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海外ドラマ『スタートアップ』シーズン3感想:分散型ネットワークで世界を変えろ!

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  『スタートアップ』シーズン3のテーマは、プライバシー保護。近年のIT業界の最重要テーマですが、シーズン3ではプライバシー保護によって生じる究極の問題に直面します。

 

↓これまでのシーズンの感想

海外ドラマ『スタートアップ』シーズン1感想:暗号通貨で世界を変えろ!

海外ドラマ『スタートアップ』シーズン2感想:ダークネットで世界を変えろ!

 

 

 

海外ドラマ『スタートアップ』シーズン3基本データ

・原題:Startup

・放送局:Crackle

・放送時期:2018年

・話数:10

・キャスト:アダム・ブロディ、ロン・パールマン、アディソン・ティムリン、エディ・ガテギ、オトマラ・マレロ

・予告編:

www.youtube.com

 

感想

 イジーがキューバへ行ったことにより、残ったニック、ロニー、ウェス、マーラの4人を中心にアラックネットの運営をしています。前シーズンでライバルだったアクシス社を潰したので、ユーザー数を順調に伸ばし、1000万人目前になっています。しかし、資金調達の面は難航しているようです。まだ上場できておらず、資金はもっぱらウェスの持ち金に頼っています。

 

 そんな状態のアラックネットに危機が訪れます。NSA(アメリカ国家安全保障省)がやってきたのです。NSAのことは前シーズンの感想でも少し触れていました。予想したわけでもないのに、ちょっと当たってしまった。

 

 改めてNSAについて紹介すると、主に海外の情報収集をしている機関です。それ以上のことは、よくわかっていません。10年ほど前には、NSAが大量の個人情報を収集していることをエドワード・スノーデンが明らかにしました。しかし、いまだにNSAの個人情報収集を制限するような法は整備されていないため、状況は依然とさほど変わっていません。NSAは今も個人情報を集めまくっています。

 

 一方、IT業界の方では個人情報保護は最重要テーマになっています。数年前に、AppleがFBIからのiPhoneを解除する要請を拒否したことが話題になりました。このAppleの判断には司法長官は批判をしています。

 

 これに関してもう少し詳しく言うと、現状ではAppleがユーザーのiPhoneを解除することが技術的にできないのです。バックドア的なものがないので。司法長官のご意見に従うならば、何かしらのバックドアを付ける必要がありますが、そうすると捜査協力に限らず、Apple社が個人情報にアクセスできることになってしまいます。これはAppleとしても良くないので、そのような措置は取っていません。

アップル、容疑者のiCloudアカウントへのアクセスを許可…iPhoneロック解除拒否とはどこが違う? | Business Insider Japan

 

 アラックネットにも、同様の事案が持ち上がります。ただし、事態はもっと深刻です。あるテロ攻撃が計画されており、アラックネットに侵入することが出来れば、攻撃を未然に防ぐことができるというのです。テロ攻撃を阻止して人々の命を救うか、人々のプライバシーを守るか。

 

 こう書くと、人の命を守った方が良いように見えてしまうんですよね。たぶんIT企業が思っているほどに、一般には個人情報保護の重要性は広まっていません。ドラマの中でも、そんなシーンがあったのは良かった。実際、そんなものだと思います。

 

 今の時代、個人情報が洩れたら一銭なしになると考えても良いですよ。日本では、まだ現金が主流なのでもしかしたらマシなのかもしれませんが、アメリカは完全にクレジットカード社会なので、情報が洩れたらおしまいです。

 

 クレジットカード情報が洩れたら確かに困るけど、日々の行動がわかるぐらいは良いんじゃないの?という気持ちはなくもないです。でも、すべての行動が監視されているのは気持ち悪くないですか。

 

 加えて、日々の行動が分かってしまうと、その情報は例えば広告に利用されることがあります。行動を集めれば集めるほど、よりユーザーが欲しそうな商品を提示してきます。ユーザーは広告で見た商品を買うでしょう。これが加速していけば、ユーザーは提示された商品をただ買う人間になってしまいます。提示された店で食事をし、提示された映画を観ます。それは言い過ぎにしても、個人情報の乗っ取りは徐々に人間性の喪失に繋がってこないとは言えません。

 

 個人情報の保護をひたすら訴えるニック。一方のロニーは犯罪を阻止するためには、アラックネットの部分的な監視を容認する方針です。ロニーは、これまで犯罪の世界にいた人間ですが、それによって息子を失っています。阻止できる犯罪があるならば、阻止したいという気持ちは他の人よりもずっと強いのでしょう。

 

 ロニーの一貫した思いは最終話で吐露されます。「アラックネットなんてクソくらえだ!人間だよ!俺が気に掛けているのは人間なんだよ!」(意訳)。ジェンコインに投資することを決めた理由も、地元の人々を金銭的に救いたいという思いがあったからでした。ロニーにとっては、人間こそが一番大事であり、そのためには築き上げてきたものを壊すことも厭いません。

 

 ニックはニックで強情です。絶対にロニーに譲りません。ロニーが邪魔になったため、ニックは警察に情報を流してロニーを逮捕させます。クズだな~。もっと正々堂々と対処しようよ。シーズン3のニックは、もうひたすらクズ。アラックネットがウイルスにやられたときも、真っ先にイジーを疑っていましたからね。あれだけ一緒にやってきて、イジーの手腕を知っているはずなのに、そういうことをする。コードを書けない奴が、プログラマーに変な言いがかりを付けるな!

 

 ニックの小賢しい細工によって、アラックネットはNSAに情報提供しないことになりました。その結果、大規模なバイオテロが発生。多数の犠牲者が出てしまいます。非常に悔しい気持ちになってしまいますが、これも仕方ないのか。仕方ないといって人命が犠牲になってしまって良いのか。その責任は本当にアラックネットにあるのか。このことに関しては、自分の中でもまとまった考えが出てきません。難しい問題です。

 

 

 

まとめ

 シーズン3の敵が、あの偽NSA捜査官でした。偽捜査官は、実はCIAに所属して超法規的なことも出来る人だというのはわかったのですが、まだ謎が多い。やたら几帳面で、決まったハンバーガーだけを食べる様子は、どこか不気味です。怖かった~

 

 これで『スタートアップ』はおしまい。たぶん。というのも、実はまだ正式には打ち切りになっていません。かといって、シーズン4の製作も発表されていません。シーズン3の放送から3年経っているので、これは打ち切りと考えた方が良さそうです。

 

 ただし、2021年5月からアメリカのNetflixで配信が始まり、注目度が高まっています。放送当時は、Crackleというマイナーなところで配信されていたので、あまり注目されていなかったのですが、ここでその面白さに気付く人が増えるかもしれません。すこ~~~しだけなら、シーズン4の期待をしても良いかも?

 

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