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Amazonドラマ『ユートピア~悪のウイルス~』シーズン1感想-Where is Utopia?-

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What have you done today to earn your place in this crowded world?

- Dr. Kevin Christie in Utopia season 1

 

 このブログで何度か「今年一番の注目作」と書いたことのある、Amazon版『ユートピア』がついに日本に上陸しました。すでに元祖イギリス版『ユートピア』は、2シーズンとも観ているので、しかも今度はギリアン・フリンが脚本ということで楽しみにしていました。果たして、その結果やいかに?

※この記事の前半にネタバレはありません。「あらすじ」以降はネタバレありです。

 

追記:Amazon版『ユートピア』はシーズン1で打ちきられることが発表されました。シーズン2以降はありません。

 

  

 

 

ドラマ『ユートピア~悪のウイルス~』シーズン1基本データ

・原題:Utopia

・配信元:Amazonプライムビデオ

・配信日:2020年9月25日(アメリカ),10月30日(日本)

・クリエイター:ギリアン・フリン

・キャスト:ジョン・キューザック、レイン・ウィルソン、ジェシカ・ローテ、サーシャ・レーン

・かわいい予告編:

www.youtube.com

 

・かわいくない予告編(R15):

www.youtube.com

↑かわいくない予告編を観て無理だと思った人は、本編も観ない方が良いです。

 

海外ドラマ『ユートピア』とは?

 つい先日、Amazonプライムビデオで公開されたAmazonオリジナルドラマ『ユートピア』は、イギリスの同名ドラマのリメイク版になります。イギリス版(UK版)の『ユートピア』は、2014年に国際エミー賞を受賞しており、知る人ぞ知る名作になっています。

 

 UK版の最たる魅力は、その強烈すぎるビジュアルや音楽などのプロダクションデザインにあります。原色を多用した独特なデザイン、耳から離れないテーマ曲、目をそむけたくなるようなバイオレンス。さらに、予測不能なストーリーも見応えがあります。詳しくは、以下の記事にネタバレなしで書いています。

psbr.hatenablog.com

 

 今回のAmazonリメイク版を手掛けるのは、映画『ゴーン・ガール』やドラマ『シャープ・オブジェクツ』の原作小説を著したギリアン・フリンです。実は、第5話である劇場が映ったときに、「GONE GIRL THE MUSICAL」と書いてあるのに気づきましたか?ちょっとした遊び心ですね。

 

 Amazon版『ユートピア』で、製薬会社のクリスティー博士を演じるのは、映画『マルコヴィッチの穴』などで知られるジョン・キューザック。スターンズ博士役は、US版ドラマ『The Office』などに出演したレイン・ウィルソン。サマンサ役は、映画『ハッピー・デス・デイ』に主演したジェシカ・ローテ。国土安全保障省のミルナー捜査官を演じるのは、ドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』でキーマ・グレッグス刑事を演じたソーニャ・ソーンです。

 

 なお、最初に言っておくと、Amazon版『ユートピア』は非常に賛否が分かれています。その一つの原因に、今のコロナ禍があります。このドラマは、世界的な感染症が企業の陰謀であったという話です。実は、これと同じようなことを、新型コロナに関しても実際に起こっていると信じている人々がいます。このドラマが、そういった考えを助長しかねないと考える人もいて、この時期に公開するのは不適切だと言っているのです。

 

 私は、全くそんなことを意識せずに観ていました。そして、たぶんそれが一番良いと思います。そもそも、製作されたのもコロナ禍の前ですし、あくまでもエンターテインメントです。無理に現実に当て嵌めようとしないでください。それでも気になる方もいらっしゃると思うので、そういう方はコロナ禍が収束してから観ることを推奨します。

 

 

 

Amazonドラマ『ユートピア』あらすじ(ネタバレ)

 カルトコミック『ディストピア』のファンであるサマンサ、ウィルソン、イアン、ベッキー、グラントは、続編の『ユートピア』の情報を聞きつけ、何とかして手に入れようとする。一方で、悪の組織「ハーベスト」の殺し屋のアービーも、『ユートピア』とジェシカ・ハイドを探していた。ジェシカ・ハイドは、コミック『ユートピア』の主人公であるが、実際には作者の娘である。

 

 世間では、謎のインフルエンザが子供たちを中心に流行していた。このウイルスが、過去に自分が研究していたものだと気づいたスターン博士は、独自に調査を始める。

 

 クリスティー博士と彼の息子は、製薬会社を経営していた。実は、彼らこそが子供たちにウイルスを蔓延させていたのである。アービーを差し向けたのも彼らの仕業だった。アービーとジェシカ・ハイドは、元々同じ「ホーム」にいた。ここでは、子供たちは自らが殉死するために生まれてきたのだと教えられている。

 

 クリスティー博士の計画というのが、人間を三世代に渡って不妊にするというものだった。これにより、地球上の人口は適切な数にまで抑えられるだろうと考えていた。子供たちを殺すウイルスなどはどうでも良く、ワクチンにこそ目的とする物質が含まれていた。『ユートピア』には、その物質のことが書かれていたのだ。この計画に共感したウィルソンは、ハーベスト側に寝返る。ラストでは、ミスター・ラビットの正体がミルナー捜査官だったことが明らかになる。

 

  Amazon版『ユートピア』の話は、UK版とほとんど同じなので、以下のUK版『ユートピア』シーズン2の記事でも同じようなことを書いています。記事の中に登場する用語で、悪の組織「ネットワーク」を「ハーベスト」に置き換えて、ダグデイルさん関連の話を無視してもらえれば問題ないと思います。「環境問題の解決法」の項は、役に立つかも。あ、でもAmazon版シーズン2(あるかわからないけど)のネタバレをされたくない人は、気を付けた方が良いかもしれません。

psbr.hatenablog.com

 

Amazonドラマ『ユートピア』感想(ネタバレ)

 リメイク版『ユートピア』は、Amazonオリジナル作品であるにも関わらず、なぜか日本での公開はアメリカから1ヶ月遅れでした。そのせいで、アメリカでは賛否両論だという評判をすでに耳にしていました。

 

 実際に観てみて、私はどう思ったかというと、私も微妙だと感じてしまいました。ギリアン・フリンが脚本なので、以前から期待していたんですけど、う~ん。でも、UK版を観たことがない方なら、それなりに面白いと感じるのかもしれません。私自身は、どうしてもUK版と比較してしまうので、上手くないなと感じてしまったところはあると思います。

 

 第1話は、そこまで悪くないと思います。UK版と比べるとトーンが全然違うのですが、そんなことで文句を言うつもりは、さらさらありません。だって、同じことやったらリメイクの意味がないでしょ。スマートフォンのやり取りなんかも含めて、ポップな感じで始まったので、これはこれでアリなんじゃないかなと思っていました。

 

 この第1話は、映像が面白いんです。終盤のアービーたちが殺戮しまくるところなんかは、上手いですよね。この回の監督のトビー・ヘインズは、ドラマ『SHERLOCK/シャーロック』の「ライヘンバッハ・ヒーロー」や、『ブラック・ミラー』の「宇宙船カリスタ―号」も撮っていて、その腕は確かです。

 

 私が予告編を観たときから気になっていたのは、ジェシカ・ローテ演じるサマンサです。彼女は、Uk版には登場していなかった新キャラクターなので、私も彼女がどんな役割を果たすのかわからず、わくわくしていました。な~の~に!第2話のラストで死んでしまいました。 新キャラを入れたは良いが、すぐ退場するとは、とんでもねぇ展開だ!ジェシカ・ローテ・ブームが来ると思って、こんな記事まで用意してたのに(笑)!

psbr.hatenablog.com

 

 この第2話あたりから、私の中では暗雲が立ち込め始めました。ストーリーのベースがUK版なので、あらかたの展開の予想はつきます。それでもクリスティー博士やスターンズ博士の設定が大きく変わっていたので、全てがわかっていたわけではありません。しかし、なぜか盛り上がりません。何かが足りない。

 

 

 

なぜ、Amazon版『ユートピア』は過度に暴力的なのか?

 今回のAmazon版『ユートピア』に決定的に欠けていたもの。それは「スリル」または「ユーモア」です。両方を備えていたのがUK版だったのですが、別に両方はなくても良作にすることは出来ます。でも、Amazon版は両方ともありません。ストーリー自体は、UK版と同じく予測不能で興味深いものであるにも関わらず、あまりハラハラさせられませんでした。

 

 過剰なバイオレンスも上手く機能していないように感じました。『ザ・ボーイズ』にも、過剰すぎて笑ってしまうほどのバイオレンスはありました。でも、それはスーパーヒーローたちが、その能力の使い方を一歩誤ればこんなことになってしまうんだぞ、ということも示していました。

 

 では、なぜUK版『ユートピア』は、あれほど暴力的でも良かったのでしょう?それは、黄色いなどの原色を多用したデザインに、赤い血の色はとてもよく映えるからです。私はそう解釈しています。また、どちらの作品でも、過剰なバイオレンスがブラックジョークとしても効いています。

 

 そういったことを踏まえると、果たしてAmazon版『ユートピア』に過激描写が取り入れられた意味はなんでしょう?私には、ただUK版のコピーをしたかっただけにしか思えませんでした。ブラックジョークも寒く感じてしまい、やはりこういうネタはイギリス人に任せるべきなのでしょうか??

 

 
 
 
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 ↑劇中コミックのデザインは素晴らしい。エンドロールでは、このコミックの場面を少しずつ見ていくことが出来るのですが、これは見入ってしまいます。色付きドニー・ダーコみたいな兎も良いね。

 

 あと、音楽。UK版も凄く印象的だったけど、今回のも面白かった。作曲したのは、ジェフ・ルッソという方なのですが、これまでにはドラマ『FARGO/ファーゴ』や『アンブレラ・アカデミー』の音楽も担当しています。さすがです。

 

追記:『ユートピア』はシーズン1で打ちきられるそうです。とんでもないクリフハンガーで終わってしまったのですが、これもやむ無しか。

 

まとめ

 総括としては、プロダクションデザイン面では見るべきところもあります。しかし、肝心のストーリー展開や過剰なバイオレンスが空回りしてしまったかなと思います。

 

 ただし、何を適当なことを言っているんだ!面白かったよ!という意見もあるでしょうし、それはそれで正しいです。ここまで書いてきたことは、あくまでも私の意見に過ぎません。特に、今回は私自身が既にUK版を観ていること、そして英国ドラマ贔屓である(個人の嗜好なので仕方ない)ことなどから、見方が大きく偏っています。これは、一つの感想に過ぎないということを改めて記しておきます。

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