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ドラマ『メディア王~華麗なる一族~』シーズン4第1~3話ネタバレ感想

Where's all your kids, Uncle Logan?

-Greg Hirsch, Succession season 4 episode 1

 

 この記事は、ドラマ『メディア王~華麗なる一族~』シーズン4第3話までの重大なネタバレを含みます。未見の方は、お気を付けください。

 

 大好きで大嫌いなロイ・ファミリーが帰ってきました。そして、これがファイナルシーズンです。全10話のうち、今のところ3話までが放送・配信されましたが、すでに大変なことが起こっています。ここまでのストーリーを一旦整理しておくという意味でも、ひとまず感想を記しておきます。

 

↓ 第4~10話(最終話)の感想はこちら

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以下、第1,2話のネタバレを含みます。

 

対立

 シーズン3のラストで、ケンダル、ローマン、シヴの3人は、ローガンと元妻キャロラインの離婚調停の件を持ち出して、ウェイスター・ロイコ社の売却をやめさせようとしました。しかし、そのことを知ったローガンは離婚調停の件を解決し、会社をスウェーデン人のマットソンに売却することを決めてしまいました。

関連記事:ドラマ『メディア王~華麗なる一族~』シーズン3ネタバレ感想 - 海外ドラマパンチ

 

 父親に裏切られた3人兄妹は、独自にThe Hundredというメディアサービスを開始しようとします。ウェイスター・ロイコは、新聞やテレビなどのレガシーメディアにおいて圧倒的な影響力を持っていますが、The Hundredはそれとは逆に、Webを中心としたメディアであるようです。マットソンのGoJoと方向性は同じですね。

 

 問題は、3人がThe Hundredをやろうとしている目的です。ローマンは、本当に新しいメディアの形を模索したくてやっているように見えます。ローマンは、以前からWeb媒体に注目していたので、これは本心でしょう。一方、ケンダルとシヴは、とりあえずローガンに対抗したくてThe Hundredに取り組んでいるようです。

 

 この方向性の違いは、ナン・ピアース率いるPGMの買収の話が出てきたときに明確になります。PGMは、レガシーメディアのテレビ局を柱とする会社です。ウェイスターと同じなのです。だから、ローマンは反対しますが、ケンダルとシヴはすでに影響力のあるPGMを買収することに非常に乗り気です。結局、2人が買収額を吊り上げまくって、100億ドルで話がまとまりました。

 

駆け引き

 いくらロイ家の人間といえど、100億ドルは大金です。そこで、ウェイスターの売却額も吊り上げようという話が出てきます。そうなんです。3人兄妹は、父親から裏切られはしたものの、未だに大株主であることに変わりはないので、売却額が上がればお金も相当得られるのです。

 

 ただし、売却額を上げると、マットソンが買わなくなる可能性もあります。そうなると、お金は1円も得られません。事実、マットソンは「金額が上がったら買わない」とケンダルに告げていました。もちろん、はったりの可能性もあります。買わなくなるかもよ、と軽く揺さぶりをかけて、売却額の交渉をやめさせようとする戦略です。

 

 でも、マットソンは本気のように見えました。ローマンは、そう思っています。シヴは、はったりだと思っています。では、ケンダルは? 私が考えるに、彼もおそらく、マットソンが本気だと分かっています。その上で、やはり売却額の再交渉を提案しています。

 

 ケンダルは、もしかしたら、ウェイスターの売却が失敗すれば、再び会社が自分たちの手に戻ってくると期待しているのではないでしょうか。そんなことはあり得ないように見えますが、ケンダルにはそう見えているかもしれません。

 

 ケンダルとシヴは、賢そうな風を装って、実際にはさほど賢いわけではありません。この2人に比べれば、ローマンはいくらかマシな思考をしています。しかし、いつも2人に言い込められてしまいます。押しが弱いのが、ローマンの弱点です。

 

カラオケ

 ウィラとの結婚式を翌日に控えたコナーは、3人兄妹を引き連れてカラオケに行きます。なぜ、そこまでしてカラオケに行きたいのか分かりませんが、とにかく兄妹でカラオケに行くことはコナーの念願だったようです。

 

 そこに、なんとローガンが登場します。コナーは、家族関係を修復したいようです。ケンダルとシヴは、ひたすらローガンを責め続けますが、ローガンは強硬な普段の態度から一転して「すまなかった」と謝罪します。そして、マットソンへの売却額の再交渉をすることを約束します。驚きでしたね。それでも、ケンダルとシヴは納得していないようですが、ローマンは何かを感じたようです。

 

 その夜、ローガンはローマンを呼び出し、一緒にマットソンとの交渉に行かないかと誘います。しかし、翌日はコナーの結婚式。さすがに出席するべきだと感じたローマンですが、ローガンがまだ自分に多少の信頼を置いていることを感じられたのは、大きな収穫でしょう。

 

奮闘

 ところで、トムとグレッグ、通称"disgusting brothers"は、この間も仲良くやっています。2人は、ローガンの顔色を終始伺いながら、へこへこと動いています。シヴとの関係が絶望的になったトムは、ローガンに「もし自分がシヴと離婚しても、その、あなたとの関係はこのままでいられますかね」と恐る恐る尋ねます。ローガンは、まぁそうだなと肯定してくれたので、トムは一安心。

 

 第1話のラストで、トムとシヴはばったり出会い、離婚する意思を確認し合うことになります。なぜ、私はこのシーンで、こんなにも悲しい気持ちになってしまうのでしょう。これまで、トムとシヴの間には本当の愛はないと思っていました。でも、そこには確実に何かがあったのです。にも関わらず、2人が夫婦を続けることはもう不可能です。あぁ、この気持ちはなんだろう。

 

 ケリーは、シーズン4に入って、だいぶ存在感が大きくなってきたなと感じます。ローガンと付き合うのは勝手ですが、アナウンサーになるのは間違いですね。ジェリーとヒューゴが笑ってしまうのも仕方がない。その後で、ヒューゴがローガンの前でPCを開いた瞬間の気まずさが堪らない。ああいうシーンが大好き。

 

 ケリーがアナウンサーの才能がないのは誰にだって分かるので、ローガンの機嫌を損ねたくないトムは苦悩します。いくらなんでも、ケリーをテレビに出すわけにはいきません。トムは、それとなくケリーはまだテレビに出るべきではないとローガンに進言します。これは成功し、ローガンからの信頼をまた少し得られたようです。

 

 ケリーは、このドラマのMVP秘書ではありません。それは、ジェスです。ケンダルの秘書として、無茶な要求に常に頑張って答えようとしています。台詞は多くないですが、しれっとケンダルたちの傍にいることが多く、そのときの表情がいちいち面白いので、こちらもぜひ見逃さないように!

 

以下、第3話のネタバレを含みます。

 

 

結婚式

 このドラマの脚本家は、『ゲーム・オブ・スローンズ』の脚本家たち以上に、結婚式が嫌いなのでしょうか。シーズン1のシヴとトムの結婚式ではケンダルが青年を事故死させ、キャロラインの結婚式では3兄妹が父親からの裏切りに遭いました。そして、コナーとウィラの結婚式では、ついに恐れていたことが起こってしまいました。

 

 それは、唐突に起こりました。トムからの電話を取ったローマンは、父が危篤状態だと知らされます。ローマンとその場にいたケンダルは、交互に父親に話しかけます。しばらくしてから、シヴも呼ばなければいけないことに気づき、ケンダルが呼びに行きます。取り乱すシヴ。ローマンとケンダルも、ほとんどパニック状態です。そうこうするうちに、彼らの父親は息絶えてしまったようです。

 

 コナーがそのことを知らされたのは、さらにしばらく経ってからでした。「父親の誇れる人間になれなかった」と、コナーは言います。最初に言うのが、父親のことではなく自分のことかよとツッコミたくなりましたは、コナーはそういう奴です。コナーは、常にそのことを気にしていました。

 

 何も考えていないナルシストのように見えたコナーですが、実はその裏では、ずっと自分に自信を持てずにいました。恋人のウィラにも、いつ逃げられるのではないかと心配でなりませんでした。若い恋人が、自分のお金目当てで付き合ってくれているのだということは分かっています。大統領選で惨敗したら、人々の笑いものになることも分かっています。それでも、悲しいかな、コナーは我が道を突き進んでしまうのです。

 

 ローマンは、父親の死を受け入れられません。確かに、プライベートジェットでの死というのは特殊すぎますし、死亡宣告もされていません。しかも、彼が死ぬシーンは、カメラにも全く映されていません。『ワイルド・スピード』シリーズだったら、死体が映らなければ、その人は死んでいないことと同じです。であれば、ローガンも死を偽装した可能性があるのでしょうか?

 

 理論上はあり得ます。子どもたちからの愛を確認するために、ローガンが究極のテストを行ったというわけです。プライベートジェットの乗客は、全員グルです。ただし、そんなことを言い始めたら、正直、きりがありません。ここは素直に、ローガンを眠らせておくのが吉でしょう。

 

 死体や死のシーンが映らないことに関しては、監督のマーク・マイロッドがポッドキャストの中で説明しています。簡単に言うと「映画的な死」にはしたくなかったからだそう。普通、死は唐突に起こります。また、このドラマはいつもホームビデオのような雰囲気がありますが、そうであるとするなら、死の瞬間をちょうど撮影していることなど、まずあり得ません。映さないことが、リアリティに繋がっていると言います。

 

 ともかく、一番苦しいのはローマンです。ケンダルとシヴは、最後の電話でも「あのことは許してないけど、愛している」と言っていたのに対し、ローマンはひたすら父親への愛を伝えていました。それなのに、直前の留守電では、ローガンへの批判を述べていました。

 

 ロイ家の辛いところが、たとえパーソナルなことであっても、それが株式市場に大きな影響を与えてしまうことです。だから、訃報に際しても、悲しんでばかりはいられず、すぐにビジネスモードに切り替えなければいけません。しかも、3兄弟は今、微妙な立場に立たされています。ここで適切な動きを取らなければ、将来が一気に吹き飛びます。

 

 とりあえず、飛行場での会見は無事に済ませたように見えます。それでも、株価の急落は防げませんでした。問題は、その後です。これから、ウェイスター・ロイコの適切な道すじを示すことができれば、株価は元に戻るかもしれません。でも、果たして3人にはそれが可能なのでしょうか。

 

今後

 ファイナルシーズンは、残すところあと7話。ひとまず、誰がウェイスターの責任者になるかが問題です。直前まで、最もローガンの近くにいたのは、実はトムです。だから、トムが当座のCEOになる可能性が出てきました。

 

ミッドシーズントレイラー

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 このタイミングで、HBOからミッドシーズントレイラーが公開されました。この予告編の中で語られている通り、トムは最も危うい立場でもあります。トムのこれまでの立ち位置は、シヴと結婚していたこととローガンから寵愛を受けていたことで保証されていました。しかし、今は両方ともありません。そのため、当座の責任者はトムだとしても、ずっとトムがその座に就いているということはないでしょう。

 

 では、3兄妹はどうなのか。問題は、ケンダルもローマンもシヴも、現段階ではウェイスターでの役職を持っていないということです。そこからいきなりCEOになることができるものでしょうか? あるいは、ウェイスターの売却をそのまま進めることなら、現状のままでも可能です。果たして、それを望んでいるかどうかはわかりませんが。

 

エミー賞

 エミー賞の話をするのは、気が早いかもしれません。でも、ここは自称日本で唯一のエミー賞予想屋として、少し触れておきます。

関連記事:エミー賞2022ノミネート一覧&徹底予想 - 海外ドラマパンチ

 

 エミー賞は、毎年5月31日までに放送・配信された番組が対象となります。そのため、エミー賞を狙うような作品は、5月末に最終回が放送されるようにスケジュールが組まれています。『メディア王』最終回の放送も5月28日に予定されており、エミー賞をがっつり狙っていることが伺えます。

 

 シーズン4第3話は、まさに素晴らしいエピソードであり、エミー賞に値するパフォーマンスがいくつも見られました。特に、ローマン役のキーラン・カルキンとシヴ役のサラ・スヌークの演技には、目を見張るものがあります。2人とも、過去に2度、助演賞のノミネートを受けていますが、受賞したことはありません。これで、エミー賞を取れなくてどうするんだ。

 

 もう1人、コナー役のアラン・ラックの演技も素晴らしかった。家族から除け者にされがちで、ドラマでも大した役割は担ってこなかったコナーですが、シーズン4に入ってから、だいぶキャラクターの深みが増してきています。コナーは、過去に一度もエミー賞にノミネートされていない唯一のロイ家の人間ですが、今度こそはノミネートされるべきでしょう。

 

 これで、まだ第3話です。そのことに衝撃を受けます。残りは約7時間ですが、それだけあればどんなことでもできます。フィナーレは、もうしばらく先です。ゆっくりと、1話1話を噛みしめながら、楽しんでいきましょう。

 

↓ 第4~10話(最終話)の感想はこちら

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