海外ドラマパンチ

海外ドラマ最新情報・紹介・感想

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

Amazonドラマ『ボッシュ:受け継がれるもの』シーズン2感想|ボッシュ最大の危機

"Everybody counts, or nobody counts" - that’s your thing. Family counts a little more.

- J.Edgar, Bosch: Legacy

誰もが重要か、誰も重要ではないか、それがあんたの仕事だ。家族はより重要だ。

ーJ. エドガー『ボッシュ:受け継がれるもの』

 

 このドラマはどこまで面白くなってしまうのか。本家『BOSCH/ボッシュ』から数えると9年目になる『ボッシュ:受け継がれるもの』(または『ボッシュ:レガシー』)シーズン2ですが、今回も刑事ドラマの金字塔としての貫禄をしっかり見せてくれました。

関連記事:Amazonドラマ『ボッシュ:受け継がれるもの』シーズン1感想|本家とのちょっとした違い - 海外ドラマパンチ

 

 

 

概要

  • 原題:Bosch: Legacy
  • 配信:Amazon Freevee(アメリカ)、Amazonプライムビデオ(日本)
  • 配信期間:2023年10月20日~11月10日
  • 話数:10

予告編

youtu.be

 

あらすじ(ネタバレ)

 ハリー・ボッシュは、検視官のドッグワイラーにさらわれた娘のマディを救出する。4ヶ月後、デヴィッド・フォスターがレクシー・パークスの殺人容疑で逮捕される。弁護士のチャンドラーは、フォスターの無罪を信じてハリーとともに調査を進めた。

 

 ハリーとチャンドラーは、ロジャースを陥れるための行ったガスパイプラインの爆破に関してFBIの捜査を受ける。その裏で、刑事のエリスとロングが2人を付け回し、レクシー・パークス事件の捜査の妨害をしていた。

 

 モーは、ハッカーの会合でジェイドという女性と出会い意気投合したが、彼女は実はハリーとチャンドラーを追い詰めるための潜入捜査官だった。モーはそのことに気づき、ジェイドの裏をかいて捜査から逃れた。フォスターの罪を晴らしたチャンドラーは、地区検事に立候補する。

 

 マディは、CRU(犯罪抑止班)に配属される。ハリーが危険な状況に陥っていることを知ると目を光らせるようになり、波止場で殺されかけていた父親を救う。その後、ドッグワイラーが監獄で死亡したことを知る。マディは、ハリーが指示したのではないかと疑う。

 

 

感想

 前シーズンの終わり方がこのドラマとしては初のクリフハンガーで、しかもマディの命の危険に関わる大事件だったので、この1年強の間、シーズン2が来るのをやきもきしながら待っていました。シーズン2が始まると、早速マディは土の中に埋められて危機一髪の状態。ハリー、早く助けてくれ!

 

 ハリーは、元相棒のエドガーの協力も得ながら、独自に調査をしていきます。エドガーがまた刑事として捜査をしている姿を見られたのは、とても嬉しかったです。エドガーはかなり好きなキャラだったので、『レガシー』で出番がなくなってしまいそうで残念だったのですが、意外とちょくちょく出てくれています。ファンサービスなのかもしれませんが、こういうファンサービスは大好きです。

 

 その間、ずっと土の中に閉じこめられているマディのシーンを見ていると、自分まで閉所恐怖症になりそうでした。幸いにも、マディは2話の最後にはハリーによって救出されます。この話はもっと長くやるのかなと思っていましたが、2話ぐらいじゃないと本当に閉所恐怖症になりそうだったので、分量的にはちょうど良かったかもしれません。

 

 3話からは、マディの代わりにハリーとチャンドラーの方が危険な目に遭います。なにしろ、殺人犯の刑事エリスとロングに付け狙われ、同時にFBIからの捜査にも追われることになるのですから。しかも、FBIに捜査されている件に関しては、完全に有罪です。実際にハリーはガスパイプラインを爆破しています。無罪を証明することができないので、誤魔化すしかありません。

 

 そこが、シーズン1のときの記事でも書きましたが、本家『BOSCH/ボッシュ』との違いになっています。『ボッシュ:レガシー』のハリーは刑事ではないので、警察の行動規範に捕らわれずに行動することができます。ただし、本来守らなければならない法律があることには変わりないので、相応の処罰を受ける可能性はやはりあるわけですが。

 

 刑事ではなく私立探偵のハリー・ボッシュらしさが最も出ていたのがラストシーン。マディを誘拐したドッグワイラーは刑務所の中で殺されてしまいましたが、どうやらその死にハリーが関わっていたかもしれないことが明らかになります。

 

 ちょっと鳥肌が立ちましたね。マジか。そう来たか。ここまでダークヒーローになっていくのか。これまでも何かと破天荒ぶりを見せつけてきたハリーですが、激情で悪人を殺しそうになるときには、いつも直前に自ら制止していました。でも、今回はもしかしたら、自ら計画的に殺人を犯したのかもしれないのです。

 

 ついにハリーは一線を越えたかもしれません。マディがあれほどの目に遭わされたので、父親としてはそうしたくなる気持ちもわかります。一応、まだハリーが殺人を指図したと決まったわけではないので、一線を越えたかどうかはわかりません。次シーズンがもう楽しみで堪りません。

 

 

 今シーズンは、マディの成長が著しいシーズンだったなと思いました。最初の2話は強靭な精神力で生き残り、その後も警官としての正義感を新たにして職務に当たっています。同時に、これまでは父親から庇護される存在だったところが逆転して、今度は自ら積極的にハリーを助けようともしています。

 

 私たちは、シーズン1の頃からマディを見続けてきているので、9年間の成長を疑似的に見続けてきています。母親の死のシーンも見ていますし、あの頃と比べるとかなり成長したと感じます。

 

 マディの成長を見届けてきたのと同時に、私たちは役者としてのマディソン・リンツの成長も見届けてきたことになります。マディソン・リンツは、ほぼ10年に渡って子役から大人の役者になるまで同じ役を演じ続けています。これに匹敵するのは映画『ハリー・ポッター』シリーズとドラマ『モダン・ファミリー』の子どもたちくらいか。ただ、マディソン・リンツはちょっと状況が違います。というのも、ドラマ『ボッシュ』にはマディと同年代のキャラクターが出てきません。

 

 そんなこともあって、マディの存在はこのドラマにおいては最初から特別なものでした。だからこそなおさら、このドラマに出続けてくれていることが嬉しい。今シーズンでは役者としての成長もかなり見られました。マディソン・リンツが『ボッシュ』の撮影現場や他の出演者たちから多くを学んできたことは想像にたやすく、ここで培ってきた力をドラマの中で発揮してくれることは恩返しのようでもあって、胸が熱くなってきます。

 

 もう一人、今シーズンで存在感が増した人といえば、ハッカーのモー。前シーズンで初登場したものの、そのときはまだ凄腕ハッカーの便利な奴という程度のキャラクターでしかなかったと思います。それが、今回は恋に落ちるも、最後には凄腕ハッカーに相応しい賢さを発揮します。ハリウッド映画にありがちな物語上便利なハッカーキャラに留まることがなく、人間らしい魅力を備えたキャラクターとして際立ってきたのは、とても良いですね。

 

 

 そして、忘れてはならないのが、ランス・レディックの存在です。本家『ボッシュ』でチーフ・アーヴィングを演じ続けていた他、映画『ジョン・ウィック』でのシャロン役、ドラマ『THE WIRE/ザ・ワイヤー』でのダニエルズ役などで強い印象を残した俳優のランス・レディックは、今年3月に急逝してしまいました。

 

 

 最終話では、ランス・レディックの姿をもう一回だけ拝むことができます。"Fu*cking Bosh!"という台詞をまた聞くことができて、感慨深かったです。本当に惜しい才能を亡くしてしまったものです。R.I.P.

 

psbr.hatenablog.com

psbr.hatenablog.com