に突入。大事な部下を失い、メドウが大学に行ってしまった。トニーのメンタルはどうなる!?
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『ザ・ソプラノズ』シーズン3基本データ
・原題:The Sopranos
・放送局:HBO
・放送日:2001年3月4日~5月20日
・話数:13
・予告編:
『ザ・ソプラノズ』シーズン3感想(ネタバレ)
第1話「盗聴」Mr.Ruggerio's Neighborhood
シーズン3第1話の主役は、ソプラノ・ファミリーではなく彼らを追う警察側。ソプラノ家の地下室に盗聴器を仕掛けようと四苦八苦します。ここから、さらにソプラノ・ファミリーVS警察の戦いが激化していきそうで楽しみ。激化と言う割には、シーズン始めなので、ゆるめなんですけどね。→激化しなかったなぁ(笑)
第2話「禁忌」Proshai, Livushaka
リヴィアのシーンが凄く合成っぽくて違和感があって、そのすぐ後にリヴィアは亡くなってしまいます。調べてみたところ、やはりリヴィアを演じていたナンシー・マーシャンさんが亡くなってしまったようです。あの場面も、過去の映像や音声を繋ぎ合わせたものなのでしょう。ただドラマから退場させるのではなく、多少無理をしてでも、最後にもう一度だけ彼女の姿を見せてくれたスタッフに感謝。ここまでのリヴィアの演技はとても素晴らしかったです。お悔やみ申し上げます。
第3話「儀式」Fortunate Son
クリスがソプラノ・ファミリーに正式メンバーに。小指を切るのではなく、血を少し取るだけなので、日本のヤクザよりは穏やか。このエピソードで、トニーのパニック発作の原因が明らかになります。トニーは、子供の頃に父親が肉屋の指を切るのを見て、そこから日常と暴力が密接に結びついていることに気づいたのでした。それ以来、一種のトラウマになっていたようです。
第6話「非情」University
ダンサーのステイシーを巡る話とメドウと大学の友達の話。ステイシーは、『グラディエーター』ネタしか話さないサイコパスのラルフィーに殺されてしまいます。このことに対して、静かに憤るトニー。トニーは失感情症とか言われているので、表情はそれほど豊かではないんですが、こういうときには彼の感情がビシッと伝わってきます。これも、ジェームズ・ガンドルフィニーの上手さなのでしょう。
第9話「密会」The Telltale Moozadell
アンソニーが悪さをし、クリスはクラブの経営を始めます。アンソニーがアメフトの主力選手だという理由で、何も悪さに対する処罰をしない学校はどうなのだ?でも、むしろ最近はそういう教育も実際にあるのか? クリスは、何かと不遇な目に遭いがちですが、自分のクラブを持ったことで調子が上がってくると良いですね。
後から知ったのですが、このエピソードにはレディ・ガガが出ています。アンソニーがプールで友達といたずらをしている場面がありましたが、そのときの女子生徒の一人がレディ・ガガです。当時15歳で、これが初の女優としての仕事でした。衝撃。
第10話「亡霊」To Save Us from Satan's Power
クリスマスがやってきました。トニーは、ビッグ・プッシーのことを思い出します。これまで、トニーが子供の頃の回想は何度かありましたが、少し前の回想は初めてかな。少し若いトニーが見られます。マフィアが子供たちにプレゼントを配っているというのは意外だったなぁ。オチで、メドウは歌う魚をトニーにプレゼントします。これで、トニーはシーズン2最終話の夢で出てきた喋る魚を思い出してしまいます。完全にトラウマアイテムになっています。
第11話「逃亡」Pine Barrens
ただの借金の取り立てのはずが、真冬の森の中でサバイバルをすることに!頭を撃ったはずなのにとことこ走って行ってしまうブラックユーモア的な展開も含めて、どことなく『FARGO/ファーゴ』の空気が漂うエピソード。ケチャップをそのまま食うんか~って思ったけど、イタリア料理ばかり食べてるなら案外イケるのか。
以前にトニーの愛人グロリアとメルフィーのセラピーの場面で、元カレとの破局が原因でセラピーに通い始めたみたいなことを言っていましたが、それが今回の伏線になっています。トニーに対する思い入れの深かったグロリアは、トニーから邪険に扱われたことで、逆上してしまいます。トニーの方は、相変わらず母親の幻影を見ていたようです。
第13話「決断」Army of One
オマーーーール!!!序盤に少しだけ出てきたジャッキーを匿っていた子連れの人を演じているのが、マイケル・ケネス・ウィリアムズです。『THE WIRE/ザ・ワイヤー』を観たことがある人にはオマール・リトルとしてお馴染みでしょう。『THE WIRE/ザ・ワイヤー』のキャストが出てると叫びたくなってしまうんですよね。一旦落ち着きましょう。
アンソニーが再び騒ぎを起こし、学校を退学に。ラルフィーの賭場を襲ったジャッキーには制裁が下ります。ジャッキーの行動は若気の至りだと思うので、何とか見逃してやってほしかったんですけどね。厳しい世界です。一方、これまではシーズン後半になるとトニーの調子が悪くなってきたのですが、今回は良さげ。代わりに、アンソニーのメンタルが心配になってきます。最後のジュニアの歌が良かった。
なぜトニーはレイシストなのか?
シーズン3を観ていて、私がどうしても気になったことがあります。それは、トニーがメドウの彼氏のノアに対して差別発言をしたことです。しかも、間違えようもない人種差別発言です。トニーがレイシストだとわかったときは非常に残念で、心が急速に離れていってしまいました。
ここで言いたいのは、ポリコレうんぬんとは、ちょっと違う話です。私自身は、作品中にレイシストがいること自体は別に構わないと思っています。主にコメディでですが、そういったキャラクターは現実のレイシストに対する皮肉として存在しているためです。『The Office』の主人公とか『アントラージュ』のアリ・ゴールドが典型例かな。あるいは、悪役がレイシストというのも、しばしばある設定です。ですが、トニー・ソプラノは、現実に対する皮肉でも、物語中の悪役でもありません。
『ザ・ソプラノズ』の面白いところは、主人公がマフィアのボスであるにも関わらず、私たちと同じような悩みを抱えていたりするというところにあると思うのです。しかし、レイシストというパーソナリティを持った人物には非常に共感しにくいです。共感を必要としないキャラクターならともかく、主人公のメンタルが一つの主題となっているこのドラマにおいて、トニーに全く共感できないというのは厳しいです。
自分がレイシストであるということに関して、トニーは自覚的ではないのかもしれません。彼は、周りにイタリア系しかいない環境で過ごしてきたので、自然とそういった考えになったのかもしれません。そういう点では、現実的な設定とも言えます。加えて、メドウの現代的な考えと対比させたかったのもあるのでしょう。それでも、トニーが無自覚に人種差別発言をする展開が必要だったのかは、私にはわかりません。
ちょっと長く書いてしまいましたが、否定的な意見を述べるときこそ理由をちゃんと示すべし、という考えでブログをやっているのでご了承ください。トニーがレイシストであるという点については、まったく気にならなかったという人もいると思いますけどね。自分が神経質なだけかも。
シーズン3のMVP
シーズンごとに、私が最も気に入ったキャラクターを勝手にMVPとして表彰しています。シーズン3のMVPは、イタリアからやって来たマフィアのフリオです!フリオは面白い!銃で撃たれて脚を怪我した後は、華麗にコケてみせてくれます。それに、組織を裏切らないという安心感もあります。やっぱり本場のマフィアは違うね!
まとめ
以上、『ザ・ソプラノズ』シーズン3の感想でした。ベストエピソードは第3話かな。日常と、そのすぐ裏に潜む暴力に気づかされる展開はとても面白かったです。ちょっと特殊なんだけど、ブラックユーモアが効いた展開とトニーの心理がまた一つ明らかになった第11話も良い。MVPを受賞したフリオのさらなる活躍も願います。
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