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ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』(原題 The Bear)シーズン2感想

 店名を変えて新装開店することになったシカゴのレストラン「The Bear」。このレストランが今後ミシュランでいくつの星を獲得できるのかはわかりませんが、ドラマは文句なしの3つ星クオリティです。

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基本データ

  • 原題:The Bear
  • 製作:FX on Hulu
  • 公開日:2023年6月22日
  • 話数:10
  • 脚本:クリストファー・ストアラー
  • 出演:ジェレミー・アレン・ホワイト、エボン・モス=バクラック、アイオウ・エディバリー

予告編

youtu.be

 海外ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』は、Disney+(ディズニープラス)で配信中。月額料金は990円(税込)、年間プランなら9,900円(税込)です。

Disney+ (ディズニープラス)

 

※以下、『一流シェフのファミリーレストラン』シーズン2のネタバレを含みます。

 

ベアー

 シーズン2のストーリーは、シーズン1のすぐ後。トマト缶の中から見つかった資金を基に、レストランをリニューアルオープンする顛末が描かれます。THE BEEFは庶民派のビーフサンドイッチレストランでしたが、今度のTHE BEARは高級路線で、ミシュランの星を獲得することを目指しています。THE BERFは、リッチーのTシャツです。

 

 Bear(ベアー)というのは、元々はカーミーのあだ名でした。カーミーの本名はカルメン・ベルツァットなので、このベルツァット(Berzatto)からベアーと呼ばれるようになったのかなという気がします。でも、リッチーはクレアのことも「クレア・ベアー」と呼んでいるので、ただの愛称なのかもしれないです。

 

 ともかく、カーミーのことをベアーと呼ぶのは、ほぼ家族みたいなリッチーと亡き兄のマイケルだけでした。だから、クレアがまさか「ベアー」のことを知っているとは思わず、カーミーは100万ドルの賭けに負けてしまったのです。

 

 クレアは、色々と理想的な女性で、こういう人に言い寄られたら男は惚れずにはいられません。久しぶりに会った幼馴染が、とても綺麗になっていて、しかも自分のパーソナルなことまで覚えていたなんてねぇ。都合が良すぎる気がしなくもないですが、とりあえず良しとしましょう。全然関係ないですが、私は毎回クレアを見ると、10年後のジェナ・オルテガ(ドラマ『ウェンズデー』主演)みたいだなと思っていました。

 

 カーミーがクレアにうつつを抜かしている間に、他の人たちはシェフとしての修行を積んでいます。前シーズンで、料理の楽しさに改めて気づいたティナは、エブラとともに料理学校に通います。カーミーから包丁をもらったティナが嬉しそうなのが実に良い。

 

 シドニーは、シカゴの様々なレストランを巡って、新作のアイデアを探しています。第3話で出てきたレストランのいくつかは実在するもののようです。なので、シカゴに行ったら訪れることができます。このドラマを作っている人たちのシカゴ愛は、こんなところにも表れています。

 

 マーカスは、コペンハーゲンに行きます。そこで出会った料理人がウィル・ポールター。それは、俳優の名前ですが、いきなり名の知れた俳優が出てきて驚きました。でも、もっと驚くことになるのは第6話です。

 

フィッシュ

 第6話は、数年前のベルツァット家のクリスマスの話です。まず、キャストが豪華。カーミーの母のドナを演じるのはジェイミー・リー・カーティス、ドナと付き合っているらしき男はボブ・オデンカーク。カーミーの兄は引き続きジョン・バーンサルで、他にもジョン・ムレイニーとサラ・ポールソンがいます。それぞれの演技に見どころがありますが、特にジェイミー・リー・カーティスが凄い。

 

 このドラマといえば、殺気立つほど慌ただしい料理シーンが名物ですが、今回その料理を担当するのはカーミーの母です。1人で約10人分のクリスマスディナーを用意しようというのですから、大変です。カーミーに任せることもできたと思いますが、そこは母親としてのプライドなのか、あくまでも自分で料理を作ることにこだわっています。

 

 他の人たちはただ暇しているだけなのに、どんどん空気は険悪になっていきます。ドナが料理を完成させたときには、ジョン・バーンサルがボブ・オデンカークにフォークを投げつける事態になっています。どっちも最悪。せっかくドナが用意してくれた豪華な食事も台無しで、追い打ちをかけるようにシュガーが母親に「大丈夫?」と声を掛けたことで、母はブちぎれてしまいます。

 

 家族関係があまりにも上手くいっていません。カーミーが、一時期はニューヨークに行ってシェフの修行を積んでいたのは、家から出たかったからというのも頷けます。カーミーもリッチーも、レストランで怒鳴りすぎだと思っていましたが、家にいるときに比べればまだマシだと感じられるほどです。

 

 

フォーク

 リッチーは、最近はアンガーマネジメントの努力をしているようで、なんとか怒りをこらえようとする場面が何度も見られます。そんなリッチーも、修行として高級レストランに1週間だけ出向することになります。そこで任されたのは、フォーク磨きだけ。皿洗いですらありません。当然、リッチーはそんな仕事にくさくさしてしまいます。

 

 でも、リッチーは、そこで働いている人の情熱を見て気持ちが変わっていきます。このレストランは、人々がずっと前から予約をして、精一杯お金を貯めてやって来るところ。人生にそう何度もない贅沢として、ここに食事に来る人もいます。従業員は、そんな人たちの期待に応えるべく、料理からフォークに至るまで完璧を期します。ときには、より良い体験ができるように、サプライズも用意します。究極の「おもてなし」が、そこにはあったのです。

 

 単に料理を食べてもらうだけではなく、レストランにいる時間を楽しんでもらう。リッチーの中でも認識が変わったことで、俄然、彼の中にも情熱が湧きだしてきます。最終的には、あまりにもここでの体験が良すぎて、元のレストランに戻るのが憂鬱になっています。でも、THE BEARはまだ始まったばかり。今から自分の力で、究極のおもてなしを提供することはできます。リッチーには、テイラー・スウィフトを聴きながら、これからも頑張ってほしい!

 

リハーサル

 THE BEARの開店にはトラブル続きでしたが、なんとか防災テストは通り、予定通りにオープンできることになりました。まずは、シェフたちの家族や友人たちを招いて、デモを兼ねたお披露目ディナーを行います。料理長になったシドニーは、プレッシャーに押しつぶされそうになっています。

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 肝心のカーミーは、なんと冷蔵庫に閉じこめられています。いきなりこういうネタをぶち込んできますね。結局、カーミーはディナーの間中、冷蔵庫から出ることはできませんでした。その割に、ディナー自体は上手くいったので、カーミーの存在意義とは?と、彼自身は思ったかもしれません。そもそも、彼が冷蔵庫に閉じこめられていたのも、クレアにうつつを抜かして修理屋への連絡を怠ったからです。

 

 カーミーは料理をするために生きているので、自分のレストランの開店初日に何もできないことほど歯痒いことはありません。だから、死ぬほど反省して、クレアとの関係は自分なんかには相応しくなかったのだと思い詰めてしまいます。

 

 私は、そんなことはないと思います。カーミーは、険悪な家庭環境で育ちましたし、彼の能力はほぼすべてが料理に全振りされています。彼自身、料理の世界で成功することが生き甲斐です。でも、だからといって、幸せになることが許されないわけではありません。クレアは、カーミー自信を愛してくれているわけですから、その愛を素直に受け止めて、自分に正直になっても良いのです。

 

 愛を素直に受け止められないのは、カーミーの母も同じです。ドナの子どもたちは母親のことを愛していますし、ドナも子どもたちのことを愛しています。でも、それを上手く伝えることができません。愛を受け止めることもできません。シュガーが自分のことを気遣って「大丈夫?」と訊いているのは分かっていても、無性に腹が立ってしまいます。

 

 自分が良い母親ではなかったのは、ドナだって自覚しています。それでも、子どもたちは自分のことを気遣い、自分たちのレストランに招待してくれます。だから、THE BEARの前にいたドナは、ありがたさと申し訳なさが入り混じった感情なのかなと思います。もう泣いちゃいますよね。モブキャラだったはずのシュガーの夫みたいに。

 

 シーズン2のエンディングは、意外とダークです。カーミーとクレアの関係は破綻し、シドニーとマーカスの関係も嫌な感じになっています。病気だったマーカスの母親は、どうやら亡くなってしまったようですし。シーズン3では、この状態からまた復活していく過程が見られるでしょう。

 

 気になるのは、カーミーとシドニーの関係です。カーミーとクレアが付き合っているみたいだとなったときのシドニーの態度は、ちょっと嫉妬っぽく見えます。今後の展開は不明ですが、カーミーとシドニーが付き合うのは、個人的には違うかなという気がします。そこは、プラトニックに、先輩と後輩として信頼し合う関係が良いなと思います。

 

 海外ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』は、Disney+(ディズニープラス)で配信中。月額料金は990円(税込)、年間プランなら9,900円(税込)です。

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