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ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』感想~厨房は戦場だ~

Dude, it would be weird to work in a restaurant and not completely lose your mind.

- Sydney Adamu, The Bear season 1

 

 邦題が平凡すぎてタイトルを覚えにくいですが、この記事にたどり着いた人は幸運です。Disney+(ディズニープラス)で配信されている『一流シェフのファミリーレストラン』(原題:The Bear)は、2022年に始まった新シリーズの中ではぶっちぎりで一番面白い海外ドラマです。

 

 もしもまだ観ていないというのであれば、この記事など読まなくても良いので、すぐにDisney+(ディズニープラス)で第1話を観てください。衝撃的です。体験してください。第1話を観たら、続きも観たくなって仕方なくなるはずなので、ぜひ観てください。第2話以降も素晴らしいエピソードばかりです。だから、とりあえず第1話、30分だけで良いので、観てみてください。

 

 これ以降は、それでもまだ観てみる気にならない人と、すでにシーズン1を観終わった人向けの内容です。軽いネタバレを含む可能性があります。

 

 海外ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』は、ディズニープラスで配信中。月額料金は990円(税込)、年間プランなら9,900円(税込)です。

Disney+ (ディズニープラス)

 

基本データ

  • 原題:The Bear
  • 配信:FX on Hulu(アメリカ)、Disney+(日本)
  • 配信日:2022年6月23日(アメリカ)、同年8月31日(日本)
  • 脚本・監督:クリストファー・ストアラーなど
  • 主演:ジェレミー・アレン・ホワイト
  • あらすじ:かつて一流レストランでシェフをしていたカーミーは、兄の死がきっかけで、シカゴでビーフサンドイッチを提供するファミリーレストランの経営を立て直すために奮闘する。

予告編

youtu.be

 

登場人物

カーミー

 以前、世界でも一流レベルのレストランでシェフをしていた。だが、最近自殺した兄のマイケルから借金だらけのレストランThe Beefを遺され、経営を立て直すためにシカゴにやってくる。料理の腕はピカイチだが、こだわりも強く、それゆえに他のシェフとの関係が悪化することがよくある。

 

リッチー

 カーミーの兄の友人であり、カーミーとも親しい。2人は親戚ではないが、リッチーはカーミーのことをcousin(いとこ)と呼んでいる。簡単なシェフの仕事をすることもあるが、どちらかというとそれ以外の接客や環境整備などの仕事をしていることも多い。

 

シドニー

 The Beefに新たにやってきたシェフ。名門料理学校カテナリー・インスティテュート・オブ・アメリカ(CIA)を卒業しており、若くてもシェフとしての実力は確か。一流シェフのカーミーを尊敬している。厨房の環境改善に関する意見なども積極的に出していく。

 

ティナ

 レストランで長年働いている。なぜかカーミーのことを「シェフ」ではなく「ジェフ」と呼ぶ。カーミーやシドニーがレストランの改革を進めようとしているのに対して、従来通りのやり方でやっていくことを好む。

 

マーカス

 シェフ。カーミーに触発されて、自分でもオリジナルメニューを作ってみようと思い立ち、ドーナツの開発を始める。

 

シュガー

 カーミーの姉。レストランの共同オーナーということになっているが、経営にはほとんど関わっていない。兄が遺した多額の借金を返済するため、本当はレストランを売ってしまいたい。

 

 

全員面倒くさいがそれが良い

 ドラマは、ほとんどがレストランの中で展開します。このレストランは、個人経営の小さなものなので、厨房も小さく、シェフたちはいつも狭苦しそうに料理をしています。そのせいで、シェフたちは物理的な意味でも人間関係的な意味でも、しょっちゅう衝突しています。しかも、それぞれの性格のせいで、余計にトラブルばかりが起きています。

 

 まず、カーミーは料理に対するこだわりが強いので、それまで庶民派レストランとしてやってきたThe Beefのシェフたちと方向性が合いません。リッチーは、言動が荒いというか、シンプルにクズなときがあります。シドニーは新人の割に店のやり方にいちいち口を出すので、気に入らない人もいます。ティナは、これまで通りのやり方を変えたくないので、やっぱりカーミーやシドニーと対立してしまいます。マーカスはいつもドーナツを作っている良い奴です。

 

 第1話からシェフたちの関係は険悪で、途中で辞めてしまう人まで出てきます。最終的には、協力して取り組むこともできるようになるのですが、このドラマでは、そこに至るまでの過程がちゃんと描かれているのが良い。

 

 カーミーは、シカゴにやってきてからずっとレストランを経営することばかり考え、自分の兄の死にまともに向き合ってきませんでした。リッチーや姉と兄について語ったこともありません。そのせいで、溜まった感情を厨房で吐き出すようなことになったりもしています。カーミーが自分の感情と向き合う物語として、きっちり作られているので、納得感もあるし面白い。

 

 カーミーの悩みが解決したからといってシェフたちの関係がいきなり絶好調になるわけでもありませんが、最終話ではお金の問題も解決したので、だいぶ今後の人間関係の風通しはよくなりそうです。結局、お金が色々な問題を解決するのは、ちょっと面白くてリアリティがあります。カーミーの悩みが解決したからこそ、ではあるんですけど。

 

画面越しでも絶品料理

 料理を扱う映画やドラマなら、その料理が美味しそうに見えなければいけません。その点、このドラマはたっぷり視聴者の胃を刺激してくれます。本当に旨そう。しかも、このドラマに出てくるものは、どんなものでも旨そうに見えます。あまりにも美味しそうなので、シカゴに行ってビーフサンドイッチを食べることが人生の目標の一つになりました。

 

 第2話では、カーミーが自宅で、一流シェフの割にはえらく簡素な食事をしていましたが、このときのピーナッツバターを食パンに塗っている場面でさえ美味しそうでした。一瞬、また絶品料理を作っているんだなと錯覚したほどです。実際にはほとんど料理とも呼べない食べ物でしたが、ただの食パンでさえ旨そうに見せてしまうドラマの力は凄い。

 

 
 
 
 
 
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 撮影の上手さは、料理を撮るときだけに限りません。厨房やシカゴの街を撮るショットもお洒落。ミシュランの星付きレストランみたいなハイソなオシャレじゃなくて、庶民派レストランの親しみやすいお洒落さです。カットの一つ一つをずっと眺めていられます。

 

 演出の鋭さは驚異的です。第1話をご覧になったたら、もうお判りでしょう。圧倒的なスピード感で厨房の慌ただしさを体感させてくれます。開始10秒で一気にドラマの世界に引き込まれました。凄い! 奇跡的です。

 

 しかも、奇跡はもう1回起こります。第7話は、冒頭を除いて約17分間がワンカットで撮影されています。本物のワンカットです。これまでも、映画『1917』や『バードマン』はワンカットと言われていましたが、あれは上手い具合に編集をすることでワンカットに見せています。一方、こちらではそのような編集は行っておらず、本当にノーカットで撮っています。だから、臨場感が凄い。これは、絶対に観てほしい。

 

 まだ観てないなんて言わせませんよ? ディズニープラスに入ったら、マーベルよりもスターウォーズよりも真っ先に『一流シェフのファミリーレストラン』第1話を観てほしい。すでに観たという人は、もう一回観るのも良いんじゃないでしょうか。シーズン2の製作が決定したので、いずれは続きを観ることができますが、それまでは。

 

↓ 料理に関しては素人の筆者がドラマに出てくるパスタを作ってみました。

psbr.hatenablog.com

 

 海外ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』は、ディズニープラスで配信中。月額料金は990円(税込)、年間プランなら9,900円(税込)です。

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