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Amazon映画『冷たい嘘』ネタバレ感想~ユーモア抜きのファーゴ~

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 映画館でも新作映画がほとんど公開されないような状況ですが、配信系では新作映画がまだまだ公開されています。先日から、Amazonプライムビデオで新作映画『冷たい嘘』の配信が始まりました。ジョーイ・キング主演、ブラムハウス製作の映画『冷たい嘘』を観た感想を書いていきたいと思います。

 

Amazon映画『冷たい嘘』基本データ

・原題:The Lie(トロント国際映画祭の時はBetween Earth and Sky)

・配信日:2020年10月6日

・上映時間:95分

・製作:ブラムハウス・プロダクション

・監督:ヴィーナ・サド

・キャスト:ピーター・サースガード、ミレイユ・イーノス、ジョーイ・キング

・あらすじ:

 離婚した両親の一人娘のケイラは、友達のブリタニーを殺してしまう。親は、何とかして事件を隠蔽しようとする。

・予告編(英語):

www.youtube.com

  

 監督のヴィーナ・サドは、アメリカのドラマ『THE KILLING/ザ・キリング』を手掛けています。出演者のミレイユ・イーノスは『THE KILLING』の主演、ピーター・サースガードもシーズン3にレギュラー出演しています。ジョーイ・キングは、Netflixの映画『キスから始まる物語』シリーズでも注目を集める若手女優です。

 

 

 

Welcom to Blumhouseとは?

 Welcome to Blumhouseとは、ブラムハウス・プロダクションとAmazonプライムビデオがタッグを組んで贈る、ホラー映画の連作集です。ブラムハウス・プロダクションは、近年『ゲット・アウト』や『透明人間』など、数々の注目作を生み出している映画製作会社です。

 

 Welcome to Blumhouseでは、ブラムハウス・プロダクションが製作した新作映画8本が、Amazonプライムビデオでのみ配信されます。アンソロジーシリーズなので、この8作品には、ストーリー上の繋がりはありません。

 

 すでに配信されているのが、10月6日に配信開始された『ブラック・ボックス』と『冷たい嘘』です。10月13日には、『イーブルアイ』と『ノクターン』の2作品が公開されます。他に4作品の配信が予定されており、これらは2021年中の公開を目指しています。

 

『冷たい嘘』感想(ネタバレあり)

 ある片田舎の冬景色の中、一人娘が友達の女の子を殺してしまい、両親が隠蔽しようと奔走する。どことなく『FARGO/ファーゴ』を感じさせるあらすじです。ストーリーが似ているというよりは、一般人が唐突に悲劇に巻き込まれるところとか、やたらと寒そうな雪景色に共通点を感じます。

※ここで言う『FARGO/ファーゴ』は、映画版もドラマ版も含めた言い方です。この記事では、どちらも内容には触れていないので、観ていなくてもネタバレにはなりません。

 

 序盤から言われているのですが、ケイラはとてもわがままです。ちょっと嫉妬したからブリタニーを殺したんだと言い、警察にはブリタニーの父親が暴力を振るっていると言ってしまいます。その割に、やたらと明るかったり(その理由はオチを知れば明らかではあるんですが)。ちょっとイライラしてしまいました。

 

 ケイラに劣らず愚かなのが、彼女の両親です。父親のジェイは殺人事件を隠蔽しようとしますが、死体の確認や証拠隠滅などは何もしません。母親のレベッカも、元警官という地位を使って殺人の容疑をブリタニーの父親に向けようとしますが、これも上手くいきません。一般人だからそんなものなのかもしれませんが、それにしてもかなり杜撰な隠蔽計画です。

 

 最後には、この殺人事件はケイラとブリタニーによる狂言だったことが明らかになります。こんなの、親の立場からしたら堪りませんよ!だって、娘をかばうためにブリタニーの父親を殺しているんですからね。それでも、離婚した夫婦が関係を復帰したから良かったねとなるんですが……なるのか!? この夫婦も娘も自己中心的で愚かな人たちですから、意外と本気で思っていそうなところはありますけど。

 

 『冷たい嘘』を簡潔に表すなら、『FARGO/ファーゴ』のプロットの一部分を抜き出して、そこからブラックユーモアを取り除いたような作品です。『FARGO/ファーゴ』も、『冷たい嘘』の登場人物たちと同様に愚かな人たちたくさん出てきますし、結果的に死体が増えてしまいます。

 

 でも、そもそも『FARGO/ファーゴ』の何が面白いかって、そのブラックユーモアです。愚かであまり共感できない登場人物たちに関しても、コメディだからこそ良い味を出しています。

 

 『冷たい嘘』は、この『FARGO/ファーゴ』から一番面白い部分をなくしたような作品になってしまっています。特にオチはコメディにするしかないだろうと思うのですが、そうはしなかったんですよね。シリアスな映画を目指していながら、中身はブラックコメディになりそうな内容ばかりなので、私には非常にミスマッチに感じられてしまいました。

 

 ちなみに、今回15歳の娘のケイラを演じたジョーイ・キングですが、撮影当時は19歳ぐらいでした。幼い感じのする顔なので、今回の役でも特に違和感はありません。実は、彼女自身が15歳のときは、ドラマ版『FARGO/ファーゴ』シーズン1に出演していました。奇遇なのか何なのか……。

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