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ドラマ『絶叫パンクス レディパーツ!』感想|ムスリム女性によるパンクバンドの爽快傑作コメディ!

Just ’cause someone sticks a flag into something, doesn’t make it theirs, y’get me?

- Momtaz, We Are Lady Parts season 1

 

 これですよ! これこそ、まさに全世界が求めていたコメディドラマです。ムスリムの女性5人組によるパンクバンドを描いた『絶叫パンクス レディパーツ!』は、半端なく面白くて爽快。笑いはたっぷり、感動もちょっとあり。今、絶対におすすめしたいドラマです。

 

 

基本データ

  • 原題:We Are Lady Parts
  • 放送局:Channel 4(イギリス)、Peacock(アメリカ)
  • 放送日:2021年5月20日~6月24日
  • 話数:6
  • 脚本・監督:ニダ・マンズール
  • キャスト:アンジャナ・ワサン、サラ・カミーラ・インピー、ジュリエット・モタメド、フェイス・オモーレ、ルーシー・ショートハウス、ザキ・イスマイル

予告編

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 海外ドラマ『絶叫パンクス レディパーツ!』シーズン1は、スターチャンネルEXで配信中。スターチャンネルEXには、AmazonプライムビデオまたはApple TV+経由でも加入することができます。初回7日間無料、その後は月額990円(税込)です。

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紹介

 英国コメディドラマ『絶叫パンクス レディパーツ!』の主人公は、博士課程の学生として日々生物学の研究に勤しむアミーナ。ムスリムである彼女は、26歳になり、そろそろ結婚しなければと焦っています。

 

 そんなときに偶然にも出会ってしまったのが、ムスリム女性4人組によるパンクバンド「レディパーツ」でした。ギターが弾けるので、バンドに加入したのは良いものの、実はアミーナは超あがり症でした。さて、どうなることやら……。

 

 2021年に放送されたシーズン1は、イギリスを中心に賞賛を浴びました。英国アカデミー賞では、作品賞を含む6部門にノミネートされ、脚本賞など3部門を受賞。批評サイトRotten Tomatoesでは、100%フレッシュを獲得しています。すでにシーズン2が製作されることも決まっています。

 

 全話の脚本と監督を担当したニダ・マンズールは、若手の女性クリエイター。過去には、『ドクター・フー』シーズン12第4話「ニコラ・テスラと恐怖の夜」と第5話「ジュデューンの襲来」の監督もしています。

 

ムスリムの日常

 『絶叫パンクス レディパーツ』は最高のドラマで、好きなところはたくさんあるのですが、その中でも最も画期的だと思うのが、このドラマがイスラム教徒(ムスリム)の日常を描いていることです。パンクバンドをやったり、婚活をしたり、博士学生であったりというのは、別にムスリムでなくてもできることです。それが良いんです。

 

 イスラム教というと、どうしても過激派のテロ行為やイラン政府の蛮行、戒律の多さなどのイメージが先行してしまい、あまり楽しそうなイメージがありませんでした。ハリウッド映画の悪役といえば、21世紀に入ってからはアラブ系が多かったですし。しかし、それはあくまでもそういう人もいるという話。圧倒的多数のイスラム教の信者(ムスリム)は、一般的な日常を送っています。大変なこともあれば、楽しいことや笑えることだってあるはずです。

 

 ドラマ『絶叫パンクス レディパーツ!』は、まさにそんなドラマです。最初の2話ぐらいは、ベタベタのラブコメをやっています。主人公は、大学院博士課程のアミーナ。26歳ぐらいです。友人たちが続々と婚約していく中、自分だけ彼氏がいなくて焦っています。ドラマは、アミーナの心の声がナレーションとして入っているのですが、皮肉交じりのムスリムジョークが面白い。

 

 アミーナは、憧れの男子と一緒に食事をするチャンスを得るのですが、気持ちが前のめりになり、最初から結婚前提で会話をしてしまって、あえなく撃沈。これほどアミーナが結婚に焦っているのは、イスラム教の慣習に依るところもあるのでしょうか。ただ、アミーナの両親は理解のある方々で、イスラム教の慣習がどうこうとか細かいことは言いません。良いご両親で安心します。

 

 レディパーツのメンバーには、すでに結婚・婚約している人もいます。ビズマは、ときどき旧式な考えを持ち出す夫に呆れることもありますが、基本的に夫婦関係は良好。

 

 問題はサイラです。彼氏とは長年付き合っているようですが、どうも最近上手く行っていないようです。倦怠期というやつです。バンドではリーダー的な立場でも、私生活では弱気なのが意外。でも、そんな多面的なキャラクターだからこそリアルに感じられて、より気になってきます。

 

 

ムスリム×パンク

 バンドがやっている音楽が他ならぬパンクであるのも重要です。パンクは反抗の音楽ですから。とはいえ、このドラマもレディパーツたちもイスラム教に反抗しているわけではありません。いつもヒジャブを被っているメンバーもいますし、彼女たちなりに信仰心は持っているようです。

 

 では、何に反抗しているのかといえば、家父長制であったり、ムスリムであるがゆえに受ける差別的な視線であったり、そういったものだと思います。ただ、そうとも言い切れないようなところも感じました。

 

 第4話あたりで、レディパーツに直接「イスラム教の伝統的な慣習に反抗しているのか?」といった質問している場面があるのですが、どうも濁したような返答をしています。リベラル派の分かりやすい主張に取り込まれるのも、それはそれでどこか居心地が悪いといった気持ちでしょうか。

 

 明確なメッセージを読み解くのは私では知識不足なのかもしれません。それでも、ムスリムの女性たちがパンクをやっているのは応援したくなります。

 

 この前、ディズニープラスで配信されているドラマ『セックス・ピストルズ』を観ました。言うまでもなく、イギリスの元祖パンクロックバンドを描いた伝記ドラマです。そのときに、ドラマのクオリティは別として、少しもやもやしたものを感じました。

 

 セックス・ピストルズの構成メンバーは、イギリスの労働者階級出身なので、富裕層や政府への批判をしています。1970年代という時代背景を考えれば理解できますし、それで人気を博したようです。それは納得しています。

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 ところが、例えば今の世の中で、白人男性4人組が何かへの批判の歌を歌ったらどうでしょう。たぶん誰も聞きません。現代では、白人男性の立場の強さが明らかになったので、彼らが歌ってもメッセージ性が弱いんです。実際、最近では男性アーティストによるパンクやロックは、全然ないような気がします。

 

 今は、むしろ女性アーティストがパンクをやる時代です。去年ぐらいから、ロサンゼルス出身の女性4人組バンドのリンダ・リンダズが最近注目されています。今年のサマソニにも来ていました。そのメンバーは全員アジア系かラテン系です。

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↑ Linda Lindasが自作の曲Racist, Sexist Boyを披露している動画。人種差別、女性差別主義者へ捧げるパンク。

 

 だから、今『絶叫パンクス レディパーツ!』のようなドラマが作られることは、妥当に感じます。実際にムスリム女性によるパンクバンドがあるのかわかりませんが、どこかから出てきても全然おかしくありません。現実社会を的確に反映しています。他にも、先ほどのリベラル派のインタビューとか、あるいはSNSでの炎上とか、本当に”今”のトピックがよく出てきます。

 

 あくまでもコメディではありますが、基本的に現実と地続きな展開をするので、話がすんなり入ってきます。共感できるポイントも多い。社会的な背景とかごたごた書いてきましたが、要はレディパーツたちが自分の好きな音楽を思いっきりやっているのが、本当に楽しそうだし、観ていて嬉しくなります。だから、このドラマ、最高なんです!

 

 海外ドラマ『絶叫パンクス レディパーツ!』シーズン1は、スターチャンネルEXで配信中。スターチャンネルEXには、AmazonプライムビデオまたはApple TV+経由でも加入することができます。初回7日間無料、その後は月額990円(税込)です。

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