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海外ドラマ『くたばれケビン!』感想:新感覚ブラックコメディ

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 近年の海外ドラマは進化が凄まじいなと思うことがあるのですが、『くたばれケビン!』もまた、新たなジャンルを開拓していきます。今回は、シットコムという従来の形式に挑んだ新作海外ドラマ『くたばれケビン』の感想&レビューです。 

 

 

 

海外ドラマ『くたばれケビン!』基本データ

・原題:Kevin Can F**k Himself

・放送局:AMC

・放送年:2021年

・話数:8

・クリエイター:ヴァレリー・アームストロング(ドラマ『ロッジ49』脚本)

・主演:アニー・マーフィー(ドラマ『シッツ・クリーク』)

・あらすじ:

 結婚してから10年が経つケビンとアリソンの夫妻だが、ケビンの自己中心的な態度にアリソンは辟易としていた。

・予告編:

www.youtube.com

海外ドラマ『くたばれケビン!』シーズン1はAmazonプライムビデオで独占見放題配信中。

 

登場人物

アリソン・マクロバーツ:妻

ケビン・マクロバーツ:夫

パティ・オコナ―:隣人

ニール・オコナ―:パティの兄で、ケビンの親友

ピート・マクロバーツ:ケビンの父

サム:アリソンの元友人

 

感想・レビュー

①ジャンルに挑戦する

 これはコメディなのかシリアスなのか。『くたばれケビン!』はジャンル分けの難しいドラマです。

 

 ドラマの半分弱は、ケビンを中心とするシットコムです。視聴者の笑い声が入り、明るいセットの中でコメディをやっています。アメリカでは、よくあるシットコムのスタイルですね。

 

 それ以外の部分は、ケビンの夫のアリソンを主人公にした話です。こっちがメインの話です。こっちをシリアスパートとしておきましょう。ここでは、シットコムパートと同じセットを使っている場面もあるのですが、照明を暗くするなどして明確なコントラストが付けられています。

 

 主人公のアリソンはケビンと結婚して10年が経ちます。ケビンは、常に自己中心的な言動をし、妻のアリソンを自分のもののように考えているため、彼女はいよいよ我慢が出来なくなってきます。

 

 正直なところ、よくこんな夫と10年間もやってこれたなと思います。ケビンがとてつもないアホなのは良いとしても、アリソンに対する態度がクズ過ぎる!いつも男友達とつるみ、アリソンを自分の従者か何かのように思っています。

 

 ケビンが出てくるとドラマはシットコム調になるのですが、おそらくこのシットコムで笑える人はいないでしょう。ネタ単体ではそこそこ面白いものもあるのですが、ケビンがあまりに嫌なキャラクターなので、笑うに笑えません。

 

 これは、製作側も意図的にやっているものでしょう。あえて笑えないシットコムを作っています。従来のシットコムという形式へのパロディとして、また風刺としてこのドラマを作っています。

 

 クズ夫のケビンですが、これまで様々なドラマで描かれて来た男性主人公像が実はそんな感じ(さすがに誇張されていますが)だったりします。一方のアリソンのような、主人公にとって口やかましく感じられる妻というのも、シットコムに限らずドラマの定番キャラクターです。

 

 『ザ・ソプラノズ』のカーメラ、『ブレイキング・バッド』のスカイラー、『デクスター』のリタ、『マッドメン』のベティ……。全員がブロンドなのは何の縁なのか知りませんが、とにかくよく出てきます。

 

 アリソンは、まさにドラマに出てくる典型的な妻です。しかし、彼女はそんな状況から抜け出したいと願うようになり、ケビンを殺す計画を立て始めます。

 

②わきまえたくない妻(ネタバレあり)

 麻薬売人だと知った隣人のパティとともに、アリソンは計画を進めます。夫を殺すにしても、殺し屋ではないので、そう簡単にはいきません。そんな日々の中で、アリソンは元カレのサムと出会います。

 

 高校生のときからサムには彼女がいたので、正式な恋人だったわけではありません。現在のサムは、そのときの彼女と結婚しています。

 

 サムとアリソンには、最初から不倫しそうな雰囲気しか感じなかったのですが、その通り。アリソンがあれだけケビンにうんざりしていて、そこに元カレがやってきたら、そうなるでしょうね。

 

 ただ、この不倫は夫殺害計画にとっては邪魔になります。殺害後に捜査が始まると、妻の人間関係は当然よく調べられることになり、もしサムとの関係がバレた場合、アリソンには立派な殺害動機が出来ます。

 

 最終的には、殺害計画は失敗に終わります。アリソンは、サムから駆け落ちを誘われるも、結局は今の場所に留まることにします。

 

 若干の歯がゆさは残るかもしれません。それでも、アリソンはケビンの”わきまえた”妻になるつもりはないようです。今後がどうなるのか、気になってきます。

 

③ジャンルを超える演技

 個人的には、主演のアニー・マーフィーの演技が好きでしたね。アニー・マーフィーといえば、昨年までコメディドラマ『シッツ・クリーク』に6年間出演し、エミー賞も受賞しています。

 

 自分も『シッツ・クリーク』も観てみたいなと常々思っていながら、まだ観れていないのですが、おそらくこの経験があるアニー・マーフィーにとってコメディ演技はお手の物でしょう。

 

 『くたばれケビン!』のシットコムパートでの彼女のコメディ演技は、他のキャラと比べると控えめな印象を受けます。一方、シリアスパートでは、シットコム調が少し入った言動をしています。若干、挙動不審に見えるのが面白いのですが、ふざけすぎているのでもありません。

 

 シットコムとシリアスという全く異なる2つのパートで、1人のキャラクターを連続性をもって演じるにあたって、アニー・マーフィーは絶妙な演技をしてます。もし、シットコムパートでコメディに振り切った演技をし、シリアスパートで本当にシリアスな演技だけをしていたら、キャラクターの整合性が取れませんから。彼女の演技は、このドラマの見どころの一つになっています。

 

まとめ

 ドラマ『くたばれケビン!』は、これまでのシットコムの形式に挑戦する新たなタイプの作品でした。自分は、ブラックコメディが好きなので、このドラマはとても楽しめましたね。アニー・マーフィーのことも気になってきたので、早く『シッツ・クリーク』も観てみたいと思います。

 

 なお『くたばれケビン!』は、シーズン2の製作が決定しています。放送時期・内容等は未定です。

 

↓ シットコムの形式に挑んだ名作と言えば『MR. ROBOT/ミスター・ロボット』シーズン2第6話。

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