Risk hai toh ishq hai.(リスクとは愛である)
- Harshad Mehta in SCAM 1992
今、インドで猛烈に盛り上がっているドラマがある。ともすれば、史上最高のテレビドラマの称号をも手に入れてしまう勢いさえある。その名も『SCAM 1992: The Harshad Mehta Story』。scamには「詐欺」、特に「信用詐欺」という意味がある。Harshad Mehta(ハルシャド・メフタ)は人の名前で、彼がこのドラマの主人公だ。
『SCAM 1992』とは何か?
なぜ、まだ日本に上陸していないインドのドラマの話をするのか?理由は、このドラマがとてつもなく高い評価を得ているから。
『SCAM 1992』は、世界最大の映画・ドラマのレビューサイトIMDbにおいて、現時点で9.6/10という評価を得ている。これは、『ブレイキング・バッド』や『ゲーム・オブ・スローンズ』『チェルノブイリ』など名だたる名作ドラマを抜き、史上最高のスコアである。レビュアーが数千人程度であればバグったと考えても良いのだが、そうではない。すでに2万人以上がレビューしていて、そのうちの約88%が10点満点を付けている。
↓現時点でのIMDbスコア(自動更新)
そもそも『SCAM 1992』が公開されたのは、2020年10月9日なので、まだ1ヶ月も経っていない。それでも、これほど多くの――レビューしているのは2万人だが、もちろん実際に観た人数は遥かに多い――人々が観ているというだけでも異例である。『SCAM 1992』は、SonyLIVというインド独自の動画配信サービスのオリジナルドラマで、現在はインドのみで独占配信している。シーズン1は、50分×10話構成。
監督は、Hansel Mehtaという人で、映画もたくさん撮っているらしいが、私にはよくわからない。主演のPratik Gandhiも、グジャラート語映画を中心にいくつもの作品に出演しているようだが、これも私はよく知らない。日本で観られる作品はあるのかな?出演作リストのリンクを以下に貼っておくので、分かりそうな人は見てください。
Hansel Mhetaのプロフィール:Hansal Mehta - IMDb
Pratik Gandhiのプロフィール:Pratik Gandhi - IMDb
↓『SCAM 1992』公式予告。英語とヒンディー語が混じっています。とりあえず、雰囲気だけでも感じてみてください。
『SCAM 1992』はどんなドラマか?
それほどに高い評価を受け、インドで猛烈に盛り上がっている『SCAM 1992』とは一体どんなドラマなのだろうか。主人公のハルシャド・メフタは、実在したインドの投資家で、このドラマは彼が1992年に行った株式詐欺の実話をテーマにしている。
原作は、Sucheta DalalとDebashish Basuが1993年に著した『The Scam: Who Won, who Lost, who Got Away』。実話なので、調べれば一連の事実を知ることは出来るが、今はあえて記さない。というか、私が調べたくない。実話であっても、事前情報はあまり入れたくないタイプなので(笑)
このドラマでは、シーズン1を通してこの詐欺の全貌が描かれているらしく、シーズン2以降に物語が続くことはないだろうと言われている。いわば、リミテッドシリーズの形式だ。場合によっては、別の人物・事件を扱ってシーズン2を製作する可能性もあるのかもしれない。
『SCAM 1992』の評価は?
『SCAM 1992』のレビューには、best, perfect, masterpieceなどの言葉が並び、大多数が好意的なものである。特に、監督とキャストの演技を賞賛する声と、音楽の良さを取り上げているものが多い。
ドラマの最初に挿入されているタイトルクレジット(各誌のレビューコメント付き)が公式YouTubeチャンネルで上がっていた。ぜひ、テーマ曲を聴いてみてほしい。オープニングの映像もイカしているのだけれど、後半が『マッドメン』に似ているとも思ったり。テーマ曲は確かに良い。
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↑『マッドメン』のオープニングもあります。
『SCAM 1992』は、金融詐欺をテーマにしていることから、インド版『ウルフ・オブ・ウォールストリート』とも言われている。なんなら『ウルフ・オブ・ウォールストリート』を超えていると言う人も少なくない。また、どうやら『The Big Bull』という、同じくハルシャド・メフタを主人公にしたヒンディー語映画が近いうちに配信で公開されるらしいが、これは全くもってタイミングが悪かったとしか言いようがない(笑)
まとめ
以上、インドの大注目ドラマ『SCAM 1992: The Harshad Mehta Story』を紹介してきた。これほどインドで話題になっているドラマなので、世界中でも近いうちに観られるようになるでしょう。実話をベースにしたクライムドラマだと『アメリカン・クライム・ストーリー』など、既に名作も多いので、『SCAM 1992』も世界中で受け入れられる可能性のある作品だと思う。
ここまで調べてきて、個人的な感触としては、このドラマからは『ブレイキング・バッド』と同じような印象を受ける。主人公は、特にイケメンというわけでもないおじさん。ストーリーは、おそらく彼が悪の道に堕ちていく物語だと思われる。音楽が良いというのも、『ブレイキング・バッド』の大きな特徴の一つだった。近年のインド映画のクオリティなどを見ていると、『ブレイキング・バッド』級の名作が出ても全くおかしくない。『SCAM 1992』は、まさにそういった作品なのかもしれない。
欧米では、未だに外出規制が続いていたりと、まだまだ家で楽しめるエンターテインメントには需要があるので、『SCAM 1992』が大ヒットを飛ばし得る状況は揃っている。大いに期待したい。そしてもちろん、日本でもいち早く観られるようになってほしい。結局、それが一番の願い。