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Amazonドラマ『ボッシュ:受け継がれるもの』シーズン1感想|本家とのちょっとした違い

At the end of the day, you have to decide what kind of cop you want to be. It's either a mission or it's just a job.  

どんな警官になりたいか、結局は自分が決めるんだ。それが使命なのか、ただの仕事なのか。

- Harry Bosch, Bosch: Legacy season 1 episode 5

 

 2021年の第7シーズンで完結したAmazonオリジナルドラマ『BOSCH/ボッシュ』ですが、1年経って早速帰ってきました。『ボッシュ:受け継がれるもの』は、名義上はスピンオフと言われていますが、実質的な続編であり、『BOSCH/ボッシュ』シーズン8です。大きな変更点は一つ。今度のハリー・ボッシュは刑事ではありません。私立探偵です。

 

 今回は『ボッシュ:受け継がれるもの』とオリジナルシリーズの違い、ネタバレありのあらすじ、感想などについて語っていきます。

関連記事:刑事ドラマの決定版『BOSCH/ボッシュ』が面白い!その魅力を徹底解剖 - 海外ドラマパンチ

 

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↓ ポッドキャストでも、ドラマ『BOSCH/ボッシュ』とその続編『ボッシュ:受け継がれるもの』に関するトークを展開中!Spotify, Apple Podcasts, Amazon Music等でも聴くことができます。

 

 

 

基本データ

  • 原題:Bosch: Legacy
  • 原作:マイクル・コナリー『訣別』
  • 配信:Amazon Freevee(アメリカ)、Amazonプライムビデオ(日本)
  • 配信日:2022年5月6日~5月27日
  • 話数:10
  • テーマ曲:"Times Are Changing " by Built by Titan, Skybourne
  • 音楽:ジェフ・ルッソ
  • 主演:タイタス・ウェリバー、ミミ・ロジャース、マディソン・リンツ

予告編

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 ドラマ『ボッシュ:受け継がれるもの』は、その人気ぶりから、シーズン1が配信される前の時点で早くもシーズン2を製作するとの発表がされました。ちなみに、シーズン1の原作はシリーズ19作目の『訣別(The Wrong Side of Goodbye)』で、シーズン2の原作はシリーズ18作目の『贖罪の街(The Crossing)』だとされています。

 

本家『ボッシュ』との違い

 2022年5月に始まった新ドラマ『ボッシュ:受け継がれるもの』は、Amazonオリジナルの刑事ドラマ『BOSCH/ボッシュ』の直接的な続編です。基本的にはオリジナルシリーズと同じ形式・趣向なのですが、いくつか変わったところがあります。

 

 アメリカでは、これまでのAmazonプライムビデオではなくAmazon Freeveeという無料動画配信サービスで配信されています。ただし、日本ではFreeveeは利用できず、これまでと同じくAmazonプライムビデオで配信されているので、気にする必要はありません。

 

 メインキャストの顔ぶれは、オリジナルのときと同じです。ハリウッド署のメンバーがレギュラー出演しなくなりましたが、ときどき顔を見せてくれます。新キャストは、ボッシュに技術的な協力をするモーを演じるスティーブン・チャンと、マディを指導する先輩巡査のヴァスケスを演じるデニス・G・サンチェスなど。

 

 製作陣も本家とほとんど同じですが、新たに音楽担当でドラマ『FARGO/ファーゴ』や『アンブレラ・アカデミー』のジェフ・ルッソが参加しています。

 

 オープニングで流れるテーマ曲も、これまでのCaught A Ghostによる"Can't Let Go"から、Built by TitanとSkybourneによる"Times Are Changing "に変わっています。これは、このドラマのために作られたオリジナル曲です。

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あらすじ(ネタバレ)

『BOSCH/ボッシュ』シーズン7の振り返り

 詐欺師のヴィンセント・フランゼンが投資家のカール・ロジャースのインサイダー取引を告発しようとしたとき、マディは殺し屋に狙われ、弁護士のハニー・チャンドラーは襲撃された。ハリー・ボッシュは、正義を実行できない警察を見切り、辞職して私立探偵を始めた。

 

『ボッシュ:受け継がれるもの』シーズン1あらすじ

 カール・ロジャースは、裁判が審理無効になったため有罪を免れた。ボッシュの調査により、ロジャースはロシアのギャングから借りた金を返すために、パイプラインから石油を盗んでいることが明らかになった。ボッシュはパイプラインを爆破し、ロジャースの計画を阻止する。ロジャースは、検察との取引で罪を認めて保護を受けることにしたが、逃亡してロシアン・ギャングに殺される。

 

 ボッシュは、大富豪のホイットニー・ヴァンスから、遺産を相続するために自分の子孫を探してほしいと依頼された。調査の結果、ヴァンスの息子は戦争で死んでいたが、その娘のヴィビアナはまだ生きていることがわかった。そのことを知る前にヴァンスは死んでしまった。ヴァンスの秘書が、かつて自分に有利なようにヴァンスの遺言書を改ざんしていたが、そのことがバレそうになったためにヴァンスを殺害したのだった。ヴィビアナは、ヴァンスの会社の人間やその殺し屋から何度も狙われたが、ボッシュのおかげで助かった。

 

 新米刑事のマディは、タイ人街のレイプ事件に協力する。また、同期の警官が殺された事件の犯人の追跡にも参加し、犯人とその元恋人が警察によって射殺されるのを目撃した。マディは、レイプ事件の犯人の仮面を発見する。最終話の最後で、マディは自宅から姿を消した。

関連記事:Amazonドラマ『ボッシュ:受け継がれるもの』シーズン2感想|ボッシュ最大の危機 - 海外ドラマパンチ

 

 

感想

私立探偵ハリー・ボッシュ

 ハリー・ボッシュは、警察にいては正義を実行できないと考え、警察を辞めて私立探偵を始めました。刑事時代とはうって変わり、自分の都合で仕事をすることができるので、だいぶ落ち着いた印象がします。私立探偵ボッシュが最初に依頼された事件は、大富豪ヴァンスの子孫探しでした。子孫を探すのは骨が折れそうですが、殺人事件と比べればプレッシャーの少ない案件です。ボッシュも、ついに悠々自適な探偵ライフを送ることができるのでしょうか。

 

 もちろん、そんなわけはありません。自分自身が母親を亡くして養子として育ったので、子孫探しには本気で取り組みます。それを邪魔しようとする連中もいます。尾行され、盗聴され、しまいには殺し屋までやってきます。刑事時代よりも脅威が増えています。

 

MEMO:第8~10話で殺し屋を演じたTetiana Gaidarは、ウクライナ出身の女優・モデル・ダンサーであるとともに、スタントウーマンとしても活動している。ドラマ『ナチ・ハンターズ』では、戦略武器アドバイザーとして参加している。インスタグラムには、めちゃくちゃクールなスタントやトレーニングの様子が日々投稿されている。

リンク:Instagram @tetianagaidar

 

 ボッシュは、そんな相手に対して、刑事のときにはできなかった違法行為も使って立ち向かいます。最終話では、敵を捕まえて拷問していました。これは、アフガニスタン戦争での経験が基になっているというような描写がされていました。戦争でも捕虜の拷問は違法なので、どっちにしろダメなこと。これは、ボッシュが刑事だったときとは大きな違いです。

 

 一方で、医者殺害事件に関しては、ボッシュは警察にいたときと同じことをやっています。これは、警察の雑な捜査を指摘して、正しい正義が下されるように働きかける意図がありました。結局、そこは今も変わっていません。刑事時代と手段は変わっても、正義を追及する姿勢は全く同じなのです。

 

 
 
 
 
 
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弁護士ハニー・チャンドラー

 シーズン7でカール・ロジャースの手下に狙撃されたものの、一命を取りとめたハニー・チャンドラー。ちょっと裏側の話をしてしまうと、実はチャンドラーはあのときに死亡する予定だったそうです。しかし、スピンオフが作られることが決定し、チャンドラーを主人公の一人にすることにしたので、死なないことになりました。

 

 チャンドラーは、”マネー”・チャンドラーと呼ばれることもあり、正義よりも金を優先する傾向があると人々に思われています。チャンドラー自身がそのことを認めることはありませんが、新シリーズに入って、より”マネー”っぽい部分が出てきたように見えます。

 

 特に、刑事を射殺した犯人が、後に元恋人とともに射殺された事件で、元恋人の遺族に働きかけて民事訴訟を持ちかけた件。遺族の方はそんな気はなかったようですが、警察の改革のために訴訟を起こそうと説得しています。しかし、後に警察関係者から情報をもらったときには、警察の改革よりも遺族の利益を優先しなければいけないと言っています。

 

 弁護士は、どれだけ上手い話ができるかが勝負みたいなところはありますから、チャンドラーも都合の良いことをホイホイ言っていることが結構あります。刑務所で脅迫じみたことをしたときもそうですよね。ボッシュとチャンドラーは、腐れ縁みたいな感じで協力し合うことも多いですが、根本的なところで理念が違うので、結局、協力関係が上手くいかなくなっているような気がします。

 

新米刑事マディ・ボッシュ

 父親に憧れて警官になったマディ。「厳しいがフェア」という評判の先輩巡査ヴァスケスとともに、巡査として経験を積んでいきます。ただ、事件に遭遇すると出しゃばりがち。担当刑事を差し置いて、自分だけで被害者と会ったりしています。それが被害者のためになるなら良いですが、捜査の妨げになったら困ります。

 

 そこで、伝説的な元刑事であり、父親のハリー・ボッシュに教えを請います。ボッシュは「警官を使命だと考えるか単なる仕事だと考えるかは自分で決めなければいけない」というありがたい言葉をマディに授けます。2人の関係が、これまでの親子関係からさらに師弟関係要素も加わり、変化してきています。このときのボッシュの言葉が、いちいち名言みたいな雰囲気があるので、毎回「ありがたや」と拝めたい気分にさせられます。ハリー・ボッシュ教という宗教があったら、警官は全員入信すると思います。

 

 そんなこんなで、マディは経験を積んでいきます。同時に、警察への帰属意識も強まっていきます。つまり、自分は警察の仲間であるという意識ですね。同期の警官を射殺した犯人の元恋人が警察によって射殺された事件では、警官の労働組合(日本では警官は組合を作れないが、アメリカでは作れる)の弁護士からどのような証言をするべきか指導を受けています。ちょっと言い方を変えるだけの指導ですが、警察側の主張にとって少しだけ都合が良くなっている印象を受けます。

 

 今後のマディの成り行きは気になります。最終話でどこかに連れ去られていましたが、まさか殺されていることはないでしょう。問題は、元に戻ってからです。マディは、警官であるがゆえに危険に巻き込まれている可能性があります。さらにその後、裁判では、警官側にとって都合の良い証言をするよう求められる可能性があります。父親は警察にいたら正義が実行できないという理由で退職したので、娘も同様の考えで警官を辞める可能性はあると思っています。

 

 

総括

 こうやって思ったことを書いてみると気づいたことがあります。『ボッシュ:受け継がれるもの』は、刑事ドラマ『BOSCH/ボッシュ』とほとんど同じ作品ですが、”警察”の描き方が180度変わっています。本家は、殺人課の刑事や警部補・チーフたちの視点、つまり内側から描いていました。一方、今回は、警察に愛想を尽かした私立探偵、弁護士、新米刑事の視点になるので、警察を外側から描いているような形になっています。

 

 扱っている事件や警察の腐敗を扱っているのはどちらも同じですが、視点が違うので、これはこれで新鮮なものがあります。警察に対する姿勢が、ややシビアになっているようにも感じます。まだ最初のシーズンなので本家との違いはさほどありませんが、シーズンを重ねればそれなりに大きな違いになっていくでしょう。

関連記事:Amazonドラマ『ボッシュ:受け継がれるもの』シーズン2感想|ボッシュ最大の危機 - 海外ドラマパンチ

 

↓ ポッドキャストでも、ドラマ『BOSCH/ボッシュ』とその続編『ボッシュ:受け継がれるもの』に関するトークを展開中!Spotify, Apple Podcasts, Amazon Music等でも聴くことができます。

 

↓ 同じく2022年5月に公開されたNetflixドラマ『リンカーン弁護士』の原作者は、『BOSCH/ボッシュ』と同じくマイクル・コナリー。原作では、ハリー・ボッシュと弁護士ミッキー・ハラーが協力して事件に挑むことがしばしばあるそうですが、ドラマでそれが実現することはあるのでしょうか??

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おまけ

 最終話の冒頭で、マディとヴァスケスがダニー・トレホの店(本当にあるらしい)で買ったドーナツを食べているときのセリフが面白かった。

 

Donuts don't count. Cops have an enzyme that zero out of the calories.

字幕:ドーナツは別よ。警官にはゼロカロリー。

 

 元のセリフをそのまま訳してみると「ドーナツはカウントしない。警官はドーナツのカロリーをゼロにする酵素を持っているから」となります。これは、かの有名なサンドウィッチマンのゼロカロリー理論と酷似しているではありませんか! ゼロカロリー理論が世界進出しているとは知りませんでした。

 

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