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海外ドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』シーズン1感想

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 You come at the king, you best not miss.

- Omar in "The Wire" season 1

 

 『ゲーム・オブ・スローンズ』『ウエストワールド』といったハイクオリティドラマで知られるHBOですが、それは刑事ドラマについても同様です。2014年には『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』という刑事ドラマの傑作を生み出しています。今回は、そんなHBOの名作刑事ドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』を紹介していきます。

 

 ↓ネタバレなし紹介はこちら

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『THE WIRE/ザ・ワイヤー』シーズン1基本データ

・原題:The Wire

・放送局:HBO

・放送日:2002年6月2日~9月8日

・話数:13

・一話あたりの長さ:55~66分

・テーマ曲:"Way Down in the Hole" Tom Waits

・あらすじ:

 ボルティモア市警察殺人課のジミー・マクノルティは、誰も捜査をしてこなかった麻薬組織を担当することになった。しかし、そのために招集されたチームは各部署の使えない者ばかりで、物資も満足には与えられなかった。

・オープニング(シーズン1):

www.youtube.com

 

こんな人におすすめ!

・刑事ドラマが好きな人

・リアリティ重視の作品が好きな人

・HBOドラマが好きな人
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刑事ドラマの名作『THE WIRE/ザ・ワイヤー』とは

 『THE WIRE/ザ・ワイヤー』は、刑事ドラマの名作として本国アメリカでは有名なのですが、日本ではほとんど知られていないというのが現状です。というのも、『THE WIRE/ザ・ワイヤー』の日本版DVD等が発売されておらず、衛星放送や配信サービスで観るほかにないというのがあります。現在は、Amazon Prime Videoでのみシーズン1~5が配信中です。

 

 『THE WIRE/ザ・ワイヤー』は世界最大の映画・ドラマのレビューサイトIMDbにおいて、全ドラマの中で『バンド・オブ・ブラザーズ』『ブレイキング・バッド』『チェルノブイリ』に次いで高い評価を受けています。5シーズン続いてはいるものの、クオリティが落ちることは全くなく、多くのファンを獲得していると言えるでしょう。

 

徹底したリアリティ

 『THE WIRE/ザ・ワイヤー』の最も大きな特徴は、その徹底したリアリティにあります。BGMは少なく、派手な展開や銃撃戦もありません。捜査が思うように行くとは限らず、捜査チームのメンバーも清廉潔白な人物ではありません。登場人物も、ボルティモアの社会を反映し、多くが黒人です。 

 

 最もリアリティを感じるのは、麻薬組織の特に下っ端のメンバーです。貧困地域の黒人少年たちは、望んで麻薬売人になりたいとは限りません。むしろ、それ以外の選択肢がないからやっているのだという場合がほとんどです。『THE WIRE/ザ・ワイヤー』では、そういった現状も描き出されます。

 

 警察側のごたごたも、実態を反映してのものなのでしょうか。マクノルティらは、何度もやりたい捜査ができないという憂き目にあったり、上司のポスト争いに巻き込まれたりします。そもそもタイトルにあるwire(盗聴)をするのにも、様々な法手続きが必要で、実際に盗聴を開始するのは第6話あたりからです。

 

 『THE WIRE/ザ・ワイヤー』のリアリティをもたらしているのは、そういったストーリーだけではありません。話の進み方が、少々独特なのです。会話が途中で切られて別のシーンに移ったり、話が飛ぶことがしばしばあります。現実では多くの物事が同時進行で進むため、『THE WIRE/ザ・ワイヤー』では、前のエピソードで言っていたことが次のエピソードのシーンにつながっていたりします。つまり、普通のドラマならばもう少し話の展開がわかりやすいような編集がされるのですが、『THE WIRE/ザ・ワイヤー』では一貫して時系列順に展開していきます。これは、むしろドキュメンタリーの手法に近いのではないかと思われます。

 

すべての登場人物が愛おしい

 『THE WIRE/ザ・ワイヤー』には、かなり多くの登場人物が出てくるのですが、ある程度観ていくと、すべての人物のことがわかってきます。そうすると、たとえ麻薬組織側の人間であっても、全くの悪人など出てこないことがわかります。むしろ、警察組織や法曹界の連中に虫の好かない人が多いです。

 

 例えば、麻薬組織の下っ端のウォレスなどは本当に良い奴なんですよね。子供たちの面倒を見て、自分が組織の敵をチクったことでその人物が殺されたことに良心が痛んでしまいます。そんなウォレスを見守るディアンジェロも結構良い奴なんです。オマールは暴走しがちだけど、ゲイとしての伴侶を失うという悲しい経験をしています。

 

 一方の警察組織は、汚職がはびこってはいるものの、愛おしい人が多いです。特に、質屋勤務だったレスターやドジのプリズブリスキーが、その特技を発揮して「やるじゃん!」と思わせてくれるのは、楽しいところです。どうでもいい話しかしないハークの存在は、ちょっとした息抜きにもなりますね。

 

 他にも、バブルスやキーマ、もちろんマクノルティも含めて、愛おしいと思える人がとても多いです。堅物な印象のダニエルズも、仕方なく汚職をしている人物であり、妻にもそのことは理解してもらっているので、意外と可哀そうな奴なんです。

 

 

 

『THE WIRE/ザ・ワイヤー』シーズン1まとめ

 『THE WIRE/ザ・ワイヤー』は、リアリティを徹底的に追及した名作ドラマというのは確かでしょう。ただ、刑事ドラマというよりは、アメリカ社会を鋭く切り取った作品と捉えた方が正しいのかもしれません。

 

 ただ、しばしば『THE WIRE/ザ・ワイヤー』を最初から一気見するのはちょっとキツいかなというのが正直なところ。1時間×13話で、コメディ要素もほとんどないので、最初の方はあまりリズムがつかめず大変です。そのため、自分もまだ大絶賛とまではいっていないのですが、このリズムに慣れてくれば楽しめそうです。

 

 自分は、同じくHBOの『アントラージュ★オレたちのハリウッド』のときも同じようなことを感じていました。こちらも、アメリカで大人気だったドラマなのですが、最初は「言うほど面白いわけでは…」という感じもしました。でも、シーズン3ぐらいから本当にハマり始めて、今では大好きなドラマの一つです。特にHBOはこういうことが多いので、『THE WIRE/ザ・ワイヤー』についても、もう少し観ていきたいと思います。

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