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英国ドラマ『ユートピア』シーズン2~イエローだけどブラックな~

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 Do you know what I do with the spoon?

- Lee in Utopia season 1 episode 1

 

 英国発の巻き込まれがたサスペンスドラマ『ユートピア』。衝撃のシーズン1のラストから、物語はどのように進んでいったのでしょうか。この記事では、『ユートピア』シーズン2の感想及びシーズン3の情報、さらにアメリカ版リメイクの最新情報をお伝えします。なお、この記事は『ユートピア』シーズン1,2のネタバレを含みます
psbr.hatenablog.com

 

↓2020年公開のAmazonリメイク版『ユートピア』の情報・感想はこちら

psbr.hatenablog.com

 

 

 

 

『ユートピア』シーズン2基本データ

・原題:Utopia

・放送局:チャンネル4(イギリス)

・放送日:2014年7月14日~8月12日

・話数:6話

・一話あたりの長さ:50分

・あらすじ:

 シーズン1のラストから1年後。イアンはITコンサルタントの仕事に戻りグラントとともに暮らしていたが、そんな生活にうんざりしていた。一方、ウィルソンは「ネットワーク」側に寝返っていた。ヤヌス計画は、まだ終わっていなかったのである。

・予告編:

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『ユートピア』登場人物(ネタバレ)

ジェシカ・ハイド

 「ユートピア・エクスペリメント」の作者フィリップ・カーヴェルの娘。シーズン1のラストで、ヤヌスが彼女の体に入れられていることが明らかになった。戦闘能力が高いが、ときどき人恋しくなる。

 

イアン・ジョンソン

 ITコンサルタント。慎重に行動することを好むが、そうも言っていられない事態に巻き込まれてしまった。ベッキーと良い仲にある一方で、ジェシカ・ハイドに好かれている。

 

ベッキー

 遺伝性疾患のディール症候群を患っているため、薬を呑んでいないと死んでしまう可能性がある。シーズン1のラストで発作を起こし、電車でどこかへ逃げた。

 

グラント・リーサム

 シーズン1で銃乱射事件の犯人に仕立て上げられた少年。強がり。

 

ウィルソン・ウィルソン

 シーズン1第1話で拷問されて右目を失ったハッカー。今は、「ネットワーク」側に寝返って、計画実行を手伝っている。

 

マイケル・ダグデイル

 保健省の官僚。妻のことでネットワークに脅され、彼らの言いなりになっていた。いつも難しい立場に置かれがち。

 

アービー/ピエトレ

 元ネットワークの殺し屋。ジェシカ・ハイドの実の兄。銃の入った黄色のバッグを持って、仕事をしていた。レーズンのお菓子が好物。

 

リー

 ネットワークの殺し屋。シーズン1第1話で、ウィルソン・ウィルソンに殺されたと思われていたが、実は生きていた。前身黄色のスーツと緑色のバッグがトレードマーク。

 

ミルナー

 MI5の人。シーズン1のラストで、「ネットワーク」を司るミスター・ラビットであることが判明した。フィリップ・カーヴェルに好意を抱いている。

 

フィリップ・カーヴェル

 人を不妊にするワクチン「ヤヌス」を開発した科学者。ジェシカ・ハイドとピエトレの父。ヤヌスを開発したものの、後に思い直してある”改良”を加えた。

 

アリス・ワード

 勉強熱心な少女。シーズン1で、母親を目の前で殺される。それ以来、ダグデイルの家で養ってもらっている。

 

個人が入り乱れるサスペンス

 『ユートピア』の一番の魅力は、その先の読めない展開にあります。この状況は、各個人がそれぞれに思惑を持って行動しているために生まれています。各個人が知っている情報にも差があるため、あの人が知っていても、この人は知らないという状況が頻繁に起こり、そこでまた様々な行動が生まれています。

 

 通常のサスペンスでは、基本的に勢力は2つ、多くても3つであることがほとんどです。すなわち、善と悪の勢力、そして裏切り者に分かれています。一見、『ユートピア』もネットワーク対ジェシカ・ハイド一行という構図になっているように見えるのですが、実際にはそんなに単純ではありません。ウィルソン・ウィルソンは裏切り、ミルナーはどっち側の人間なのかわからず、ダグデイルは自分の思う通りに動けません。そんな風に、『ユートピア』では勢力は存在せず、一人一人が自分が考える通りに動くため、全く先の読めない展開になっています。

 

 加えて、各個人の思考がが物語の中で変わっていってしまうのも、見どころです。ウィルソンが最も顕著ですが、イアン、ベッキーらも、それまでとは全く違う生活に入ってしまったことで、人格に変化が訪れます。彼ら一般人だけでなく、感情がないと思われたジェシカ・ハイドやピエトレも、父の秘密に迫ることで人間性を露わにしていくことになります。

 

ブラックすぎるユーモア

 『ユートピア』を唯一無二のドラマにしているもう一つの要素は、そのブラックユーモアの数々です。銃を向けたらあっけなく人が死んでしまい、ダグデイルさんは相変わらずネットワークからいびられ続けます。

 

 シーズン2では、特にリーのブラックユーモアが冴えています。リーは、スプーンでウィルソン・ウィルソンの眼をえぐったことで、何回も彼をいじります。第3話で、ウィルソンが銃でリーを狙っていながらも、一向にウィルソンが撃たないため、リーが彼の脚を殴ってしまうのところが、個人的にはおかしくて仕方がなかったところです(笑)

 

↓このティーザー予告が好き

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環境問題の解決法

 地球上の多すぎる人口が、地球に悪影響を与えているという議論は少なからず存在します。それは、多くのフィクション作品でも取り上げられています。ダン・ブラウンの小説『インフェルノ』の悪役は、ウイルスによる大量殺戮でこの問題を解決しようとしていました。これを宇宙にまで拡大したものが、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』におけるサノスの生命を半分にする計画です。

 

 ただ、『ユートピア』で「ネットワーク」が実行しようとする計画は、そんなに単純ではありません。大量殺戮ではなく、人類のある一定の割合の人々を不妊にすることで、人口を減らそうとします。「ネットワーク」は、そのための化学物質をロシア風邪のワクチンに仕込みました。

 

 この計画の上手いところが、「ワクチン」に仕込んだという点です。通常は、ウイルスをそのまま撒けば良いではないかと考えますが、その方法で全世界に拡散させるのは非常に難しいです。まず、感染性のウイルスを作り、さらにそこに目的の化学物質を入れなければいけないわけですから。また、今回の新型コロナウイルス感染症の騒動でも明らかなように、「恐怖は病気より速く拡散」します。つまり、ロシア風邪のウイルスを実際に全世界に撒く必要はなく、その恐怖さえ伝えられれば良いということになります。

 

 殺戮ではなく不妊という方法を選んだことも、憎くも上手いところです。ウイルスによる大量殺戮なんかが起こったら、その後に何が起こるかわかりません。少なくとも、人間性は破壊されるでしょう。でも、不妊の場合はどんどん陰鬱な雰囲気にはなるものの、子供がいないわけではないので、いずれは何とかなりそうな気がしてしまいます。一見大量殺戮よりもマイルドに見えてしまうところが、またこの計画の怖ろしいところです。

 

『ユートピア』シーズン3はあるの?

 『ユートピア』は、国際エミー賞も受賞した名作ドラマなのですが、残念ながら2シーズンで打ち切られてしまいました。どうやら、視聴率が思うように上がらず、チャンネル4はこのような決断をするに至ったそうです。

 

 シーズン2のラストが、あまりにも次シーズンを期待させるものであっただけに、残念でなりません。まだまだ明らかになっていない部分もあるし、ウィルソン・ウィルソンの今後も気になるところでした。

 

Amazonが『ユートピア』をリメイク予定!

 しかし、シーズン3がないからと言って落ち込むのは、まだ早いです。2018年に、Amazonが『ユートピア』のアメリカ版リメイクを制作することを発表しました。脚本は、映画『ゴーン・ガール』やドラマ『シャープ・オブジェクツ』の原作を手掛けたギリアン・フリンが担当することになっています。

関連記事:Amazonドラマ『ユートピア~悪のウイルス~』シーズン1感想-Where is Utopia?- - 海外ドラマパンチ

 

 実は、それ以前にもデヴィッド・フィンチャーが監督で、HBOが制作するリメイク版の話があったのですが、こちらは頓挫してしまっています。こっちの方が観たかったというのが本音ですが、最近はAmazonも面白いドラマを作っているので、期待しています。

 

 

 

『ユートピア』シーズン2感想まとめ

 惜しくもファイナル・シーズンとなってしまった『ユートピア』シーズン2ですが、シーズン1に劣らず先の読めない展開とブラックユーモアが効いたストーリーを楽しむことができました。出番は少なかったですが、リーとウィルソンのコンビが自分は好きでした。

 

 2シーズンで終わってしまったとは言え、このドラマが強烈なインパクトを残すのは確かです。巧みなストーリーとともに、『ユートピア』を形作る独特な音楽や色彩が、いつまでも記憶に残っていることでしょう。

 

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