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刑事ドラマの決定版『BOSCH/ボッシュ』が面白い!その魅力を徹底解剖

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I don't believe there's a better world than this one. I think this is the only one we got.

- Harry Bosch, Bosch

 

 この記事を読んでいる人は、刑事ドラマの一つや二つはご覧になったことがあると思います。これを書いている筆者は、一つや二つどころではなくて、ほとんど刑事ドラマ中毒の状態です。

 

 これまで観てきた数ある刑事ドラマの中でも、まさに決定版と言えるような一作があります。それが、Amazonオリジナルドラマ『BOSCH/ボッシュ』。今回は、激シブ刑事の魅力が堪らないドラマ『BOSCH/ボッシュ』の見どころをネタバレなしで紹介していきます。

 

↓ ポッドキャストでも、ドラマ『BOSCH/ボッシュ』とその続編『ボッシュ:受け継がれるもの』に関するトークを展開中!

 

 

 

基本データ

  • 原題:BOSCH
  • 原作:マイクル・コナリー
  • 配信元:Amazonプライムビデオ
  • 製作時期:2014~2021年
  • シーズン数:7
  • 話数:68
  • テーマ曲:Can’t Let Go -Caught a Ghost
  • キャスト:タイタス・ウェリバー、ジェイミー・ヘクター、ランス・レディック、マディソン・リンツ
  • あらすじ:ロサンゼルス市警ハリウッド署の刑事ハリー・ボッシュが、相棒のエドガーらとともに殺人事件に挑む。

シーズン1予告編

 

 全7シーズンが製作された『BOSCH/ボッシュ』は、Amazonプライムビデオのオリジナル作品の中で最も長く続いたドラマです。2022年からは、続編となるドラマ『ボッシュ:受け継がれるもの』の配信も始まります。こちらもすでにシーズン2が製作されることが決まっています。

 

 原作は、マイクル・コナリーによるハリー・ボッシュ・シリーズ。コナリーは、このドラマ版の製作にも携わっています。他に、映画化およびNetflixでドラマ化もされた『リンカーン弁護士』シリーズの原作もマイクル・コナリーです。

 

 ドラマは、シーズンごとにいくつかの原作をベースにして作られています。マイクル・コナリーの著作は、ほぼすべてが邦訳して出版されています。以下が原作リストです。

 

シーズン1

『ブラック・ハート』『シティ・オブ・ボーンズ』『エコー・パーク』

シーズン2

『ラスト・コヨーテ』『トランク・ミュージック』

シーズン3

『ナイトホークス』『夜より暗き闇』『転落の街』

シーズン4

『堕天使は地獄へ飛ぶ』(改題:エンジェルズ・フライト)

シーズン5

『汚名』

シーズン6

『死角』『素晴らしき世界』

シーズン7

『燃える部屋』

 

 なお、これは原作が発表された順番とは大きく異なります。原作の順番を知りたかったら、以下のWikipediaの記事を読んでください。

ハリー・ボッシュ・シリーズ - Wikipedia

 

 ここからは、ドラマ『BOSCH/ボッシュ』の魅力を語っていきます。

 

 

夢破れる街ハリウッド

 ドラマ『BOSCH/ボッシュ』のメインの舞台はハリウッド。ハリウッドと言えば、映画の都として有名ですが、ここで描かれるハリウッドはちょっと違います。事件に映画関係者が絡んでいることもありますが、その要素が前面に押し出されることはあまりありません。

 

 端的に言うと、他の作品で描かれるハリウッドは「夢の街」であるのに対し、『ボッシュ』のハリウッドは「夢に破れる街」といったところでしょうか。ハリウッドには夢を追ってやってくる人が多くいる一方で、実際に夢を掴めるのはごくわずか。映画業界に入れなかった人や、そういった人間を食い物にする人たちもたくさんいます。

 

 ハリウッドを舞台にした刑事ドラマというと『刑事コロンボ』もあります。このドラマの場合は、犯人が成功者である場合が多く、そこで描かれるハリウッドはあくまでも夢の街です。

 

 一方『BOSCH/ボッシュ』では、富める者から貧しい者まで、様々な地位の人が犯罪に関わっています。そのことで、物語に一定のリアリティがもたらされ、ハリウッドの街を多面的に描くことにも成功しています。

 

 ハリウッドを描くと言うことに関しては、街並みの描き方もとても上手い。この街には様々な犯罪者やその被害者がいるのですが、まるでそんな人々は存在しないかのように、景色は残酷なまでに美しいのです。ハリーの自宅は高台にあるため、ハリウッドの夜景を一望できるのですが、これが惚れ惚れするほど綺麗。毎晩、こんな夜景が見られるのは羨ましすぎる!

 

安定の人間関係

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 ハリーには離婚経験があり、元妻との間に娘が一人います。完全に典型的な刑事ドラマの主人公です。でも、娘との仲はとても良いんです。元妻との関係も良好で、娘に会いに来た時などには快く迎えてくれます。

 

 署内での人間関係も、とてもクリア。相棒のジェリー・エドガーとは信頼し合っており、同僚たちとも冗談を言いながら上手くやっています。ボスとの関係も良し。たまに仕事の関係で人間関係に苦労することはありますが、ジェリーや同僚たちとの関係が致命的なまでに険悪になることはありません。

 

 同僚との関係があまり深入りしすぎていないのが良いのかもしれません。他のドラマだと、職場恋愛が必ずと言って良いほど出てきますし、相棒との距離がもの凄く近かったりします。「俺たちは死ぬまで一緒だぜ!」みたいな。それほど人間関係が濃いと、事件とは関係ないことで人間関係がギスギスしてしまうことがあります。

 

 『BOSCH/ボッシュ』に登場する刑事たちはもっとプロフェッショナルに徹しています。同僚としては仲が良く、互いを気に掛け合いながらも、家族などパーソナルな部分には踏み込み過ぎない。刑事たちにとっては居心地の良い職場環境なのではないでしょうか。

 

充実のアクション

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 刑事ドラマにアクションは欠かせません。『BOSCH/ボッシュ』もその点は抜かりありません。ハリウッドが舞台ではあるのですが、アクションは派手なハリウッド映画のようではなく、むしろリアリティ重視。地に足が付いた銃撃戦は、まさに求めていたアクションそのものです。

 

 主人公のハリー・ボッシュを演じるタイタス・ウェリバーが銃を構える姿も様になっています。このドラマにおいて、タイタス・ウェリバーの魅力の貢献度は半端ありません。こんなに刑事役がハマっている俳優が他にいるでしょうか。この渋さ! いや~、たまらない。

 

事件のリアリティ

 ここまでも紹介してきたように『BOSCH/ボッシュ』は、とてもリアリティを重視した刑事ドラマです。それは人間関係やアクションだけではありません。物語自体にも、他の刑事ドラマではあまり見られないような工夫がされています。

 

 ドラマでは、基本的に1シーズンで1つの大きな事件を扱っていきますが、本物の刑事は同時に複数の事件を抱えていることもあります。『ボッシュ』はそのことも忘れていません。このドラマには、捜査過程の一部しか見せない事件が多く存在します。例えば、事件発生の場面が描かれていないはずなのに、刑事たちがいきなり捜査をしていたりします。あるいは、解決する場面がなかったり、あっけなく解決してしまう事件もあります。

 

 これらの展開は、視聴者を一瞬混乱させます。事件の始まりから最後まで描いた方がわかりやすいはずですから。しかし、『ボッシュ』は事件捜査だけでなく、刑事たちの日常を描き出すドラマでもあります。刑事たちが日々、様々な事件を扱っていることが、このドラマからはよく伝わってきます。

 

余談ー『THE WIRE』と『BOSCH』ー

 『BOSCH/ボッシュ』と非常によく似た顔ぶれが見られるドラマに『THE WIRE/ザ・ワイヤー』があります。『THE WIRE/ザ・ワイヤー』は、2002~08年にアメリカのHBOで放送された名作クライムドラマです。ジェイミー・ヘクター(ジェリー役)やランス・レディック(チーフ役)はこのドラマで主要キャストだったのですが、他にも共通するキャストが何人もいます。

 

 ボッシュを製作しているEric Ellis Overmyerは、ザ・ワイヤーでも何話か脚本を書いていて、ザ・ワイヤーを製作したデヴィッド・サイモンと仕事をしていることが多いので、その縁があるからなのでしょう。ドラマ自体も、BGMをあまり使わないところなどは共通しています。

関連記事:なぜ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』は史上最高のテレビドラマと言われるのか? - 海外ドラマパンチ

 

まとめ

 ハリウッドを舞台に、離婚経験のある刑事が相棒とともに事件に挑むという設定自体はありふれたものですが、『BOSCH/ボッシュ』の一貫したリアリティは他の刑事ドラマとは一線を画します。長年のドラマファンであっても納得できるクオリティであり、まさに大人がゆったり楽しむための刑事ドラマです。おすすめ。

 

↓ ポッドキャストでも、ドラマ『BOSCH/ボッシュ』とその続編『ボッシュ:受け継がれるもの』に関するトークを展開中!

 

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