2021年も残すところあと数日。ということは、毎年恒例のあれをやりましょう。と言いたいところですが、実は今年が初めてです。2021年海外ドラマベスト10を決めます。
関連記事:2020年公開映画ベスト7+海外ドラマベスト3 - 海外ドラマパンチ
対象の海外ドラマは、2021年1~12月に日本に初上陸した作品です。例えば、アメリカでは2007年に初放送された『ジ・オフィス』シーズン4は、2021年10月にHuluで日本初上陸したので、今回のランキングの対象になります。
数えてみたところ、今年、自分が鑑賞した新作海外ドラマは約35シーズンでした。対象作品の一覧は、この記事の後ろに載せています。それでは、2021年の海外ドラマの総まとめです。
関連記事:ドラマファン200人が選ぶ!2021年最も面白いドラマは何だったのか?【国内&海外ドラマ】 - 海外ドラマパンチ
2021年新作海外ドラマ演技賞
ジェシー・バックリー『FARGO/ファーゴ』S4
アンソニー・キャリガン『バリー』S2
ジュリア・ルイス=ドレイファス『Veep/ヴィープ』S7
ルース・ウィルソン『ダーク・マテリアルズ』S2
ジェニファー・クーリッジ『ホワイト・ロータス』S1
マイケル・ケネス・ウィリアムズ
今年も、数多くの素晴らしい演技をドラマの中で観ることが出来ました。近年、注目度の高まっている女優のジェシー・バックリーが、『FARGO/ファーゴ』シーズン4で演じたのは看護師。クセの強いキャラクターが多いこのドラマの中でも、ひと際強い存在感がありました。
HBOのドラマ『バリー』シーズン2では、アンソニー・キャリガンが演じた悪党ノホ・ハンクの面白さがさらに増していました。ノホ・ハンクだけで飯が食えます。『Veep/ヴィープ』で主人公を演じたジュリア・ルイス=ドレイファスは、最終シーズンでも見事なものです。これほど破壊的に面白いキャラクターは他にいませんし、その熱量には最後まで圧倒されます。
ファンタジードラマ『ダーク・マテリアルズ』シーズン2で悪役を演じたルース・ウィルソンも素晴らしかったです。シーズン2の面白さの半分は、彼女の演技のおかげと言っても良いほど。『ホワイト・ロータス』のジェニファー・クーリッジには、喋り出すだけで、その場を独特なテンポにしてしまう不思議な力がありました。
最後に、新作ではないですが、マイケル・ケネス・ウィリアムズの名前だけは挙げさせてください。『THE WIRE/ザ・ワイヤー』から『ボードウォーク・エンパイア』『ぼくらを見る目』など、数多くの作品で名演を披露した唯一無二の俳優でした。2021年9月に、惜しまれながらも亡くなってしまったのですが、その作品は今後も残り続けるでしょう。R.I.P.
惜しくも紹介出来なかったが、この方々も素晴らしかった。
ブライアン・クランストン『Your Honor』S1
ジョディ・カマー『キリング・イヴ』S3
タハール・ラヒム『ザ・サーペント』
アニー・マーフィー『くたばれケビン!』S1
ダミアン・ルイス『ビリオンズ』S5
2021年新作海外ドラマベスト10
第10位『フィール・グッド』シーズン2
コメディアンのメイ・マーティンによる半自伝的コメディは、シーズン2でさらに深くアイデンティティのテーマを追究していきます。性自認にまつわるテーマは、近年の作品では非常によく扱われていますが、『フィール・グッド』はまた新たな視点を与えてくれます。ほっこり笑えるコメディ要素も、ほどよくブレンドされ、ドラマとしても楽しいものになっています。
配信:Netflix
関連記事:Netflixドラマ『フィール・グッド』シーズン1&2感想:愛おしくて仕方がない - 海外ドラマパンチ
第9位『FARGO/ファーゴ』シーズン4
映画『ファーゴ』のスピンオフドラマ第4作は、イタリア系マフィアと黒人ギャングの抗争がメインになっています。しかし、単なるマフィア抗争に終わらないのが『FARGO/ファーゴ』です。人を殺しがちなスーパーポジティブ看護師、あちこちの組織を行ったり来たりしてきた心優しきアイルランド系マフィアなど、個性的なキャラクターが今回も勢ぞろい。血みどろなのに、そこはかとなくおかしい、哀愁漂うファーゴの世界が大好きです。
配信:Amazon, Hulu
関連記事:海外ドラマ『FARGO/ファーゴ』シーズン4感想~これがアメリカの真の歴史だ~ - 海外ドラマパンチ
第8位『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤』シーズン2
映画化もされたファンタジー小説『ライラの冒険』を原作とするドラマ『ダーク・マテリアルズ』は、映画版では描かれなかったさらにその先の世界へ。SFとファンタジーを融合させた独自の世界観が興味深い。主人公の母親であり悪役のコールタール夫人を演じるルース・ウィルソンの演技は圧巻です。
配信:U-Next
関連記事:海外ドラマ『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤』シーズン2感想 - 海外ドラマパンチ
第7位『フォー・オール・マンカインド』シーズン2
ソ連がアメリカよりも先に月面着陸を達成したことから始まる歴史改変SF『フォー・オール・マンカインド』は、シーズン2に入ってさらにスリリングに。過熱した冷戦は、ついに月面にまで飛び火してしまいます。極限の環境かつ究極の緊張状態で繰り広げられるドラマに、目が離せません。
配信:Apple TV+
関連記事:宇宙開発×冷戦×SFドラマ『フォー・オール・マンカインド』解説 - 海外ドラマパンチ
第6位『Your Honor/追い詰められた判事』シーズン1
ドラマ『ブレイキング・バッド』のブライアン・クランストンが、今度は悪の道に堕ちていく判事を演じています。彼の演技は、今回も目を見張るものがあります。映像の質にもこだわっており、法廷をメインに重厚な場面を巧みに作り上げています。
配信:U-Next
関連記事:海外ドラマ『Your Honor/追い詰められた判事』シーズン1感想 - 海外ドラマパンチ
第5位『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』シーズン1
未知の惑星で子育てを行う2体のアンドロイドが主人公のSFドラマ『レイズド・バイ・ウルブス』は、そのサスペンスフルな展開に目が離せません。壮大な映像のクオリティは見事。リドリー・スコットが製作総指揮を務めていることもあり、内容は『プロメテウス』『エイリアン:コヴェナント』のように宗教的、哲学的な要素が多く含まれます。SFの世界で哲学を語るのも良いですよね。
配信:U-Next
関連記事:海外ドラマ『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』シーズン1感想&解説 - 海外ドラマパンチ
第4位『バリー』シーズン2
役者の道に目覚めてしまった殺し屋のドラマ『バリー』で、主人公のバリー・ブロックは、さらに苦悩します。戦争のトラウマが思い出し、スーパー空手超人キッズに襲われ、自分の正体が暴かれそうになっています。シュールなコメディのセンスはそのまま、さらにダークなバリーの心理を探っていきます。
配信:U-Next
関連記事:海外ドラマ『バリー』シーズン2感想:俺は……悪人なのか? - 海外ドラマパンチ
第3位『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』
HBOは年に一本ぐらいクライムもののリミテッドシリーズを作っているのですが、これが毎年ハズレがありません。『メア・オブ・イーストタウン』は、ミステリーとして秀逸であるとともに、刑事とその家族の人間ドラマとしても面白いものになっています。
配信:U-Next
関連記事:海外ドラマ『メア・オブ・イーストタウン』ネタバレ感想:変えられない真実 - 海外ドラマパンチ
第2位『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』シーズン1~2
ニューヨークに住むヴァンパイアたちの日常をドキュメンタリー形式で描くコメディ『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』は、すべてのネタが神がかって面白い。のほほんと日常を過ごすヴァンパイアたちよ!人のやる気を奪うエネルギー・ヴァンパイアよ!そんなヴァンパイアたちになぜか10年も仕える人間のギレルモよ!おぉ~、おぉ~~、おぉぉ~~。
配信:Disney+
関連記事:海外ドラマ『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』は何が面白いのか? - 海外ドラマパンチ
第1位『Veep/ヴィープ』シーズン7
女性初のアメリカ副大統領になった政治家の顛末を描く、政治風刺コメディドラマ『VEEP/ヴィープ』は、ファイナルシーズンで完璧な着地を見せてくれました。腹がよじれるほど笑わせてくれる強烈なネタは、今シーズンも健在。なぜ政治家にろくな人間がいないのか?なぜ人でなしの人間が世界最強の国のトップになれるのか?すべての答えはここにあります。その答えに気付いたとき、もう笑いは止まらなくなります。
配信:U-Next
関連記事:ドラマ『VEEP/ヴィープ』シーズン7感想:大統領になりたいだけなのに - 海外ドラマパンチ
トップ10まとめ
第1位『Veep/ヴィープ』S7
第2位『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』S1-2
第3位『メア・オブ・イーストタウン/ある殺人事件の真実』
第4位『バリー』S2
第5位『レイズド・バイ・ウルブス/神なき惑星』S1
第6位『Your Honor/追い詰められた判事』S1
第7位『フォー・オール・マンカインド』S2
第8位『ダーク・マテリアルズ/ライラと黄金の羅針盤』S2
第9位『FARGO/ファーゴ』S4
第10位『フィール・グッド』S2
2021年海外ドラマのまとめ
2021年の新作海外ドラマベスト10は、このような結果にしました。『ジ・オフィス』シーズン4は、新作の対象にはしたのですが、実際にトップ10に入れるとパワーバランスがおかしくなったので外しました。実質的に殿堂入りということにさせてください。とても面白かったです。
トップ10に入れるかどうかギリギリまで迷ったのがApple TV+の『ディキンスン』とHBOの『インベスティゲーション』でした。Netflix 『ビリオンダラー・コード』とApple TV+『神話クエスト』も、強くおすすめしたい作品です。
1,2,4,10位がコメディということで、個人的には、今年の新作海外ドラマはコメディが強かったと感じました。14年越しの日本初上陸となったアメリカ版『ジ・オフィス』を始め、待望のHBOコメディ『シリコンバレー』『Veep/ヴィープ』ファイナルシーズン、エミー賞ノミネート『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』『バリー』シーズン2などが、本国から数年遅れでドサッとやってきました。
一方、1時間ドラマは、コロナ禍の影響からか、軒並み苦戦の跡が見られました。顕著だったのが『ビリオンズ』シーズン5。メインキャストの降板など不測の事態が重なり、主人公の一人がリモート出演、登場人物が会話をしていても目線が合わないなど、苦労がありありと見て取れます。ファンタジードラマ『ダーク・マテリアルズ』シーズン2やSFドラマ『エクスパンス』シーズン5の後半にしても、前シーズンと比べるとやや小ぢんまりした印象を受けました。
しかし、その時代はもう終わりです。2021年に入ってから撮影された作品は、いずれもコロナ禍の影響を感じさせないものになっています。2022年には『ベター・コール・ソウル』『オザークへようこそ』『キリング・イヴ』のファイナルシーズンなどが放送される予定ですが、パンデミックによるハンデはもうほとんどないでしょう。すでにアメリカで放送された『メディア王』や『デクスター』の最新シーズンの高評価ぶりを聞くにつけ、2022年に観られる作品の期待値は上がるばかりです。もう楽しみで仕方がない!
2021年に観た新作海外ドラマ一覧
HBO & HBO Max
『バリー』S2
『Veep/ヴィープ』S7
『シリコンバレー』S6
『ベティ/スケート・キッチン』S1-2
『ユーフォリア/EUPHORIA トラブルはずっと続かない』
『ユーフォリア/EUPHORIA シーブロブじゃない人なんて**くらえ』
『フライト・アテンダント』S1
ケーブル局(HBO以外)
『FARGO/ファーゴ』S4
『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』S1-2
『ビリオンズ』S5後半
『くたばれケビン!』S1
『キリング・イヴ』S3
『クルーエル・サマー』S1
Netflix
『コブラ会』S3
『ザ・サーペント』
『ルパン』Part 1-2
『フィール・グッド』S2
『ザ・チェア~私は学科長~』S1
『クリックベイト』
『チェスナットマン』
『ビリオンダラー・コード』
Apple TV+
『フォー・オール・マンカインド』S2
『ディキンスン~若き女性詩人の憂鬱~』S2-3
『神話クエスト』S2
『ファウンデーション』S1
その他
『エクスパンス~巨獣めざめる~』S5
『ジ・オフィス』(US)S4