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刑事ノワールの秀作『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2

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 We get the world we deserve.

- True Detective season 2

 

 自分の中では海外ドラマ史上最大の衝撃を受けた『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン1。それゆえに、シーズン2を観るのには少しばかり抵抗もあったのですが、先日ついに観ました。

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 まず始めに一番大事なことを言っておくと、『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』のシーズン2はシーズン1とは別物です。そもそもシーズン1と2では目指しているものが違うので、「シーズン2はシーズン1と比べてうんぬん」と比較するのはあまり賢明とは言えません。シーズン1は人間ドラマ要素が強かったですが、シーズン2は硬派な本格刑事ドラマです。これからシーズン2を観るにしても、すでに観たとしても、このことは心に留めておいてほしいです。

 

 

 

 

『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2基本データ

・原題:True Detective

・放送局:HBO

・放送日:2015年6月21日~8月9日

・話数:8

・一話あたりの長さ:55~86分

・脚本:ニック・ピゾラット

・キャスト:コリン・ファレル、レイチェル・マクアダムス、ヴィンス・ヴォーン、テイラー・キッチュ

・OP曲:"Nevermind" by Leonard Cohen

・あらすじ:

 舞台は犯罪都市ロサンゼルスのベンチュラ郡ヴィンス市。汚職にまみれたこの街で、新たな犯罪が起きようとしていた。

・予告編:

www.youtube.com

※『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2は現在Amazonプライムで配信中。まれに『TRUE DETECTIVE/ロサンゼルス』というタイトルになっていることもあります。

 

『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2紹介

 『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2を観た、あるいはこれから観ようと思っている方は、おそらくシーズン1は既に観たことがあるでしょう。シーズン2は、シーズン1と全く異なるストーリーが展開します。登場人物も舞台も違うので、全く別の作品と考えた方が良いです。

 

 製作面では、クリエイターのニック・ピゾラットが引き続き脚本を担当しています。また、製作総指揮として、シーズン1で主演したマシュー・マコノヒー、ウディ・ハレルソン、監督のキャリー・ジョージ・フクナガらも続投していますが、それぞれ出演、監督はしていません。

 

 ということなので、シーズン1と2の共通点は、実質的にニック・ピゾラットがクリエイターを務めているという点だけになります。脚本家が同じなので、ストーリーにはシーズン1と共通する部分も感じられなくもないですが、全く別物です。そのように考えた方が、シーズン2をどのように感じるとしても適切であるように思います。

 

『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2登場人物

 シーズン2は、とにかく登場人物が多い。しかも、名前ばかり出てきて実際には大して登場してこない人も多いので大変。今回は、メインの人たちはもちろん、会話によく出てきた人物も含めて紹介します。第1話に関しては若干のネタバレを含みますが、それ以上のネタバレはありません。

 

レイ・ヴェルコロ/コリン・ファレル

 ヴィンチ市の刑事。汚職には慣れており、そのことに対して今さら善悪について考えることを放棄している。妻の間に息子が一人いるが、現在離婚協議中で息子とは定期的にしか会えない。

 

アニー・ベセリデス/レイチェル・マクアダムス

 ベンチュラ郡保安局の刑事。強気な性格である一方、人間関係に苦労しており孤立しがち。父のエリオットは元ヒッピーのヨガ指導者で、妹のアテナはストリッパーをしている。電子タバコ常用者。

 

ポール・ウッドルー/テイラー・キッチュ

 ハイウェイ・パトロールの警官。第1話で殺人事件の第一発見者になり、特別捜査班に加わることになる。元軍人。エミリーという女性と付き合っている。

 

フランク・セミヨン/ヴィンス・ヴォーン

 ヴィンス市の裏社会のトップ。市に鉄道を通す計画に際して、土地取引で儲けを狙う。市長の息子の事故をもみ消したこともあり、懇意にしている。ヴェルコロ刑事とも知り合い。

 

ジョーダン・セミヨン/ケリー・ライリー

 フランクの妻。夫婦で子供が欲しいと思っているが上手くいかず、夫にいくつかの方法を提案している。

 

ティーグ・ディクソン

 ヴィンス市の刑事。ヴェルコロ刑事の相棒であり、特別捜査班にも参加。ただ、捜査にあまり前向きでない。

 

エルヴィス・イリンカ

 ベンチュラ郡保安局の刑事で、アニーの相棒だった。当時は妻がいたが、アニーと不倫をしていた。

 

オースティン・チェサーニ

 ヴィンス市の市長。フランクとも通じていて、もちろん汚職をしている。トニーという息子がいる。

 

ウィリアム・ハロウェイ

 ヴィンス市の警察署長。

 

ケヴィン・バリス

 ヴィンス市の刑事。ハロウェイの右腕。

 

オシップ・アゴノフ

 ロシア系イスラエル人のビジネスマン。フランクとの土地契約をほとんど結びそうになっていたが、カスパーの不在により決裂した。

 

ジェイコブ・マッキャンドレス

 カタリスト社のCEO。彼もフランクと土地契約寸前までいっていたが、同様に決裂した。

 

アービング・ピトラー

 精神医。裏稼業で整形業もしているとされる。

 

ブレイク・チャーチマン

 フランクの右腕。

 

ベン・カスパー

 市政管理官。第1話で遺体が高速道路の側で見つかる。性的倒錯者であり、娼婦をよく買っていた。

 

スタン

 よくわからんけど、フランクの商売仲間。

 

 

 

『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2感想(ネタバレあり)

 自分自身『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン1は傑作だと思っていることもあり、シーズン2に進むのに若干の抵抗もありました。何しろ、シーズン2の評判があまり芳しくないということは知っていたので。とは言っても製作はHBOだし、そもそも刑事ドラマは普通に好きなので、やっと観ることにしました。以下、シーズン2の感想をネタバレありで書いていきます。

 

①有名俳優たちの名演

 『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』の一つの魅力が、普段は映画で主に活躍している俳優たちが、ドラマの中で本気の演技を見せてくれるところにあるでしょう。シーズン2にも、4人の有名俳優たちが出演しています。

 

 まずは、個性派俳優のコリン・ファレル。汚職警官のヴェルコロを演じています。ヴェルコロ刑事は、最初は汚職警官で離婚協議をしているどうしようもない男に見えるのです。でも、観ていくとその印象は全く変わってきます。特に、第5話で自分が妻をレイプした男だと思って殺した人物は実は別人で、ハメられていたとわかってからの展開は熱い!

 

 ヴィンス・ヴォーン演じるフランクもそうですよね。最初は裏社会のボスかと思っていたら、周りの人間全員に裏切られていて、孤立無援状態に陥ってしまいます。そこから、唯一の友人となったヴェルコロと協力していくのも熱い!熱盛!!

 

 一方で、警官のポール・ウッドルーは最初から善人なので、心が少し休まりますね。とは言っても、家族やセクシュアリティの問題も抱えているので、そう順風満帆というわけではありません。シーズン2では終盤で多くの人物が殺されてしまうのですが、その中で一番悲しかったのはウッドルーだなぁ。他の人は死にそうな雰囲気あったけど、ウッドルーはなぁ。悲しい。

 

 演技面で驚かせてくれたのは、ベセリデス刑事を演じたレイチェル・マクアダムスでしょう。だって、レイチェル・マクアダムスって『アバウト・タイム』とか『きみに読む物語』に出てた人ですよ!今回は、普段のロメコメ映画での雰囲気からうって変わって、ハードな女性刑事を見事に演じていました。

 

②正統派刑事ドラマ

 『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2は、登場人物こそ妙に多いのですが、全体的に正統派刑事ドラマになったように感じます。刑事映画といった方が適切かな?離婚協議中の刑事、裏社会絡みの犯罪、警察組織もグルだったなど、大筋の展開はハードボイルド刑事映画そのものといった雰囲気です。

 

 それでもさすがだなと思わされるのは、クズだと思っていた人間が、最終的にとてもカッコよく見えてきてしまう展開です。シーズン1の2人の刑事も人間としては褒められない男たちだったのですが、シーズン2ではヴェルコロとフランクがそうです。ヴェルコロは抜け殻のような男だったし、フランクも悪人にしか見えなかったわけです。でも、何か信念のためには徹底して突き詰めていく男たちなので、最後にはとてもカッコ良いのです。

 

 ヴェルコロやフランクが最後に死ぬだろうというのは、何となく予想が付きます。それでも、やっぱりカッコいいものはカッコいい。特に、ヴェルコロの最期のシーンは印象的でした。その後に、息子へのメッセージが送信できなかったとわかるのは切ない……。

 

③シーズン1とは別物

 『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2がいまいちな評価を受けているのは、単にシーズン1が良すぎたためでしょう。特に、キャラクターの掘り下げ方についてはシーズン1の方が圧倒的に上手いと言えるでしょう。

 

 シーズン2も、ヴェルコロとフランクも物語は良いとして、ウッドルーとアニーはもう一歩。特に、アニーに関しては複雑な家族関係がほのめかされるものの、深く追及されることはありません。

 

 ただ、シーズン2でやろうとしているのは正統派刑事ドラマなので、それでも構わないでしょう。シーズン1は刑事ドラマとしては異常なほどキャラクターが掘り下げられていて、むしろ人間ドラマと言った方が適切なぐらいです。

 

 事件の扱い方に関しては、シーズン1よりも2の方が上手いと個人的には思うのです。シーズン1の事件は宗教的な装飾が施された事件は、実際に宗教団体が行ったもので、市長らの親戚(だったかな?)が関与しているというような真相でした。シーズン1は事件がメインなわけではないから全然良いんだけど、これだけ抜き出してもそんなに面白くありません。

 

 シーズン2では、市政管理官が殺された事件をきっかけに、街の汚職の全貌が明らかにされる構造になっています。しかし、実際にカスパーを殺したのはフランクやオシップの組織の人間ではなく、過去に悪徳警官が犯した犯罪の犠牲者の子供だったのです。意外な犯人でしたし、動機も十分にあります。刑事ドラマとしては、とてもよく出来たストーリーだと思います。

 

 大事なのはシーズン1と2では目指している方向性が違うということです。『FARGO/ファーゴ』や『アメリカン・ホラー・ストーリー』などもシーズンごとに別のストーリーが展開しますが、こちらは一貫した空気感のようなものがあります。しかし、『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』の場合はそうではないということは非常に重要なポイントでしょう。

 

④タイミングが悪かった

 シーズン2がシーズン1と比べていまいちな評価を受けている原因は、放送された時期にもあると思うのです。シーズン1の放送は2014年で、その一年後にはシーズン2が放送されました。となると、視聴者は当然ながらシーズン1のことをまだまだ覚えているので、そのようなテイストが再び味わえることを期待してしまうのです。

 

 ただ、実際にはシーズン1と方向性が違うので、そのことに期待外れだと感じてしまった人もいるのかもしれません。Rotten Tomatoesでの評価がいまいちなのも、たぶんそのせいなのでしょう(IMDbスコアはそこまで悪くない)。

 

 

 

まとめ

 以上、『TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ』シーズン2について感想・解説を書いてきました。シーズン2は、確かにシーズン1ほどエポックな傑作ではないかもしれません。それでも、硬派な刑事ドラマとしてよく出来ていますし、一見の価値はあるります。少なくとも、私はあまたの刑事映画よりはかなり好きな作品ですし、もっと評価されて良いと思っています。

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