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クララクララ!『ドクター・フー』シーズン8感想解説

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That's him. Look at him right now. That's who he is.

- Danny Pink in Doctor Who series 8  

 

 『ドクター・フー』シリーズ8からドクターを演じるのは、12代目のピーター・カパルディになります。11代目と比べると見た目では、かなり年を増した感じですが、だからといって冒険が大人しくなるわけはありません。新たなドクターと、お馴染みのクララとともに、8年目の旅に出発です。

 

関連記事:『ドクター・フー』を見る順番は?スピンオフの『トーチウッド』『クラス』も含めて紹介 - 海外ドラマパンチ

 

『ドクター・フー』シリーズ8基本データ

・放送局:BBC

・放送日:2014年8月23日~2014年11月8日

・話数:12

・予告編:

www.youtube.com

 

シリーズ8各話感想(ネタバレあり)

第1話「深呼吸」

 ついにピーター・カパルディ演じる12代目ドクターの登場です。恐竜に飲み込まれたターディスは、ヴァストラたちのいるヴィクトリア朝時代に落下。人間の臓器を盗む機械人間に挑みます。人間の肌で作った気球って、、、もの凄く、、、グロテスク、、、

 

 いきなり初老の男性に再生してしまったドクターに、クララは物怖じしてしまいます。それでも、ドクターとの冒険や11代目からの電話で受け入れることを決意します。基本的にクララは寛容な人間だと思っているので、再生のときのコンパニオンがクララで良かった。ヴァストラとジェニーの戦闘スタイルは、いつもカッコ良い!

 

第2話「ダーレクの中へ」

 ドクターとクララは、善良なダーレクの体内を冒険します。ダーレク版ミクロの決死圏ですね。ラスティと呼ばれたダーレクは、星の誕生の瞬間を見て改心したということですが、これは有り得る話だと思います。s7ep9「井戸の魔女」では、地球の誕生から終わりまでを目の当たりにしたクララが衝撃を受けていました。自分も見てみたいものです。

 

第3話「シャーウッドの森のロボット」

 ロビン・フッドの話。ロビン・フッドを敬愛するクララと、頑なに本物であることを信じようとしないドクター。ロビンとドクターは、ずっと小競り合いをしているのですが、それはそれで面白かったり。だからこそ、クララの存在が不可欠なんだとも思ったり。

 

第4話「聞いて」

 人がいるはずもないのに、人の気配を感じてしまうことってありますよね。シャワーを浴びているときとか。今回はそんな話。人の気配を感じるので『ドクター・フー』流に考えれば、そこにはエイリアンがいるはずです。しかし、なんと今回は何もいませんでした!実際には、それは暗闇に対する恐怖だったのです。ドクターも怖れるのです。それをドクター自身が改めて自覚するのでした。

 

第5話「銀行強盗」

 ドクターたちは、いきなり銀行強盗をすることに。その実際の目的は、生き残りも種族を助けるためでした。脳ミソをスープにしてしまうテラー(恐怖)というエイリアンが登場するのですが、その名の通りめちゃくちゃ怖い。

 

第6話「校務員」

 クララの学校にドクターがやってきて、数学教諭(体育ではない)のダニー・ピンクと出会う。個人的に、ドクターが現在の日常に入り込むエピソードは好きで、s7ep4「キューブのパワー」とかも楽しいですよね。

 

 今回のエピソードは、s2ep3「同窓会」といくつか共通点があります。このときも学校が舞台で、当時のコンパニオンのローズ・タイラーの彼氏のミッキー・スミスも出てきました。そういえば、ミッキーもダニー同様、ドクターには嫌われていましたね。ちなみに、クララが務めるコールヒル校の高校部は、スピンオフドラマ『クラス~ねらわれたコールヒル高校~』の舞台になっています。

 

第7話「月を殺せ」

 ドクターとクララは、生徒のコートニーとともに月に向かいます。そこで、見つけたのは蜘蛛のような単細胞生物の軍団でした。アラクノフォビア(蜘蛛恐怖症)になりそう。そして、月の正体は宇宙最大の生物の卵だったことが明らかになります。

 

 月を破壊するべきか、そのまま孵化させるべきか。自分だったら、十中八九破壊する方を選びますが(さすがに人類を犠牲にするわけにはいかない)、クララは孵化させる方を選びます。最終的には、新たな月ができて無事に事態は収まりました。しかし、大事な決断をするときにドクターがいてくれなかったことに、クララは激怒。その気持ち、わかる。

 

第8話「オリエント急行のミイラ」

 オリエント急行に殺人ミイラが現れた!ドクターは、犠牲者が増えればいずれ対処法も見つかるだろうということで、次々と乗客を見殺しにしまう。それは、いささか薄情すぎないか!?さらっと、ここ最近で一番残酷なことをやってるぞ。そのことは抜きにすると、あの銀河鉄道オリエント急行には乗ってみたいものです。

 

第9話「平面の敵」

 3次元のものを2次元にしてしまうモンスターが登場。現代アートのようなビジュアルで、人々を襲ってきます。小さいターディスが面白い。しまいには、アダムス・ファミリーまでしちゃって(笑)

 

第10話「夜に現れた森」

 地球が、突如森で覆われます。究極のエコですね。実は、この森は地球を太陽風から守るためのものだったのです。酸素だけで太陽風を防げるかというと、実際にはそんなわけはないのですが、もはやそんなことを気にしている視聴者はいないでしょう。

 

第11話「ネザースフィア」第12話「天国での死」

 ダニー・ピンク、死亡。クララは闇堕ちし、ドクターを裏切ろうとします。ツラいなぁ。それでも、ドクターは体育教師を救いに向かいます。そこで出会ったのが、これまでもちょくちょく顔を見せていたミッシーという女性。彼女の正体が、ドクターの宿敵のマスターであったことが11話のラストで明らかになります。

 

 マスターは、シリーズ4以来の登場ですね。あのときはジョン・シムがマスターを演じていたのですが、自分はこのマスターが大好きなんですよ。今回はミシェル・ゴメスという女優が演じたのですが、これもまた実に良い。どこかネジが外れちゃった悪役が良いんですよね。バットマンにはジョーカーがいますが、ドクターにはマスターがいます。

 

 UNITは50周年記念エピソード「ドクターの日」以来の登場。サイバーマンは、以前にも何回か世界中に現れたことがあります。たぶんダーレクよりも、地球を実効的に支配した回数が多いと思います。サイバーマンは、人間を取り込んだ殺人アンドロイドなので、そこにはいつも悲しい物語があります。ピンクさん、さようなら。

 

 最後には、ダニーを取り戻せなかったクララと、ガリフレイを見つけられなかったドクターが再会するも、二人ともそのことを隠してお別れを告げます。O・ヘンリーの『賢者の贈り物』みたいな展開ですね。互いを思いやるがゆえに、二人ともがすれ違った決断をしてしまうというのは、切ない。

 

まとめ

 12代目ドクターには、どこか裏切られそうなところを感じます。ややキツめの見た目もそうですが、「月を殺せ」や「オリエント急行のミイラ」での非情とも思える言動がそう思わせます。

 

 ただ、そこには愛すべきクララがいてくれるので、ちゃんとバランスが取れています。クララは、ドクターを信頼しながらも、きちんと批判もします。ある意味では、最高のコンパニオンなのではないかと思っています。

 

 そして、ピーター・カパルディの演技の上手さよ。ドクターは、救済者であるとともに、多くの者を死に至らせいるという二面性を持つキャラクターです。これまでのドクター俳優も十分に上手かったのですが、ピーター・カパルディ演じる12代目は、常にこの二面性を感じさせるところがあります。コミカルさを維持しながら、良い意味で全く甘さのないドクターは、観ていて非常に面白いです。

 

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