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英国ドラマ『ニュー・ブラッド 新米捜査官の事件ファイル』あらすじ&感想

 英国刑事ドラマ史上、最もキュートなコンビかもしれません。『刑事フォイル』のアンソニー・ホロヴィッツが手掛けたドラマ『ニュー・ブラッド 新米捜査官の事件ファイル』は、1シーズンで打ち切られてしまったものの、なかなかに面白いドラマでした。

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基本データ

  • 原題:New Blood
  • 放送局:BBC One
  • 放送期間:2016年6月9日~7月21日
  • 話数:7
  • 原案・脚本:アンソニー・ホロヴィッツ

 

あらすじ

 新米刑事のアラッシュ・"ラッシュ”・サイヤッドと重大不正捜査局(SFO)のステファン・コワルスキの2人は、トライアスロン大会で出会い、互いをライバルとして見なすようになる。仕事では、それぞれ別の事件を捜査していたが、2人は意外なところで遭遇し、2つの事件には意外な繋がりがあることが明らかになっていく。

 

※以下、ネタバレあり

 

第1,2,3話

 新たな巡査部長のもとで働くことになったラッシュは、連続不審死事件を担当する。捜査を進めるうちに、死亡者は全員、インドで治験に参加していたことがわかった。その中の1人で、以前から薬物中毒だった男が有力容疑者として逮捕される。

 

 ステファンは、製薬会社の汚職事件を調べるために、UKレミコンに潜入捜査をしていた。2人は、捜査の過程で何度も偶然に出会ったことで、同じ事件を捜査していることに気づく。2人は、ホテルで治験の参加者のもう1人の生き残りと出会う。彼は2人組の殺し屋によって殺されてしまったが、ラッシュとステファンは一連の事件の真相を暴くことができた。

 

第4,5話

 高層ビル「シミター」の建設現場で作業員の男が爆死する。ラッシュは、被害者が何か希少な物を見つけて、それを古物商に売ったことが事件に関係あるのではないかと考えてカリヴァーの店に向かう。その帰りにガリヴァーを監視していた捜査官を殴ってしまったため、張り込みを命じられる。ところが、ステファンとともに泥酔して寝込んでしまったため、ガリヴァーは放火されて死んでしまった。

 

 その後、2人はガリヴァーを殺した殺し屋によって捕らえられたが、あと一歩のところで助かる。ステファンとSFOの捜査官たちは、ある議員の妻が中国の建材会社と関係があることを突き止めていた。しかし、材料を相場より高く買うことは犯罪ではない(談合だったら犯罪だと思うけど)ので、議員を逮捕することはできなかった。

 

第6,7話

 ラッシュは、連続強盗事件を担当する。一方、ステファンは詐欺師ロルカの弁護士マリクを捜査していた。またしても強盗事件が起こったとき、住人のマイケルが刺されて、緊急搬送された。治療は無事に済んだものの、投与する薬の量が間違っていたため志望してしまった。担当看護師だったラッシュの妹のレイラは非難の嵐を受ける。

 

 2人は、マイケルの病室にいた慈善団体「アワ・チャイルド」のリサを疑う。アフリカのどこかの国の大臣とリサが密会しているのを見つけ、2人は大臣のPCに侵入しようとする。ところが、大臣に見つかってしまい、2人は追われ、殺されかける。ステファンは、マリクから依頼されたDVDを返却するときに、マリクの偽パスポートを見つけた。これにて、事件は一件落着した。

 

 

感想

2人の刑事

 ステファンが可愛いんですよねぇ。重大不正捜査局(SFO)の中でも、きっと愛されキャラでしょう。ラッシュは、そうは思っていないようですが。ラッシュの妹は、ステファンのことをキュートだと思ってますよ。

 

 頭が良いのは、ラッシュの方という気がします。新米刑事なのに先輩刑事にずけずけと物を言います。まぁ、事件解決のヒントに気づいてしまったら、それは立場関係なく言ってしまう気持ちはよくわかります。そうすべきだと思いますし。気づけるかどうかが問題なわけですが。

 

 ステファンとラッシュは、癒し系と頭脳系なので、性格もそこそこ違います。でも、2人とも負けず嫌いなのは同じ。何かにつけて競い合おうとします。エネルギーに満ち溢れています。さすが新米です。

 

 2人が担当する事件は、いずれも最初は別々に捜査していたものの、やがて繋がりが見えてきます。SFOのステファンは政治家の汚職など有力者の事件を扱い、刑事のアラッシュは殺人や強盗など市民の事件を扱います。この2つの規模が異なる事件の繋がりが明らかにされることで、大規模な犯罪の構図が浮かび上がって見えてきます。

 

作家ホロヴィッツ

 上手い構成です。複雑で難しくなりがちな汚職事件を視聴者にとっても分かりやすく見せてくれています。脚本を書いたのは、近年話題の推理作家アンソニー・ホロヴィッツ。翻訳ミステリ界隈に馴染みがある人なら、この名前には聞き覚えがあるはずです。

 

*豆知識:アンソニー・ホロヴィッツ自身は、第4話の高層ビル「シミター」建設パーティーで、建築家役としてカメオ出演している。

 

 アンソニー・ホロヴィッツは、2018~2020年に日本で刊行された『カササギ殺人事件』『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』の3作で、毎年「このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「本格ミステリ・ベスト10」「ミステリが読みたい!」で毎年1位を獲得しました。2021年の『ヨルガオ殺人事件』および最新作『殺しへのライン』でも、各種ランキングで1位や2位を獲得しています。現代の海外本格ミステリといったら、ホロヴィッツなのです。

 

 今では推理小説界隈で有名になったアンソニー・ホロヴィッツですが、以前からずっとテレビドラマの脚本家の仕事もしていました。『名探偵ポアロ』や『バーナビー警部』のエピソードをいくつか手掛けた後、自ら原案とほぼ全話の脚本を担当した『刑事フォイル』はイギリスで大ヒットを記録しました。

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 このドラマ『ニュー・ブラッド 新米捜査官の事件ファイル』は、そんなホロヴィッツが『刑事フォイル』後に最初に手掛けたドラマになります。第二次世界大戦の話でベテラン刑事が主人公だった前作とはうって変わり、今作はよりエネルギッシュな内容になっています。

 

 アンソニー・ホロヴィッツは、あまりにも多岐に渡る作品に携わっているため、その作家性というのは分かりにくいところがあります。それでも、しいて言うならば、事件が途切れることなく視聴者・読者の興味を持続させていることでしょうか。ホロヴィッツ作品では、終盤で事件を一気に解決するというよりは、序盤から少しずつ謎の提示と解決を繰り返して、最終的に事件の大きな構図が見えるような展開が多いです。

 

 ドラマ『ニュー・ブラッド』に関しても例外ではなく、2つの事件から1つの大きな事件の構造が明らかになる造りになっています。細かいことを言えば、気になることがないわけではありませんが。

 

 例えば、最終話で悪徳弁護士が押収されてしまった物品の中でバカンスのときのDVDだけ返してくれと言います。そんなことを要求したら捜査官の余計な注目を引いてしまうのは自明ではないでしょうか。案の定、ステファンはDVDケースから偽造パスポートを見つけ出します。とはいえ、最後の2話に関してはホロヴィッツだけではなく、他に2人の脚本家が携わっているので、この粗相はホロヴィッツの責任ではない可能性もあります。

 

 まぁ、細かいことはステファンとアラッシュのキュートさがあれば、ほとんど気にはなりません。良いキャラクターなので、もっと活躍を見たかったですが、どうやらこのドラマはシーズン1で打ち切られてしまったようです。残念。アンソニー・ホロヴィッツは、今後も小説とドラマの2つの世界で活躍をしていくので、それらは引き続き追っていきたいですね。

 

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