There's violence to knowing the world isn't what you thought.
- Glouria Burgle in Fargo season 3 episode 7
映画『ファーゴ』にインスパイアされたブラックコメディドラマ『FARGO/ファーゴ』 シーズン3!闇はさらに深く、それでいてさらにコミカルな第3の事件の開幕です。
- 『FARGO/ファーゴ』シーズン3基本データ
- 『FARGO/ファーゴ』シーズン3登場人物
- 『FARGO/ファーゴ』シーズン3感想(ネタバレあり)
- 「真実」とは何か(ネタバレあり)
- 『FARGO/ファーゴ』シーズン3まとめ
『FARGO/ファーゴ』シーズン3基本データ
・原題:Fargo
・放送局:FX
・放送日:2017年10月24日~12月26日
・一話あたりの長さ:45~67分
・制作総指揮:コーエン兄弟
・脚本:ノア・ホーリー
・あらすじ:
舞台は、2010年のミネソタ州。不動産業で成功したエミット・スタッシーと、弟のレイ・スタッシーは金銭面でやや険悪な関係にあった。レイは兄の家にある希少な切手を盗もうと元犯罪者を雇うが、彼は間違った家に侵入して殺人を犯してしまう。
・予告編:
『FARGO/ファーゴ』シーズン3登場人物
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エミット・スタッシー/ユアン・マクレガー
ミネソタ州で駐車場を運営して成功し、「駐車場の王」と呼ばれる。基本的には良い人。しかし、怪しいところから資金を借りたために、徐々に闇の部分に取り込まれていく。
サイ・フェルツ/マイケル・スタールバーグ
エミットの右腕として、会社を共同経営者として運営している。エミットからは全面的に信頼されている。
レイ(レイモンド)・スタッシー/ユアン・マクレガー
エミットの弟。仮釈放の人たちを管理する保護観察官の仕事をしている。そのときに、元犯罪者のニッキー・スワンクと恋に落ちた。エミットが持っている切手は本来ならば自分のものだと主張しており、犯罪者のモリース・ルフェイを雇って取り戻そうとする。
ニッキー・スワンゴ/メアリー・エリザベス・ウィンステッド
レイの恋人の元犯罪者。レイとともにトランプのブリッジの大会に出たりしている。本来ならば、保護観察官と仮釈放者の恋愛はご法度である。
グロリア・バーグル/キャリー・クーン
ミネソタ州エデン・バレー警察署の署長。継父のエニス・スタッシーが殺される。ネイサンという13歳の息子がいる。夫とは離婚調停中。自動ドアや水道のセンサーなどには、いつも感知してもらえない。
V.M.ヴァーガ/デヴィッド・シューリス
エミットが以前に金を借りた会社の代理人としてやってくる。しかし、実際には貸した金を返してほしいわけではなく、資金洗浄のためにエミットの会社を利用しようとしている。食べたものは吐く。
レンチ/ラッセル・ハーバート
聾唖の殺し屋。シーズン1にも登場し、シーズン2では彼の子供時代と思われる少年が登場した。『FARGO/ファーゴ』シーズン3と他のシーズンとの関連は、基本的にレンチしかない。
『FARGO/ファーゴ』シーズン3感想(ネタバレあり)
やっぱ『FARGO/ファーゴ』面白いね。シーズンごとに全く新しいストーリーを構築しなければいけないのに、これだけのクオリティを保っているのは本当に凄い。個人的には、シーズン1がやっぱり一番面白いと思うのだけど、シーズン2,3もすごく好き。
ドラマ『FARGO/ファーゴ』の世界は、1人の賢い悪人と、数人の本来は善人の小悪人と、大半の善良な市民から成っています。今回の賢い悪人はV.M.ヴァーガです。紙の契約などおかまいなしで、脅迫や話術で相手を自分の意のままにしてしまいます。嫌な奴ですねぇ。そして、何回か口のアップが映るのですが、キモイですねぇ(笑)
小悪人は、レイ・スタッシー。兄への妬み嫉みから切手を取り返そうと犯罪者を雇ったりするんですね。でも、ニッキーにそそのかされた部分も大きくって、根っからの悪人というわけではないようです。実際に、エミットと話し合ったら仲直りしちゃったし(笑)
エミットは、まあ善良な市民ですよね。ヴァーガに操られてやりたくないことをやったりするのですが、レイにも手を差し伸べようとするあたりは善良と言って良いでしょう。どこをとっても、今回の事件で一番かわいそうなのはエミットです。ヴァーガからの脅迫はもちろん、行き違いでレイとも不仲になり、家族にも逃げられてしまうのですから。
一番善良な市民は警察署長のグロリア。ファーゴの世界では、家庭感のある警官が事件を追うのが定番です。それにしても、ミネソタ州の警官は、その能力なのか運もあってなのか、毎回こんな複雑な事件をよく解決しますよね。私たちは、犯罪者視点で見ているので事件の全体像はすっきりわかるのですが、もしこれがミステリー仕立てだったらものすごく複雑になるでしょう。
でもね、シーズン3は何よりもニッキーが最高!めちゃくちゃカッコいいじゃないですか。前半でもセクシーで美しかったのですが、後半ではレイの復讐をするためにヴァーガたちを追い詰めていくのが最高すぎる。最終的にヴァーガを罠に嵌めるような賢さもあります。好きだなぁ。
それだけに、最終話にちょっと言いたいことがあります。ニッキーーー!ニッキーを殺すな!(笑) 自分としては、最終話でニッキーがヴァ―ガを銃で穴だらけにする展開を期待していたのですが、そうは行きませんでした。ヴァ―ガが最後も刑務所に入るのは良いんだけど、なんかもうちょっとひどい仕打ちがほしかったようにも思います。シーズン1のレスターとかシーズン2のマイク・ミリガンの最後みたいな、皮肉な結末が観たかったかな。
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「真実」とは何か(ネタバレあり)
シーズン3のテーマとして「真実とは何か」があります。第1話冒頭の尋問シーンも、警察が濡れ衣を何も知らない人に着せようとしていますよね。今回の事件も、最終的にヴァーガが黒幕として事件解決となるか、それともすでに捕まっている張りぼての犯人をもって事件解決とされるのかはわかりません。
最終的にこういった展開にするには、やっぱりニッキーがヴァーガを殺してはいけません。そういう意味では、この結末もよく考えられたものだなと思います。(それでも、ニッキーには死んでほしくなかったよ泣)
ちなみに、ここまでこのサイトの『FARGO/ファーゴ』関連の記事ではしばしば「真実」という鍵括弧付きの言葉を使ってきました。というのも、皆さんご存じだと思いますが、映画版も含め『FARGO/ファーゴ』は全て作り話です。冒頭で「これは真実の物語である」というテロップが出ますが、全部嘘です。
したがって、『FARGO/ファーゴ』は常に「真実」がどのようなものであるかという命題を孕んでいたとも言えるのです。これまでは冗談程度にしか使われてこなかったこのテーマですが、シーズン3ではついに正面から扱われることになります。私はついさっき『FARGO/ファーゴ』は嘘だと言ってしまいましたが、ヴァーガによればそうとも言い切れません。この物語自体もまた、嘘でありながらも、ある面では真実を言い当てているのかもしれません。
『FARGO/ファーゴ』シーズン3まとめ
以上、『FARGO/ファーゴ』シーズン3の感想を書いてきました。シーズン3でも、そのファーゴイズムは受け継がれ、コメディとしてたっぷり笑えるにも関わらず、人間の闇を垣間見ることができるドラマになっています。加えて、一人二役のユアン・マクレガーやヴァーガ役のデヴィッド・シューリスは怪演といって良いでしょう。素晴らしいです。
そして、ニッキーが最高ですね。もうメアリー・エリザベス・ウィンステッドのファンになってしまいました。というか、『ダイ・ハード4.0』のマクレーンの娘とか、『デス・プルーフ』後半のチアリーダーの娘もメアリー・エリザベス・ウィンステッドだったんですね。これからも応援していきたいと思います。
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なお、『FARGO/ファーゴ』シーズン4は今年アメリカで放送予定です。シーズン4もノア・ホーリーが脚本を手掛けるということなので、期待して良いでしょう。本来ならば『FARGO/ファーゴ』シーズン4は、4月から放送開始予定だったのですが、COVID-19の影響で遅れています。