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海外ドラマ『ニュースルーム』感想~真の報道を知る~

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It's NOT the greatest country in the world, professor. That's my answer.

- Will McAvoy in The Newsroom

 

「なぜ、日本は世界で一番優れた国なのですか?」

「確かに、日本食は健康に良いし、美味しいからな(笑)」

「真面目に答えてください」

「なら、万が一君が選挙に行くことがあったときのために教えてやろう。日本は世界一優れた国なんかじゃない。世界競争力ランキングでは34位。幸福度ランキングは62位。子供の読解力は、史上最低の15位だ。これでも、日本が世界一だと言うのか?だが、この現状の原因として、一つ明らかなことがある。それは、日本の報道だ。2020年の報道の自由度ランキングで日本は66位だった。これは、先進国の中では最低レベルだ。君たちは、日本のニュースに慣れてしまったために、ぬるま湯みたいな報道で満足している。真の報道がどういうものか知らないんだよ……」

 

 

 

『ニュースルーム』基本データ

・原題:The Newsroom

・放送局:HBO

・放送時期:2012~2014年

・話数:25

・脚本:アーロン・ソーキン(映画『ソーシャル・ネットワーク』『シカゴ7裁判』)

・あらすじ:

 アトランティック・ケーブル・テレビ(ACN)の報道番組「ニュースナイト」のアンカーであるウィル・マカヴォイは、視聴者からの人気を一番に考えていた。しかし、かつて付き合っていたマッケンジー・マクヘイルが番組のプロデューサーに就任したことで、真の報道を行う番組を目指すようになる。

・予告編:

www.youtube.com

 

ドラマ『ニュースルーム』登場人物&キャスト

ウィル・マカヴォイ/ジェフ・ダニエルズ

 報道番組「ニュースナイト」のアンカー。ケーブル局で2番目の人気を誇るキャスター。以前は視聴者からの人気を第一に考えていたが、マックがプロデューサーになってからは彼女の考えに共鳴し、真の報道を目指すようになる。4年前まで、マックと付き合っていた。

 

マッケンジー・”マック”・マクヘイル/エミリー・モーティマー

 「ニュースナイト」のエグゼクティブ・プロデューサー(EP)。以前は、戦地報道をやっていた。”真の報道”をすることに強いこだわりがある。

 

ジム・ハーパー/ジョン・ギャラガー・Jr

 シニア・プロデューサー。マックとは以前から仕事をしており、共にACNに移ってきた。マギーに気がある。

 

マーガレット・”マギー”・ジョーダン/アリソン・ピル

 新人のアシスタント・プロデューサー。ドンと付き合っている。

 

ドン・キーファー/トーマス・サドスキ

 「ニュースナイト」の前EPであり、今はその後の時間帯の番組を担当している。当初は、ウィルと同様に視聴率主義だった。

 

ニール・サンパット/デヴ・パテル

 ブログ運営やネットの情報を集める、ACNデジタルを担当。ビッグフッットのニュースをやりたい。

 

スローン・サバス/オリヴィア・マン

 経済担当。仕事に関しては非常に有能である一方、人間関係は苦手。

 

チャーリー・スキナー/サム・ウォーターストン

 ACNの局長。視聴率は重視せず、真の報道を行うニュース番組を作りたいと常に思っている。 

 

『ニュースルーム』ここが面白い!(ネタバレなし)

①仕事に懸ける思いが熱い!

 『ニュースルーム』では、ほとんどの場面がニュース番組を製作するオフィスで展開します。ジャンルとしては、ビジネスドラマになるのでしょうか。登場人物は皆、仕事を第一に考えています。恋愛模様も多く描かれるのですが、仕事を優先してしまうが故に、拗らせがち。

 

 ニュースナイトのメンバーは、全員が「真の報道」を目指しています。これは、メンバー全員に徹底されており、ブレることがありません。番組を作る過程で度々衝突もするのですが、それはより良い報道をするためです。決して、視聴率主義に陥ることがありません。これほど、目標とするところが全員で共有できていると、有意義な仕事が出来そうです。

 

②真の報道とは?

 『ニュースルーム』の見所は、何と言っても「真の報道」を見せてくれるところにこそあるでしょう。ここまで「真の報道」という言葉を使ってきましたが、果たして真の報道とは一体何なのでしょう?

 

 正しい情報を伝えることは、もちろん最も大事なことです。『ニュースルーム』の中では、情報源を最低でも2つ見つけることの重要性が、しつこいぐらいに強調されます。裏取りは、地味な作業だとは思うんです。だって、既に事実はわかっているのにも関わらず、全く別のソースを探さなければいけないのですから。それでも、ドラマを観れば、この重要性は改めて身に沁みると思います。

 

 報道番組において、もう一つ重要なのは、視聴者にとって必要な情報を的確に伝えることです。テレビ番組という性質上、時間の制限があるので、すべてのニュースを扱うことは出来ません。果たして、セレブのゴシップニュースは、視聴者が知るべき情報なのか?災害を起こすほどではない天気の情報を、多くの時間を割いて伝えるべきなのか?これも、「真の報道」を行うためには、重要な要素の一つです。

 

③実際の事件を扱う

 『ニュースルーム』では、実際に起こった事件が扱われます。メキシコ湾原油流出事故、オサマ・ビンラディンの殺害、さらには福島第一原発事故まで。いずれも、実際に大きく報道された事件ばかりです。『ニュースルーム』では、これらを題材にすることで、どうすれば「真の報道」をすることが出来たかを示します。これは、現在のアメリカで行われている報道に対する批判でもあるわけです。

 

 報道の自由度ランキング66位の国、すなわち日本に住む人ならば、なおさら感じるものがあると思います。そもそも、ウィルが政治家を厳しく追及している場面だけでも、驚いてしまいます。こんなことして良いんだ!と。残念ながらと言うべきか、私は日本の報道に慣れているので、『ニュースルーム』で行われる報道には驚くとともに感動してしまいます。これまで、見ることの出来なかった「真の報道」を見せてくれるからです。

 

 ただ、このような報道が現実に可能かというと、そうでもないとは思います。実際には、視聴率を気にしなければ番組を作ることが出来ないし、各方面への配慮も必要なのでしょう。それでも『ニュースルーム』で、あるべき報道の姿を知ることは、有意義な体験です。なにしろ、従来の報道に慣れすぎてしまった私たちは「真の報道」を知らないのですから。

 

④日本の場合

 冒頭で書いた「日本は世界一の国ではない」という文章は、ウィル・マカヴォイっぽい口調を真似しただけで、私が100%そう思っているわけではありません。別の側面から見れば、もちろん日本にも良いところはあります。

 

 しかし、不自由な報道のせいで幸福度ランキングの順位が下がっていることは、至ることろで指摘されている通りです。読解力の低下については、メディアの責任を問うものが少ないのですが、それは発信しているのがメディアだからかもしれません。分かりやすさばかりを重視する日本のマスコミには、日本人の批判的読解力が低下していることへの責任の一端があると思っています。

 

 ちなみに、『ニュースルーム』シーズン2では、選挙報道の際に政党側が記者たちの取材の手配をしていることが批判的に描かれています。日本では、似たようなものとして記者クラブ制度があり、これは選挙時のみでなく、ほぼすべての政治に関する報道で利用されています。よって、シーズン2での批判は、そのまま日本の報道への批判と捉えて良いかもしれません。

 

まとめ

 HBOの『ニュースルーム』で、真の報道を知ることが出来ると書いてきましたが、このドラマはそれだけではありません。意外と笑いどころが多いんですよね。気軽に見進めていくことが出来ますし、人におすすめしやすい作品だと思います。そして、『ニュースルーム』を楽しんだら、ぜひ一度報道について考えてみるというのも良いのでは?

 

参考資料

日本の国際競争力、過去最低34位 コロナ禍を逆転の転機に:日経ビジネス電子版

日本人が「幸せ」を外国人より感じない根本理由 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

日本の15歳、読解力が15位に急落 国際学習到達度調査 - 毎日新聞

報道自由度、日本66位 国境なき記者団、1つ上昇 :日本経済新聞

記者クラブ制度が映すジャーナリズムの難題 | メディア業界 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

 

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