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Netflixドラマ『KLEO/クレオ』感想|元東独スパイの逆襲

 ドイツのドラマが面白いという記事を先日書きましたが、今度の新作ドイツドラマ『KLEO/クレオ』も期待を裏切りません。元東ドイツの殺し屋のクレオ・シュトラウブは、戦闘力が高く、非常に有能ですが、ときどきキュートで、とても魅力的なキャラクターです。今回は、Netflixドラマ『KLEO/クレオ』の感想をまとめていきます。軽度のネタバレあり。

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基本データ

  • 原題:Kleo
  • 配信:Netflix
  • 配信日:2022年8月19日
  • 話数:8
  • 主演:イェラ・ハーゼ

予告編

youtu.be

※このドラマの内容は実話ではありません。ただし、主人公の生い立ちなどといった背景情報については、事実をもとにした部分もあると言われています。

 

 このドラマの面白さはキャラクターの面白さ、特に主人公のキャラクターの良さにあります。主人公は、事あるごとに「クレオ・シュトラウブなのであります!」といった調子で自己紹介をしていますが、これがだんだん可愛らしく見えてきます。

 

 東ドイツの政府組織で非公式の暗殺者をしていたクレオは、ビッグエデンでの仕事の後、濡れ衣を着せられて投獄されてしまいます。数年後、東西ドイツの併合に伴い、政治犯には恩赦が与えられ、クレオも釈放されました。そこから、クレオは自分を裏切った者たちへの復讐を目指します。

 

 この設定が良い。1989年に社会主義は完全に敗北し、クレオが信じて人生を捧げてきたイデオロギーがいきなり消滅してしまいました。これは、クレオのかつての同僚や上司たちも同じ。その中で、新たな生き方を探す必要があります。クレオがマヨルカ島で出会う元上司は、今の東ドイツの混乱した状況を活用して資本主義的なビジネスを始めています。間接的な手のひら返しです。クレオの新たな生きる目的は何かというと、復讐です。

 

 クレオは、刑務所にいるときにお腹の子どもを流産してしまいました。そのこともあり、より一層復讐に情熱をかけています。小さい頃から訓練を受けていたおかげで、殺し屋としてのスキルはピカイチ。戦闘力が高いのはもちろん、変装だってしちゃいます。

 

 クレオ自身、というより演じている女優のイェラ・ハーゼの顔は、ドラマ『ハンドメイズ・テイル』や『マッドメン』などに出演しているエリザベス・モスに似ています。目元は、たまにレア・セドゥっぽかったりもしますね。イェラ・ハーゼのインスタグラムのフォロワー数は100万人を超えていますから、ドイツではかなり人気のある女優なのでしょう。私はこのドラマで初めて知ったのですが、観始めた最初はそれほどでもなくても、見れば見るほど魅力的に見えてきました。

 

 

 クレオがころころ衣装を変えて、ユーモラスに標的を殺していく姿は、ドラマ『キリング・イヴ』の殺し屋ヴィラネルを思い起こさせます。映画の女性殺し屋は、男勝りなサバサバ系か極端にセクシーなタイプが多いですが、ヴィラネルやクレオはもっとナチュラルな印象です。キュートではあるのですが、殺し方には容赦がなく、恐ろしい存在にも見えます。その方がキャラクターとしても面白いので、こういった殺し屋はもっと見てみたいですね。現実じゃなくて、スクリーン上で。

 

 クレオの得意の武器は、ファンデ―ションケース。その中には、フグから取れるテトロドトキシンという毒を粉末化させたものが入っています。フッと相手に吹きかけるだけで倒れてしまうほどなので、かなり強い毒です。ちなみに、余ったフグは後でクレオが美味しくいただいています。

 

 クレオには、仲間もいます。1人目は、かつて自分が住んでいたアパートの部屋に現在住んでいるティロという男。ティロは、たいていいつも上半身か下半身が裸です。クレオは、1人で寝るのが嫌だという性格なので、新しく住むことになった祖父の家にティロを呼び出して同居するように言います。「寝る」というのは、本当に寝るだけなので、クレオとティロの間には性的な関係は全くありません。それでも、なぜかずっと同居し続けています。

 

 ティロは、クレオの元の仕事のことも復讐のことも知りません。本当に居候してるだけ。クレオの生きる目的は復讐ですが、ティロの生きる目的はドイツにパンクを広めること。そもそも、ティロはどこかの星からやってきた異星人だと自称しています。そんなクレオとティロの全く嚙み合わない独特な関係が楽しい。

 

 もう1人の仲間は、刑事のスヴェン。クレオを殺人容疑で追っているので、仲間ではないかもしれませんが、クレオと対決したら間違いなく負けます。つまり、スヴェンは実質的にクレオに生かされてようなものなので、まだ生きているということは仲間です。頑張りが空回りしがちな刑事ですが、一緒に仕事をするのは楽しそう。

 

 あと、これはどちらかというと敵ですが、ミン・スンという中国系ドイツ人の捜査官がカッコ良かった。足蹴りでマッチを付けたところで惚れてしまいます。高い戦闘力がある割に、その能力を実践で使う機会は少なかったですが、もしシーズン2があるなら活躍してくれるでしょうか。

 

 ストーリーは、要はクレオがかつての上司たちに復讐をしていくだけなので、さほど難しいものではありません。いくつか組織が出てくるので、ちゃんと考えようとするとややこしくなりますが、とりあえず軽く把握しておけば大丈夫でしょう。シーズン2が製作されることになったら、改めてストーリーを要約してこの記事に書いておきたいと思います。

 

 結論として、このドラマはとても楽しかった。笑いあり、アクションあり。スパイものとしてのストーリーも面白かった。キャラクターは最高で、社会主義の崩壊という背景をしっかり取り込んでいたのも良かったです。ストーリーはシーズン1でほとんど完結していますが、ぜひともシーズン2も観てみたいと思える面白さでした。

 

*追記:シーズン2が制作されることが正式に発表されました!

↓ドイツ語なのでなんて言っているかわからないが、とにかく喜んでいることはよくわかるイェラ・ハーゼのインスタグラムの投稿。

 
 
 
 
 
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