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Uber創業者の台頭と失脚を描く『ウーバー戦記』ブックレビュー&ドラマ版最新情報

 日本ではフードデリバリーサービスのUber Eatsが有名ですが、よく知られているように、Uberの本業は配車サービスです。一般の人がドライバーとなり、自分の車に客を乗せて目的地まで運転するというビジネスモデルは、シェアリングエコノミーの代名詞となりました。しかし、その成功とは裏腹に、ウーバーという会社は一時期、世間から非常に嫌われていました。

 

 ニューヨーク・タイムズの記者マイク・アイザックによる著書『ウーバー戦記:いかにして台頭し席巻し社会から憎まれたか』は、そんなウーバーの立ち上げから世界を席巻するまでに至った物語であると同時に、創業者トラビス・カラニックの台頭と失墜の物語でもあります。

 

 この本は、2022年にアメリカの放送局Showtimeで原題と同じく『Super Pumped: The Battle for Uber』というタイトルでドラマ化されました。今回は、本の『ウーバー戦記』の感想とともに、ドラマ版の最新情報をまとめました。

 

 

 

『ウーバー戦記』感想

 スタートアップで成功するには、他者を圧倒するやる気が必要なんだと思います。それは否定できない。ウーバーの場合は、旧態依然としたシステムを未だに続けているタクシー業界に挑むということで、多少強引でも物事をやり通す力は必要だったのかもしれません。

 

 その能力を持っているという意味で、トラビス・カラニックほど相応しい者がいなかったのも確かです。カラニックほどの豪腕でなければ、これほど急速にウーバーが成長することもなく、大量の資金をベンチャー・キャピタルから集めることも出来なかったと思います。さらには、シェアリング・エコノミーが現在ほど広まることもなく、ビジネス界全体のトレンドすら変わっていた可能性があります。

 

 しかし、その豪腕さゆえに、ウーバーの社内はボロボロでした。数千人の社員を引き連れてラスベガスで乱痴気騒ぎをし、ウーバーのサービス拡大に際しては各州・国での法律を屁とも思っていません。それだけなら、までマシだったかもしれません。ウーバーの強引な拡大は、各地でタクシー組合と争いを起こし、死者が出たこともあります。社内では、男性優位的なノリが強く、平気でセクハラをする社員もいます。シリコンバレーの中でも、AppleやGoogleと大問題を起こしています。

 

 これらは、いずれもウーバーが巻き起こしたトラブルの一例でしかありません。本には、さらに倍ぐらいのトラブルが記述されており、そのさらに倍ほどの出来事にさらっと触れられています。そこそこ厚い本(625ページ)ですが、これでもウーバーが経験したことのすべてが書いてあるわけではありません。

 

 これらがすべてカラニックのせいだとは言い切れません。例えば、カラニックは支社の運営に関してはほとんどタッチしておらず、それぞれで自由にやらせています。カラニック自身がセクハラをしたという告発もありません。彼は、とにかくウーバーの拡大を目指し続け、すべての社員がSuper Pumped(超気合いを入れる)ことを望んでいました。その強いプレッシャーと体育会気質な社風こそが、ウーバーが急成長できた理由であり、同時に失墜の原因でもありました。

 

 カラニックが元凶ではあったとしても、もう一つの原因はシリコンバレーのベンチャーキャピタリスト(VC)たちにもあったんだと思います。カラニックがどれだけ暴走しようと、VCたちはそれを見逃してきたわけですから。カラニックが、複数議決権式株式などを使ってVCたちの権限をできる限り小さくしていたのは事実ですが、本気になればVCたちにはカラニックを止めることができたはずです。

 

 それをしなかったのは、結局はシリコンバレーでは何よりも成長こそが最も価値のあるものであり、成長するならば他のことは見逃すからではないでしょうか。『ウーバー戦記』はウーバーとカラニックの物語であるだけでなく、シリコンバレー型ビジネスの危うさを感じさせるものでもありました。

 

ドラマ版最新情報

 マイク・アイザックの著書『ウーバー戦記:いかにして台頭し席巻し社会から憎まれたか』は、原題と同じ『Super Pumped: The Battle for Uber』というタイトルでドラマ化され、アメリカのケーブルテレビ局Showtimeで2022年2~4月に放送されました。全7話で完結するリミテッドシリーズです。

 

予告編

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 主人公のトラビス・カラニックを演じたのは、ジョゼフ・ゴードン=レヴィット。ベンチャーキャピタリストのビル・ガーリーを演じたのは、カイル・チャンドラー。Webメディアのハフポストを創業したアリアナ・ハフィントンを演じたのは、ユマ・サーマン。トラビスの母親役でエリザベス・シュー、ナレーターとしてクエンティン・タランティーノも参加しており、豪華なキャストが揃っています。

 

 製作したのは、金融ドラマ『ビリオンズ』をヒットさせたブライアン・コッペルマンとデヴィッド・レヴィン。ビジネスドラマはお手の物です。

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 本作はすでにシーズン2が製作されることが決まっていますが、ストーリーは繋がっておらず、今度はUberではなくFacebookの話です。同じくマイク・アイザックが出版予定の本に基づき、CEOのマーク・ザッカーバーグとCOOのシェリル・サンドバーグの関係にフォーカスした内容になると言われています。

 

 日本では、U-NEXTで配信されることが決まっています。配信日は未定です。

 

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