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海外ドラマ『リミットレス』シーズン1~実験的挑戦に満ちた意欲作~

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https://www.imdb.com/title/tt4422836/?ref_=ttmi_tt

 

Just because you remenber everything doesn't mean you know everything.

-Brian Finch in "Limitless" season 1

 

 2011年にブラッドリー・クーパー主演の映画『リミットレス』が公開されました。今回海外ドラマパンチで紹介するのは、その続編のドラマ版『リミットレス』シーズン1です。

 

  続編とは言っても、基本的には別の話なので、映画版の方を見ていなくてもそれほど問題はありません。製作総指揮には、ブラッドリー・クーパーが参加しており、いくつかのエピソードに出演もしています。

 

 

 

 

リミットレス』シーズン1基本情報

・原題:Limitless

・放送日:2016年11月23日~2017年4月19日

・放送局:CBS

・話数:22話

・一話あたりの長さ:42分

・キャスト:ジェイク・マクドーマン(映画『アメリカン・スナイパー』)

      ジェニファー・カーペンター(『デクスター 警察官は殺人鬼』)

・あらすじ:

 売れない自称ミュージシャンのブライアン・フィンチは、ひょんなことから脳を100%活性化させるNZTという薬を呑むことになる。瞬く間に超人的な脳力を得たブライアンは、FBIの捜査に協力することになる。しかし、その薬には死に至る副作用があった。

・予告編:

youtu.be

 

凡人ブライアン・フィンチ

 『リミットレス』の主人公ブライアン・フィンチは、平時には何の変哲もない人です。しかし、NZTを呑むことで超人的な頭の良さを発揮します。ただ、元から天才というわけではないので、NZTを呑んでも性格などはそれほど変わりません。

 

 ブライアン・フィンチの特技は工作です。事件の説明をするときには、必ず自由研究のような工作を作って発表します。他の刑事ドラマでは、ポスターあるいはスライドでの説明が基本なので、これはかなり特徴的な点です。スライドを作るより手間が掛かっていると思いますが、ブライアンは必ず独創的な工作をしてくれます。この工作が、『リミットレス』の楽しみの一つになっています。

 

 ブライアンには、どんな物にも名前を付けたがる性格があります。彼の監視をする二人の捜査官には、マイクとアイクという名前を付けます(本名もあるのにw)。彼が指揮することになる捜査チームの名前は、"Headquaters!"です。この!が重要。

 

 そんな感じで、ブライアン・フィンチは刑事ドラマの登場人物の中でもきってのお調子者です。『メンタリスト』のパトリック・ジェーンや、『ホワイトカラー』のニール・キャフリーもそういった傾向はありますが、ブライアン・フィンチは、その中でもずば抜けて捜査官にいなさそうなタイプです。

 

 ただ、ブライアン・フィンチも面白いだけの人ではなく、色々と悩んでいることもあります。ブライアンはNZTを呑んでも副作用が出ないのですが、それはモーラ議員やサンズといった組織の人間から解毒剤をもらっているからです。しかし、解毒剤は定期的に打たなければいけないため、ブライアンはサンズたちに従わなければいけません。そのために、時には家族やFBIを裏切るような場面もあり、彼がそこでどういう判断を下すのかが見所にもなっています。

実験的挑戦の数々

 ドラマ『リミットレス』には、数々の映像的な挑戦が見られます。映画『リミットレス』でも、無限に奥行があるような映像が登場しましたが、その映像はドラマ版にも登場します。また、第16話「サンズの知られざる人生」では、コミック風の絵が随所に挿入されるといった工夫もされています。

 

 ドラマ『リミットレス』の最も大きな挑戦は、第13話「連続ハグ事件」でしょう。このエピソードでは、レイプ殺人という残虐性の高い事件が扱われるのですが、純粋なブライアンはそういった言葉を聞きたくありません。そのため、「殺人」は「ハグ」、「血」は「ソーダ」といったように言葉を変換してしまいます。視聴者もブライアンが変換した方の言葉だけを聞くので、パッと聞いただけでは何の話をしているかさっぱりわかりません。

 

 他にも、第7話「ブライアンはある朝突然に」は、全編にわたって映画『フェリスはある朝突然に』のパロディ調で進んでいきます。第18話「ロシアより愛をこめて」は、ロシア語がふんだんに使われ、原題も「Bezgranichnyy」となっています。これは、ロシア語で「無制限」という意味があり、英語の「limitless」をロシア語訳したものになっています。

 

NZTという薬

 『リミットレス』のキーになるのが、NZTという薬です。NZTを呑んだ人は天才になれるのですが、これはつまりNZTを呑んだ人なら誰でも天才になれるということを意味します。ブライアンは解毒剤を注射しているので、副作用を気にせずに呑むことができるのですが、普通の人でも呑むことは可能です。

 

 これは、他の作品にはあまり見られない『リミットレス』の大きな特徴です。普通は、天才は生まれつきなので、敵と味方が同じ能力を持っているように見えても、結局は頭の良さの違いが勝負を分けることがほとんどです。しかし、『リミットレス』では誰もが天才になれるので、NZTを呑んだ者の脳力は皆ほぼ同じです。違うのは、その脳力を「どう使うか」です。そこに、ブライアンやモーラ議員などの個性が見られ、面白い展開になっていくのです。

 

リミットレス』シーズン2はあるの?

 『リミットレス』シーズン1が放送開始されてからは評判も良く、元々は13話だった予定が22話まで延長されました。しかし、思うように視聴率が伸びずシーズン1で打ち切りとなってしまいました。

 

 視聴率が伸びなかった原因には、『リミットレス』が刑事ドラマにしては軽すぎる点にあるのかもしれません。シリアスな刑事ドラマを求める一部の視聴者には受けなかったのでしょう。自分は、その「軽さ」こそが『リミットレス』の面白さだと思っているのですが、そうは思わなかった人もいるようです。

 

 また、CBSはすでに『クリミナル・マインド』『NCIS』『HAWAII FIVE-0』『ビッグ・バン・セオリー』など数多くの人気ドラマを抱えていました。これらに匹敵する見込みがないドラマには、わざわざ投資をしなくても大丈夫だという判断で、『リミットレス』を打ち切るという決断になったのかもしれません。

 

 なお、『リミットレス』の制作陣は、NetflixAmazon Prime Videoなどにも売り込んだものの買い手は現れなかったため、シーズン2を続けることができなくなったとも語っています。放送終了から3年が経ってしまった今となっては、シーズン2再開の可能性はほぼないでしょう。

 

 

 

リミットレス』シーズン1感想

 ドラマ版『リミットレス』シーズン1は、個人的には映画版よりも面白かったと感じました。特に、ブライアン・フィンチというキャラクターは好きですね。モーラほど思い悩んだり、自分のためにNZTを利用しようという気がないのが清々しいです。彼が作る工作や彼の妄想も、毎回楽しみにしていました。

 

 『リミットレス』はとてもノリが良いので、自分は何シーズンでも観たいなと思ったのですが、シーズン2がないのは本当に残念です。またどこかでブライアン・フィンチの活躍が見れたら嬉しいんだけどなぁ。