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パトリック・ジェーンの推理術~ドラマ『メンタリスト』のミステリー論~

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 今でも高い人気を誇る海外ドラマ『メンタリスト』。元詐欺師のパトリック・ジェーンが事件を解決していくのですが、彼の推理法はかなり独特です。今回はそんなパトリック・ジェーンの推理法を探っていきます。

 

 

 

 

パトリック・ジェーンの推理法

 ドラマ『メンタリスト』は、一話完結の事件解決ドラマであるため、ある程度決まった展開というものがあります。すべての話がこの通りではないにしても、典型的な流れは次のようなものになります。

 

『メンタリスト』の事件の典型的な流れ

①事件発生

②リズボンらが捜査をし、容疑者を捕まえる

③ジェーンが「彼/彼女は犯人じゃない」と言って勝手に釈放する

④ジェーンが容疑者を全員集めて、何かしらのトリックで犯人に自白させる

 

 おおむねこのような流れで事件は進み、最終的に犯人はボロを出して自白をして解決です。この流れの中では、ジェーンは③の段階で、すでに犯人がわかっている場合がほとんどです。ときには、事件現場に行った直後に「こいつが犯人だ」と言うこともあり、ジェーンは捜査のかなり初期の段階で犯人がわかっている場合が多いです。

 

 なぜそんな初期段階で犯人がわかるのか問われたときに、ジェーンは「ほら、君はあの話をしたときにあっちの方を向いたじゃないか」といったような回答をすることがあります。彼は得意の人間観察力を用いることによって、即座に犯人を当てているようです。

 

 説明されたからといって実際に私たちができるような芸当ではないのですが、とにかくパトリック・ジェーンには出来てしまうのです。温かい紅茶とソファの上での良い睡眠のおかげかな。

 

『メンタリスト』のミステリー論

 ここで、『メンタリスト』をミステリー作品として考えてみます。ミステリーの主なジャンルとしては、犯人が誰かを当てることに重点を置いたフーダニットや、犯行がどのように行われたかを明らかにすることに焦点を当てたハウダニットなどがあります。

 

 しかし、『メンタリスト』において、犯行方法や犯行動機にさほど凝ったものはありません。犯人が誰かを当てる過程においても、ジェーンの直感が多用されているため、フーダニットの魅力が十分にあるわけではないように感じます。

 

 では、『メンタリスト』がミステリーとして何に重点を置いているかというと、それは「如何に犯人に自白させるか」という点です。推理小説で、この点に重点を置いたものはほとんどありません。

 

 ジェーンの目的は犯人に自白させることなので、地道に証拠を集める必要はありません。それは、リズボンたちや検察に任せきっています。その代わり、ジェーンは捜査の過程で何か犯人を追い詰める決めてになる証拠や事実を探します。とは言っても、その証拠もCBIの通常捜査の過程では見つけることが出来ないと思っているので、自分で勝手に関係者と仲良くなったりして独自に証拠集めを進めています。

 

自白パターン

 『メンタリスト』は、犯人から自白を引き出す方法がユニークです。その方法を、いくつか分類してみました。

 

a. ある事実を公開し、犯人を動揺させる

 一つの方法が、最後の関係者を集める場面で、ジェーンが捜査の過程で得た証拠や事実をパッと出し、犯人を動揺させて自白を引き出すものです。被害者と犯人の隠された関係を明らかにする場合がよくあります。

 

 ここでジェーンが出す証拠は、必ずしも本物とは限りません。事前にジェーンが犯人から盗んだものを「事件現場にこんなものがあったんだけど」と言ってさりげなく見せることもあります。その証拠自体は、裁判では使えません。でも、それによって犯人の自白を引き出すことで、逮捕に導いています。

 

 あるいは、偽の証拠がある場所を犯人に教えて、その証拠を隠滅しに来たところを逮捕することもあります。いずれにしろ、殺人を犯して不安になっている犯人の心理に漬けこんでミスを誘う方法と言えそうです。

 

b. 言葉の揚げ足を取る

 これは他のドラマでもよく使われる手法ですが、犯人に事件に関することをしゃべらせてボロを出させる方法もあります。例えば、被害者が殺される日に買ったばかりの指輪のことを、うっかり犯人が話してしまって、それを徹底的に問い詰めるとかいったパターンです。正直、この手法は言葉の揚げ足取りに過ぎない感じがしてスリルが感じられず、個人的にはあまり好きではありません。

 

c. 降霊会をする

 これぞ『メンタリスト』!他のドラマでは絶対にやれない方法です。ジェーンは元々、サイキックのフリをした詐欺師でした。そのため、サイキックの真似事はお手の物。降霊会に限らず、霊や超常現象の力を使っているフリをして犯人を動揺させます。

 

 具体的には、例えばトランプのカードを使った場合とかです。集まった容疑者たちにいきなりカードを引かせて、犯人が引いた(実際には故意に引かせた)カードに「お前が犯人だ」みたいなことが書いてあったり。そこまで直接的なことはしていなかったかもしれませんが、そのような独特の方法を使って犯人を精神的に追い詰め、自白を引き出します。

 

d. 催眠術を使う

 催眠術で容疑者の自白を引き出すのは、違法です。ジェーンも、犯人に自白させるために催眠術を使うことはほとんどありません。でも、シーズン1第2話では、なかなか口を割らない重要参考人に催眠術をかけて、情報を引き出しています。もちろん、これだって違法です。そんな証拠を裁判で使えるわけはないのですが、ジェーンが集めているのは裁判で使える証拠ではありません。あくまでも、犯人を追い詰めるための証拠集めなので(少なくとも、そういう正当化をして)催眠術を使うことがあります。

 

 

 

まとめ

 ドラマ『メンタリスト』は、パトリック・ジェーンが独特な方法でもって犯人から自白を引き出しているところが、ミステリーとしての魅力になっています。そういったところに注目してみると、まだまだ『メンタリスト』を楽しめるかもしれません。

 

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