麻薬をテーマにした海外ドラマはたくさんありますが『スノーフォール』はその原点の話です。1980年代のアメリカで実際に起こったコカインの大流行を題材に、ある青年、プロレスラー、CIA捜査官の3人の視点から描きます。今回は、ネタバレなしで海外ドラマ『スノーフォール』シーズン1の紹介と感想まとめていきます。
シーズン1基本データ
- 原題:Snowfall
- 放送局:FX
- 放送期間:2017年7月5日~9月6日
- 話数:10
- 脚本:ジョン・シングルトン(映画『ボーイズ’ン・ザ・フッド』)
- キャスト:ダムソン・イドリス、セルヒオ・ペリス・メンチェータ、カーター・ハドソン
- あらすじ:舞台は、1983年のロサンゼルス。19歳の青年フランクリンは、コカインビジネスに手を出そうとしていた。
- 予告編:
海外ドラマ『スノーフォール』シーズン1~5は、ディズニープラスで配信中。月額料金は990円(税込)、年間プランなら9,900円(税込)です。
海外ドラマ『スノーフォール』とは?
クラックとは、コカインに化学処理を施して、通常のものよりさらにハイになれて中毒性も高くなれる薬物のことです。1980年代にクラックが安価に製造できるようになったことにより「クラックブーム」と呼ばれるクラックのブームが起こりました。
ドラマ『スノーフォール』は、クラックブームの始まりがメインテーマになっています。snowという言葉は、コカインの隠語の一つとしても使われているので、snowfallというタイトルも「コカインの始まり」みたいな意味があるのでしょう。ロサンゼルスの話なので、本物の雪は出てきません。
主人公は3人。1人目は、フランクリンという19歳の青年。それまでは、少しだけ麻薬を売っていただけだったのですが、コカインビジネスという大きな賭けに出ようと決心します。コカインの供給組織とコネがあるわけでもなく、大量のブツをさばく方法も知らないフランクリンが、成功することは出来るのでしょうか?
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2人目の主人公は、プロレスラー(ルチャドール)で、"熊"と呼ばれている大男のオソ。裏では、麻薬カルテルの殺し屋をやっています。カルテルのボスの娘は、カルテルとは別に独自でコカインの卸売りをやっているのですが、オソはこっちのビジネスにも協力するようになります。
3人目の主人公は、CIA捜査官のテディ。ひょんなことから、麻薬を売ることで海外の政府反乱軍の支援をするミッションを負います。
ドラマは、この3つの物語が同時進行で描かれていきます。基本的には、それぞれ別個で話が進んでいくものの、ときには話が交差することもあります。青年、プロレスラー、CIA捜査官という取り合わせは奇妙にも感じますが、それぞれの視点からクラックブームの全体像を見ていくことができます。
感想
3つのストーリーの中で、一番面白いのはフランクリンの話。彼は、最初の頃は、特に変わったところのない青年です。賢い方ではあるのですが、大学には行っていません。コカインに関しても、特に詳しいわけではありません。
そんな彼が、ときに度胸を発揮し、ときに交渉力を発揮してコカインビジネスを成功させようとしていきます。こんな話、面白いに決まっているじゃないですか!
フランクリンも、一人でビジネスをやっているわけではありません。馴染みの友達2人も協力しています。この3人とのやり取りが、さりげないようで凄く良い。フランクリンが真面目なタイプなのに対し、レオンとケヴィンは少しばかり楽しみながら参加しているところがあります。
やってることは麻薬ビジネスなのですが、親友3人で何かをやるというのは楽しそうですよね。しかも若いですから。稼げれば、楽しいんですよ。やってることがやってることなので、当然、楽しいばかりでは済まないわけですが。
フランクリンの叔父さんが、その界隈のことには多少詳しいので、強力してくれています。この人も人間味があるので、観ていて楽しい。
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ルチャドールのオソもカッコイイ。存在しているだけで、カッコいい。特にこういった世界だと、オソのようなガタイが良い男が味方にいると安心感があります。忠義にも厚い人ですから。オソさえいれば、おそれ知らず。
CIA捜査官のテディの話は普通かな。このドラマは、ストーリーが3つもあって、登場人物や組織も多いので、やや複雑な部類の作品になります。中でも、FBIの話に関しては、展開の省略が多いように感じ、正直何をやっているのかよくわかりませんでした。
そうは言っても、他の2つのストーリーが十分に面白いので、自分は大満足でした。まさに、こういったものが観たかった。派手な盛り上がりは大してなくても、映像や音楽のセンスは良く、魅力的なキャラクターたちが登場します。
海外ドラマ『スノーフォール』は、ディズニープラスで配信中。月額料金は990円(税込)、年間プランなら9,900円(税込)です。
余談
『スノーフォール』の設定を聞いて、最初に思い浮かんだのが『THE WIRE/ザ・ワイヤー』のシーズン4。黒人貧困層の少年たちを描いた傑作シーズンですね。『スノーフォール』は、思っていたほどには『ザ・ワイヤー』っぽくはなかったのですが、通底するテーマとしては同じものがあります。『ザ・ワイヤー』はU-NEXTで全シーズン観られるので、観たことがない人はぜひ観てください。