Disney+の日本上陸が来月に迫り、HBO Maxで『ジャスティス・リーグ』のスナイダーカットが配信されることが決定されるなど、最近は新規動画配信サービスが勢いを見せています。これらの新規サービスは、これまでのNetflixやAmazon Prime Videoとは「産地直送型」である点で決定的に異なります。
今回は、そんな産地直送型とはどういうことなのか、そしてDisney+、HBO Max、ピーコックの違いを解説していきます。
産地直送型ストリーミングサービスとは
Netflix、Amazon Prime Video、Huluといった従来の動画配信サービスは、既存の映画やドラマなどの配信権を買い付けて、それをサブスクリプション制で配信するものです。近年は、各サービスでのオリジナル作品も増えてきていますが、やはり既存のコンテンツの配信は重要視されています。
一方、Disney+、HBO Max、ピーコックといった新しい動画配信サービスは、運営しているのがそもそも映画・ドラマの製作会社(あるいはその親企業)です。これまで、製作会社は作品をNetflixなどに売る立場だったのですが、これからは自分たちで直接作品を提供するようになるのです。
これは、農産物における小売店と農家の関係に似ています。これまでは、農家は小売店に農産物を売っていました。しかし、今度からは自分たちで直売店を始めて、直接消費者に届けるようになるのです。農家だけで十分な品揃えを用意できるなら、この方が利益が出ます。消費者も、小売店で買うより新鮮な農産物が購入できます。
産地直送型ストリーミングサービスは、この”十分な品揃え”を誇る農家に当たります。これから、各サービスの概要は書いていきますが、これを読んでいただければ”十分な品揃え”の意味がわかってもらえると思います。
相次ぐ引き上げの動き
上述したように、産地直送型ストリーミングサービスの運営元はこれまでNetflixなどに作品を売ってきました。そのため、NetflixやAmazon Prime Videoでは既存の作品が見られるのですが、これは産地直送組にとってはあまり嬉しくありません。何しろ、これからは自分たちで作品を配信できるのですから。
そこで、近年になって彼らはNetflixなどに提供していた作品の引き上げを行っています。通常、作品の配信権は何年間かの契約で成り立っているので、その契約が切れた時点で「もう、配信権あげないよ!」と言うのが典型例です(もちろんタダではないんですが)。しかし、中には契約期間が終わっていない作品でも、大金を払って買い戻す場合があります。
主なところだと、米Netflixで配信されていたNBCの人気番組『ジ・オフィス』『パークス・アンド・レクリエーション』、ワーナー製作のドラマ『フレンズ』などは、いずれも配信が停止されています。
既存のコンテンツを失いつつあるNetflixやAmazon Prime Videoは、今後オリジナル作品で勝負していかなければいけません。ただ、ディズニーやワーナーなど既に多くの作品を作ってきたところと比べると、NetflixもAmazonもまだまだ歴史が浅く、厳しい戦いになるかもしれません。
ここからは、Disney+、HBO Max、ピーコックの各サービスを運営しているところとその傘下の製作スタジオ、そしてオリジナル作品の一部を紹介していきます。なお、傘下の製作スタジオだからといって、そこで製作されたすべての作品がその動画配信サービスで見られるようになるわけではありません。
Disney+
Disney+は、昨年アメリカを中心に始まったウォルト・ディズニー・カンパニーの動画配信サービスです。日本では、今年6月からサービス開始予定となっています。
なお、Huluは既にディズニーに買収されているため、この2つのサービスは共存していくことになるでしょう。具体的には、全年齢向けの作品はDisney+、大人向けの作品はHuluという住み分けになりそうです。
ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下の製作スタジオ
・ウォルト・ディズニー・スタジオ
・ピクサー
・マーベル・スタジオ
・20世紀スタジオ
Disney+オリジナル作品
ドラマ『マンダロリアン』
ドラマ『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』
映画『スターガール』(グレース・ヴァンダーウォール主演)
HBO Max
HBO Maxは、アメリカで今年5月からサービスが開始されるワーナーメディアの動画配信サービスです(HBOではないことに注意)。日本でのサービス開始時期は未定です。
特にワーナー・ブラザースは、映画はもちろん、テレビドラマも数多く製作しています。また、HBO MaxではすべてのHBO作品が配信されることになっています。
ワーナーメディア傘下の製作スタジオ
・HBO
・ニュー・ライン・シネマ
※The CWのドラマは、ほとんどがワーナー・ブラザースが製作している。
HBO Maxオリジナル作品
ドラマ『フレンズ』同窓会スペシャル
リブート版ドラマ『ゴシップガール』
ドラマ『トウキョウ・バイス』
ピーコック
ピーコックは、アメリカで今年7月からサービス開始予定のNBCユニバーサルが提供する動画配信サービスです。ピーコックは、広告付きで無料で見られるプランもあるなど、幅広い料金プランも魅力です。
NBCユニバーサル傘下の製作スタジオ
・NBC
・USAネットワーク
・イルミネーション・エンターテインメント
・ドリームワークス
・アンブリン・エンターテインメント
※SyFyのドラマは、多くがNBCまたはユニバーサル・スタジオが製作している。
ピーコックオリジナル作品
リブート版ドラマ『宇宙空母ギャラクティカ』
ハクスリー原作『すばらしい新世界』ドラマ化
『サイク/名探偵はサイキック?』スピンオフ映画第2弾
まとめ
以上、これからのストリーミングサービス界を席巻していくことになるであろう産地直送型ストリーミングサービスを紹介してきました。HBO Maxとピーコックの日本上陸時期は未定なのですが、近いうちに来てくれると嬉しいですね。