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刑事ドラマの最高傑作『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン1

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https://www.hbo.com/true-detective/season-1

Time is a flat circle. Everything we've ever done or will do, we're gonna do over and over  and over again.

-True Detective season 1 

 

 「傑作」という言葉を軽々しく使うつもりはないのですが、『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン1に関して言えば、これは最高傑作です。これまで様々な刑事ドラマや刑事が主人公の映画を観てきましたが、その中で『TRUE DETECTIVE』は群を抜いてクオリティが高く、これほどに感銘を受けた作品は他にありませんでした。

 

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『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン1基本データ

・放送日:2014年1月12日~3月9日

・放送局:HBO

・話数:8話

・一話あたりの長さ:60分

・監督:キャリー・ジョージ・フクナガ

・脚本:ニック・ピゾラット

・キャスト:マシュー・マコノヒーウディ・ハレルソン

・OP曲:”Far From Any Road" The Handsome Family

・あらすじ:1995年のルイジアナ州で、奇妙な装飾をされた女性の死体が見つかった。それは、刑事のマーティン・ハートとラスト・コールによる、17年間に渡る闘いの始まりだった。

・予告編:

www.youtube.com

一人の監督

 通常、テレビドラマの場合は一話ごとに監督や脚本家が違うことが普通なのですが、『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』では全てのエピソードの監督をキャリー・ジョージ・フクナガが、脚本をニック・ピゾラットが手掛けています。そのため、ドラマは全体を通してトーンが一貫しており、濃厚なストーリーを語ることができます。

 

 監督のキャリー・ジョージ・フクナガは、今年4月に公開される『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』の監督を務めています。ニック・ピゾラットは、『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2と3の脚本も手掛けています。

 

 『TRUE DETECTIVE』の巧みなストーリー展開については後述しますが、このドラマはその映像も見事です。特に、第4話終盤の約6分間に渡る長回しには驚嘆させられます。これだけ登場人物やカメラが動き回っていながら、一つもカットをせずにどうやって撮影したのでしょうか⁉ また、各話の終わりに見られる、大きく空の方向に引いていくシーンもとても印象的です。

 

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二人の刑事

 『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』の主人公は、マーティン・ハートとラスト・コールという二人の刑事です。二人ともクセのある人物ではあるのですが、見ているうちに愛着も湧いてきます。

 

 マーティン・ハートは、ルイジアナ州警察に勤めるいかにも刑事らしい刑事です。仲間の刑事たちからも信頼されていて、交友関係も広い社交的な人物です。妻と二人の娘もいて、特に娘のことは大事に思っています。そのため、子供が被害者になっている事件にはひどく心を痛めつけられることがあります。その一方で、仕事と家族に対するストレスからか、浮気をすることもあります。

 

 ラスト・コールは、1995年の事件の時点ではまだルイジアナ州警察に赴任してきて3か月ほどしか経っていません。マーティンとは対照的に社交性はなく、警察の仲間からもあまり信頼されていません。唯一、マーティンだけは彼の味方になってくれます。今は結婚しておらず、付き合っている女性もいないため、常に事件のことを考えています。過去には結婚していて娘もいましたが、交通事故で娘を亡くしたことをきっかけに、離婚しました。哲学的に物事を考えることが多いです。尋問の達人としても活躍することになります。

 

 マーティン・ハートもラスト・コールも、人間としては、それほど立派なわけではありません。マーティンは浮気をするし、ラストは人と衝突することがしばしばあります。それぞれに欠点はあるのですが、正義を果たしたいという思いはブレることがありません。

 

 自分はラスト・コールの哲学探偵スタイルが好きです。彼の話は、犯罪絡みのことに限らず、医学におけるナイチンゲール症候群や、物理学におけるM理論にまで及びます。刑事なのに、ここまで色んなことを知っていて考えているというのは、とてもカッコ良い。哲学探偵といえば、自分は笠井潔推理小説に登場する矢吹駆が思いつくのですが、彼に負けない魅力がありました。

 

 マーティン・ハートも、人としては欠点がありながらも、事件に対する怒りは本物でその情熱はとてもカッコいい。それゆえにヘマをするのですが、刑事だって人間です。人並みに傷つき、家族を思っているところが共感できるところでもあり、人間的な魅力を感じました。彼の17年間に渡る闘いの後の事件解決後のシーンには、図らずも感動してしまいました。

 

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三つの時代

 『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』の舞台となる時代は、ドーラ・ラング事件の起きた1995年、二人が仲違いをした2002年、そして現在の2012年になります。1995年と2002年の出来事はラストとマーティンの回想によって語られます。彼らが、2012年に刑事たちに話すことと実際に起きたことは違うところもあるのですが、そこがこのドラマのキーにもなっています。

 

 彼らが刑事たちに嘘を吐くのは主に3つの点です。一つ目は、ラストの潜入捜査の件。二つ目は、マーティンがレジー・ルドゥを怒りにまかせて殺したこと。三つ目は、2002年に彼らが仲違いをした原因です。一つ目と二つ目は法に触れるため、三つ目は個人的なことなので隠しているのですが、10年以上経っても互いに庇い合っているところから、仲違いした後であっても二人の信頼関係が伺えます。

 

 この三つの時代では、似たような事件や出来事が起こります。過度に装飾された事件は1995年と2012年に、マーティンの浮気は1995年と2002年に起こります。これは、レジー・ルドゥが殺される直前に言った"flat circle"(平らな円)と関連します。人は簡単に変わることはなく、歴史は繰り返すように見えます。

 

 しかし、マーティンとラストは最後に事件を解決することで、このflat circleから抜け出すことに成功します。そんな彼らは、ようやく安堵することができたのです。

 

四つの事件

 マーティンとラストが扱うのは、主に四つの事件です。一つ目は、捜査の始まりとなるドーラ・ラング事件。二つ目は、その5年前に起こったマリー・フォンテノーの失踪事件。三つ目は、洪水で死んだと思われていたリアン・オリヴィエの事件。四つ目は、レジー・ルドゥの家で見つかる二人の児童虐待の件です。他にも、多くの失踪・殺人事件が絡んでいることが示唆されますが、彼らが主に追うのはこの四つの事件です。

 

 一つ目のドーラ・ラングの事件では、死体に角や背中の模様など宗教的な装飾が見られます。それは、この事件の舞台となる街の暗部が凝縮されたようなものです。『ツイン・ピークス』のローラ・パーマーの死体と同じく、このドラマを象徴する存在になっています。

 

 

 

『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン1感想まとめ

 『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』は、映像もストーリーも見事で、役者陣の演技も素晴らしかったです。映画界で多くの経験を積んできたウディ・ハレルソンマシュー・マコノヒーだけあって、さすがだなと感じさせられます。

 

 『TRUE DETECTIVE』は、文句なく現代の刑事ドラマの頂点にあるといって過言ではないでしょう。ドラマに限らず、刑事を主人公にした映画作品と比較しても、そのクオリティはトップクラスです。

 

 個人的には、これでまたHBOの株が上がりました。自分は、HBOのコメディドラマ『シリコンバレー』も大好きなのですが、『TRUE DETECTIVE』は、HBOの本気を見たようで、これもまた大好きなドラマの一つになりました。HBOのドラマは、片っ端から観ても良いぐらいに、どれも面白いんですよね。

 

 なお、『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2、3は舞台や登場人物も変わり、シーズン1とは全く別の話になるそうです。

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