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Amazonドラマ『ジェン・ブイ』ネタバレ感想&レビュー|このスーパーヒーロー大学、闇が深すぎる

 Amazonプライムビデオの大ヒットドラマ『ザ・ボーイズ』のスピンオフドラマ『ジェン・ブイ』が始まりました。今度の舞台は大学。これまでとは違った視点から描かれる新たな『ザ・ボーイズ』の物語です。

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概要

  • 原題:Gen V
  • 配信:Amazonプライムビデオ
  • 配信日:2023年9月29日~11月3日
  • 話数:8

予告編(成人向けの表現を含みます)

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ネタバレあらすじ

 ゴドルキン大学は、スーパーヒーローを養成する名門校。クイーン・メイブ、ディープ、Aトレインはこの大学の卒業生である。ハンサムで強力なルーク・リォーダンは、学内ランキングで1位であり、次期セブン入りも確実だと思われていたが、突如ブリンカーホフ教授を殺害して直後に自殺してしまう。

 

 ルークの彼女だったケイトと親友だったアンドレは、地下施設「森」のことを知る。マリーとエマも協力し、エマは体を小さくして森に捕らわれていたサムを救い出す。サムは、自分に生体実験を行っていた医師を殺そうと家に行ってしまい、一同はそれを止めに向かう。しかし、それから数日間の記憶が消されてしまう。

 

 当初は、レイプ魔のルーファスが犯人だと思われたが、真犯人はケイトであることが明らかになった。ケイトは、学部長のインディラに指示されて、人々の記憶を消すなどしていた。「森」では、超能力者にのみ感染するウイルスの開発が進んでいた。

 

 ケイトは、インディラに反旗を翻し、森の超能力者たちを解放する。彼らは、しばし学内で虐殺を繰り広げたが、マリーやアンドレらによって粛清された。一連の出来事が落ち着きそうになった頃、ホームランダーがやってきて、マリーを倒す。結果的に、ケイトとサムが英雄ということになり、マリー、アンドレ、ジョーダン、エマは反逆者の烙印を押されて監禁された。

 

 

ジェン・ブイ

 今年に入って、洋画界隈では「スーパーヒーロー疲れ」という言葉が出てくるようになりました。近年、MCUは映画だけでなくDisney+限定のドラマシリーズも次々と乱発しており、ファンであってもさすがに追いきれなくなっている現状を指したものです。その影響はMCU以外にも及んでおり、2010年代に一世を風靡したスーパーヒーロー作品はここ数年に入ってから急に勢いを落としています。

 

 2019年に始まったAmazon Originalドラマ『ザ・ボーイズ』は、そんなスーパーヒーロー作品が席巻するエンタメ界を風刺するものとして始まりました。強力な力を持つスーパーヒーローたちが邪知暴虐の限りを尽くす『ザ・ボーイズ』の世界観は、MCUやDCのアンチテーゼとして人気を博しました。

 

 そして、ここにきてスピンオフドラマです。「スーパーヒーロー疲れ」の主な原因は、スピンオフ作品の膨大さと、それにも関わらずそれぞれの作品の内容が関わり合っているためにすべて観なければいけないという面倒臭さにあります。安易なスピンオフ展開は、MCUやDCと同じ轍を踏んでしまう危険性があります。

 

 それでもって『ザ・ボーイズ』のスピンオフドラマ『ジェン・ブイ』はどうだったのか。このスピンオフでは、本家とは雰囲気の異なる、エネルギッシュでフレッシュな新キャラクターたちが登場します。彼らは、ヴォート社のせいですっかり腐りきってしまった『ザ・ボーイズ』のキャラクターたちとは対照的です。彼らは、初期のスターライトのような希望を持っています。

 

 ジェン・ブイ(Gen V)とは、Z世代を意味するGeneration Zを略したGen Zをもじった造語。Vはヴォート社のV、あるいはコンパウンドVのVです。コンパウンドVによって育った世代というわけです。

 

新入生たち

 主人公らしきマリー・モローは、血を操る能力の持ち主。シンプルにグロい。でも、出血した人を治療することもできるので、能力としては悪くないなと思います。なにしろ、他の特殊能力は、どれも破壊することに特化していましたから。

 

 ルームメイトのエマ・マイヤーは、体を小さくしたり大きくしたりできるんだけど、自己肯定感が低すぎて可哀想。普通に使える能力だと思いますけどね。アントマンは、アベンジャーズ入りしてるんだから。

 

 ゴドルキン大学では、ルーク・リォーダンという青年が断トツの人気No.1の存在でした。アメリカの高校のアメフト部のクォーターバックみたい。大学でもそんな奴いるんだ。ともかく、彼はリア充だったので爆発してしまいました。このドラマの世界での死因第1位は体内爆発なので、仕方ないですね。

 

 ルークの暴走を止めたのがジョーダン・リーでした。性別を変えることができて、それぞれの性別によって使える能力が変わるようです。トランスジェンダーをモチーフにしたキャラクターです。どっちの性別のときも似合うようなジャケットを着ています。アジア系の親からはずっと男でいてほしいと言われていますが、本人はそんなことはお構いなし。そういうところとか、カッコいいですね。

 

 

 それに対して、本家と関連のあるキャラクターは、ダサさが極まっています。映画『セブンの夜明け』のバークは、セクハラかパワハラで炎上してしまったので、大学で演劇講師を始めています。テレビ界の人気者であるテックナイトに関しては、穴があったら入りたい秘密が明かされました。どいつもこいつも……。

 

森をめぐる思惑

 ルークの死後、一同は「森」の調査を始めます。「森」では、ヴォート社の関係者たちが超能力者たちを対象にした実験を行っていました。ただし、学部長のインディラの個人的な最終目標は、特殊能力者たちを殺す感染症ウイルスを作成すること。本家シーズン1第1話でホームランダーが飛行機を墜落させていましたが、あの中に父親が乗っていたらしく、能力者たちに人並ならぬ恨みを抱いているようです。

 

 それから、下院議員のヴィクトリア・ニューマンもヴォート社とは違う思惑を持っているようです。議員としては反ヴォート派ですが、実際には元CEOのスタン・エドガーの養女です。自身も、マリーと同じく血を操る能力を持っていることが今回明らかになりました。それなら、人々の頭を吹き飛ばすこともできるわけです。

 

 ニューマンは、森の研究者からウイルスを受け取ると、研究者は殺してウイルスだけ持ち帰っていました。この行動の真意は今のところ不明です。ウイルスの開発をやめさせたいのかもしれませんが、それならウイルスを持ち帰る意味がありません。能力者たちに対する切り札として、セーブしてあるのでしょうか。

 

 この「森」に関する一連の説明が『ジェン・ブイ』の5~7話のほとんどを占めていますが、それはスピンオフドラマとしてしくじっているなと感じました。MCUと同じ轍を踏んでいます。ヴィクトリア・ニューマンは、本家のキャラクターなので、『ジェン・ブイ』だけを観ていてもよくわかりません。しかも、彼女の行動は結局『ジェン・ブイ』の中で説明されなかったため、『ザ・ボーイズ』シーズン4に持ち越された格好になります。MCU的な面倒臭さが出てきました。

 

 中盤から終盤が「森」に関する説明に終始してしまっているため、ケイト以外のキャラクターはほったらかしになっています。サムとエマの交流は可愛らしかったですけどね。

 

ケイトの決断

 ケイトは、素晴らしく美しい人ですが、闇が深い。インディラには騙されてずっと利用されていました。そのせいで、ついに堪えてきた思いが爆発してしまい、森の超能力者たちを解放して皆で人間たちを虐殺し始めます。

 

 最終話は、大学での大虐殺のエピソード。かなり怖い。衆人環境で手当たり次第に人を殺し始めるのが、一番リアルな恐怖です。偶然居合わせてしまったアシュリーたちにも少しは同情します。

 

 ケイトは、最終的に左手を失ってしまいます。あんな大虐殺を引き起こしておいて、失ったのが左手だけなら良い方です。マリーは、最後にいきなり現れたホームランダーからビームを受けていましたが、なんだかんだ生きていました。

 

 しかし、4人は扉のない部屋に閉じこめられています。たぶん、今度はこの4人が「森」のようなところで人体実験を受けるんですかね。ミイラ取りがミイラになるというやつです。

 

 

総括

 ドラマ『ジェン・ブイ』は、すでにシーズン2に更新されています。その前に、おそらく2024年中には『ザ・ボーイズ』シーズン4を観ることもできるでしょう。『ジェン・ブイ』は、本家の補足的な説明をしすぎるきらいはあったものの、何人かのキャラクターは新鮮で面白く、血みどろのアクションシーンも楽しむことができました。願わくば、今後は本家とのクロスオーバーは控えめに、ツラみの深い学園ドラマとしての側面をさらに極めていってほしいなと思いました。

 

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