The universe finally found something worse than death.
- Nadia Vulvokov, Russian Doll season 2
シーズン1が公開されたのは2019年ですが、あの愉快な赤毛の主人公を忘れた人はいないでしょう。シーズン2では、ナディア(ナターシャ・リオン)は謎の列車に乗って80年代にタイムトラベルし、お馴染みの”ナディア節”とともに時間の歪みに立ち向かっていきます。今回は『ロシアン・ドール』シーズン2のネタバレ解説と感想です。
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基本データ
- 原題:Russian Doll
- 配信:Netflix
- 配信日:2022年4月19日
- 話数:7
- 脚本・監督・主演:ナターシャ・リオン
- あらすじ:地下鉄に乗ったら80年代にタイムスリップしてしまったナディアは、本来ならば自分が相続するはずだったクルーガーランド金貨が今度は盗まれないように策を弄する。
- 予告編:
何が起こったのか?
シーズン2はタイムトラベルです。ただし、よくあるタイムトラベルとはちょっと違います。タイムトラベルをしたら、意識だけが自分の祖先の体に入ってしまうのです。
ナディアが1980年代にタイムスリップしたときは母親のノラの体に、1940年代にタイムスリップしたときはに祖母の体に意識が乗り移っていました。アランは、1960年代にタイムスリップしたときも祖母に乗り移っています。タイムスリップしているのは意識だけなので、他人から見たときの姿は以前と変わらずノラや祖母のままです。
3話では、80年代にいるナディアがノラと会話をしている場面がありましたが、あの会話はすべて一人の体でやっています。このときのノラは二重人格者のような状態なので、精神病院に連れていかれてしまいました。
ナディアが不思議な列車に何度も乗って歴史を変えようとしていたのは、自分が相続するはずだったクルーガーランド金貨150枚を取り戻すためでした。アランは、ただ単に60年代の祖母の生活が楽しかったようです。
ナディアはかなり苦労をして財宝を守ろうとしましたが、結局やっていることは最初と同じ。歴史は1ミリも変わりませんでした。そこで、生まれたばかりの自分を現代に連れ去ってしまいます(この世界には、タイムトラベルができるのはナディアとアランだけというルールがおそらくあるのですが、赤ちゃんはナディア自身なので問題ありません)。
すると、時間の崩壊が次々と起こり始めます。病院ではあらゆる時間軸のルースがいて、アパートに戻ると4年前の誕生日になり、昔のユダヤ人学校の時代まで混じっています。時間軸が崩壊したので、原因と事象は反転し、すべての出来事が同時に起きています。
ナディアはそれを楽しんでいましたが、アランの焦りとルースの状況を知り、時間を元に戻すことを決意。2人で例の列車を見つけ出しますが、それには乗らず、正面衝突してしまいます。ここから精神世界か何かしらの不思議な空間に迷い込んでしまい、ナディアは金貨を諦めることで脱出します。赤ん坊は母親のノラに返し、ナディアはルースの葬式の後の集まりに出席することができました。
最終話で一体何が起こったのかは自分にはよくわかりませんでしたが、あまり理屈で考えるようなことではないのかなと思います。シーズン1の最終話もそんな感じでしたから。
感想
『ロシアン・ドール』はシーズン1できっちり完結していて面白かったので、シーズン2ではどうなるのかなと期待とちょっとした不安があったのですが、たいぶ趣向を変えてきました。シーズン1は典型的なタイムループものでしたが、シーズン2は変種のタイムトラベルものです。祖先の体に意識が乗り移るというユニークな設定を取り込んでいます。
やっていることは、一般的なタイムトラベルものとさほど変わりません。金貨を取り戻そうという目的がわかりやすいので、さほどストーリーが混乱することもありませんでした。結果的に何も歴史を変えることができないという(アランが大好きな)展開も、タイムトラベルものではしばしば見るものです。
その後のナディアの行動は予想外でした。赤ん坊の自分を現代に連れてきてしまうんですもの。時空間が歪みそうだなと思っていたら、時間がすっかり崩壊してしまいました。過去も未来も、すべてが現在になってしまいました。
その後の2人が穴に落っこちてからのことはよくわかりませんでしたが、それはそのままにしておきましょう。『ロシアン・ドール』の本質は、時間軸の設定を理解することにはありません。自分と家族の歴史を振り返るのも良いかもねぇと思いながら、ナディアと愉快な時間旅行を楽しむことこそが本質です。
印象的な赤毛に特徴的なハスキーボイス、黒いコートを羽織ってクルーガーランド金貨を首から下げ、途切れることなく陽気な冗談を飛ばし続けるナディアのキャラクターは一度見たら忘れられません。ナターシャ・リオンによれば、このキャラクターは刑事コロンボの影響を強く受けているそうで、ドラマの中でも何度かコロンボに言及している場面があります。
今回、改めてマキシンも良いキャラクターだなと感じました。ナディアと一緒にブダペストに行っていた友達です。お笑い芸人のゆってぃみたいな服装をしているところから面白かったのですが、しゃべってることも喋り方も全部面白い。ナディアより面白いかもしれない。
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まとめ
ドラマ『ロシアン・ドール』のストーリーは、タイムトラベルものとしては特に新鮮ではないかもしれません。しかし、そのキャラクターは唯一無二のもので、ドラマを何倍も面白いものにしています。あのハスキーボイスとトークは中毒性があるので、真似したくなります。でも、それは難しそうなので、マキシンの「Sweet Birthday Baby!」という台詞だけでもモノマネができるように特訓していきたいと思います。