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この海外ドラマが気になる<2023年5月編>と全米脚本家組合ストライキの話

 4月は、新たな環境でリフレッシュもされるので、仕事や勉強へのやる気もあって忙しかったりするのですが、5月になると肩の力が抜けてきます。そうすると、ドラマも見ようかなという気分になれたりします。私も、4月はなかなか時間が取れなかったですが、5月はもっとドラマを観れるかなと思っています。

 

 

2023年5月の気になる海外ドラマ

『メディア王~華麗なる一族~』シーズン4 毎週月曜 U-NEXT

『レジデント・エイリアン』シーズン1 毎週日曜 NHK総合

『シタデル』シーズン1 毎週金曜 Amazon

『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』シーズン3 毎週水曜 Apple TV+

『I MAY DESTROY YOU / アイ・メイ・デストロイ・ユー』リミテッドシリーズ 5月5日 U-NEXT

『スノーフォール』シーズン6 5月24日 Disney+

 

 現在、絶好調配信中なのがHBOの『メディア王~華麗なる一族~』ファイナルシーズン。面白すぎて、鼻血が出そうです。NHKで放送中の『レジデント・エイリアン』はあと2話。こちらもなかなか良いですね。

 

 一方、Amazonで新たに始まったスパイスリラードラマ『シタデル』は、かなり厳しい。製作費が歴代第2位という超高額作品でありながら、ストーリーはあまりにも手垢の付きすぎたもので、現時点では独創性の欠片も見られません。

 

 U-NEXTでは、3年越しでようやく『I MAY DESTROY YOU / アイ・メイ・デストロイ・ユー』が日本初上陸します。レイプを題材にしたドラマなので、内容はかなりヘビーであると想像されます。ところが、ジャンルとしてはブラックコメディと紹介されることも多く、正直、実際に観てみないとわからないですね。

 

 FXの『スノーフォール』もファイナルシーズンを迎えます。日本での知名度はほぼゼロみたいなドラマですが、シーズン6で完結するということは、アメリカではそれなりにちゃんと観られていたということでしょう。実際、面白いドラマですし、私も楽しみながらシーズン5まで観ています。

 

 Apple TV+は、無料キャンペーンをやっていたので、また加入しました。まずは『テッド・ラッソ』のシーズン3を観ています。好きだからというよりは、今年のエミー賞にも絶対関わってくるから、観ておこうという気持ちもありきで。もともと30分枠のコメディとして始まったのに、今ではどのエピソードも50分を超えているとか、ちょっと調子乗ってますね。

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 Apple TV+では、他にも『シュミガドーン!』シーズン2、『シュリンキング:悩めるセラピスト』シーズン1、『ビッグ・ドア・プライズ~人生の可能性、教えます』シーズン1、映画『テトリス』あたりは観ておきたいと思っています。

 

 

全米脚本家ストライキの話

 3月ぐらいから、そんな噂はあったのですが、5月2日から実際に、ハリウッドの全米脚本家組合(WGA)に所属するすべての脚本家11,500人がストライキに入りました。

 

 前回のWGAによるストライキは、2007年11月~2008年2月の100日間でした。今回のストライキが、それ以上になるのか、それとも案外短く終わるのかは、制作会社や配給会社がWGAと合意に至れるかどうかに懸かっています。The New York Timesの記事によると、今回のストライキの争点は、以下のようにまとめられそうです。

 

脚本家側の主張

  • AIの使用に関して適切な規制が必要である。
  • この10年ほどで、テレビドラマの数は飛躍的に増えたが、その多くは話数の少ないケーブルテレビ局やストリーミングの作品であるため、収入が安定しなくなった。
  • ストリーミング作品の報酬を1回払って終わりにする仕組み(NetflixやAmazonが用いている)ではなく、ライセンス料が発生する度にその一部を脚本家に還元するべきだ。
  • ミニルームの改善(または廃止)

 

 AIに関しては、なんとなくわかりますね。ChatGPTなどジェネレーティブAIは急速な広まりを見せていますが、その一方で著作権の問題も顕わになってきています。

 

 2つ目は、ピークTVの話です。従来は、テレビドラマと言えば地上波ネットワーク局が放送するものが基本でしたが、この15年ほどは、ケーブル局およびストリーミングサービスが制作するドラマが質においても人気においても圧倒的になっています。ところが、一般に1シーズンが8~10話ほどと短く、週一で制作されるわけでもありません。そのため、脚本家が雇用される期間が短くなってしまっています。

 

 また、ストリーミングサービスは、脚本家への報酬の仕組みも違うそうです。従来は、作品が公開されたときだけでなく、再放送されたりDVD化されたりしたときに発生するライセンス料の一部が脚本家にも入っていました。しかし、自社の作品を世界的に配信しているNetflixやAmazonは、最初に契約料だけ払って、それっきりという報酬制度を導入しています。簡単に言うと、ギグエコノミー的な仕組みが、脚本家に対しても使われるようになったというわけです。

 

 4つ目のミニルームの話は、この記事が初耳でした。ミニルームとは、ドラマが正式に発注される前段階での脚本家ルームのことを言います。通常、そのミニルームでの報酬は少なめだそう。また、そういった制作の初期段階にしか脚本家が携われないとなると、若手の脚本家などにとっては、ドラマ制作の過程を知る機会が失われてしまいます。

 

 WGA側の主張はもっともだと思うのですが、制作・配給会社側が譲れないのにも理由があるそう。特に、今この時期に、脚本家側の要求に答えるのは難しいと言います。というのは、コストカットの話です。2022年に、ハリウッドの各制作・配給会社は、様々な経費削減を行いました。ディズニーは7,000人の従業員をレイオフし、ワーナーは自社の作品の配信権を売り払ったり、収益の見込めない作品を急に制作中止にしたりしています。

 

 WGAのストライキは、配給会社にとって甚大な影響があるはずです。ところが、強気な姿勢の人もいます。Netflixの共同CEOテッド・サランドスは、国外作品があることに触れています。Netflixは、アメリカ以外でも数多くの作品を作っているので、アメリカの脚本家組合がストライキを起こしても、何とかなりそうなところがあります。実際、Netflixで最も視聴されたオリジナル番組は『イカゲーム』ですから。

 

 AmazonやAppleとなると、さらに影響は限定的に思えます。なにしろ、彼らにとって映像業界は本業ですらないのですから。果たして、Apple TV+の新作が1年間完全になくなったとして、Appleの経営にはどれほどの影響があるのでしょう。かすり傷にしかならない気がします。実際のところどうなるのかはわかりませんが、前回のストライキとは色々異なる側面があるのだろうと思います。

 

 では、実際に視聴者には、どのようなストライキの影響が考えられるのでしょう。まず最初に影響を受けるのはトーク番組ですが、日本ではどうせ見られないので関係ありません。次が、各テレビドラマです。前回のストライキでは、各ドラマの制作が遅れただけでなく、話数が削減されたものもあります(『ブレイキング・バッド』のシーズン1は、本来は7話ではなく9話の予定だったそう!)。

 

 こういったことが日本の視聴者にまで影響があるのかというと、私はそうでもないんじゃないのかなと思います。アメリカに住んでいれば、9月頃から始まる地上波ネットワーク局のドラマが始まらなかったら、異変を感じると思います。でも、日本では別に9月に放送されるわけではありません。ケーブル局やストリーミングにいたっては、そもそも決まった放送時期などというものがないので、制作が遅れたかどうかすら気づかないかもしれません。

 

 それに、私たちはもうコロナ禍を経験しています。あの頃のテレビドラマおよび映画の供給数は異様なほど少なかったので、今回のストライキがそれ以上の影響を及ぼすとは考えにくいのです。

 

 それでも、ピークTV時代を支える脚本家たちには正当な報酬が支払われるべきだという主張は至極当然ですし、制作側はその要求に答えるべきでしょう。別に理不尽な要求をしているわけではないのですから。できるだけ早い段階で両者が合意に至り、再びハリウッドに活気が戻る日を待ち望んでいます。