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Apple TV+ドラマ『ファウンデーション』シーズン2感想

Any man can be a success, but it takes a madman to be great.

成功することは誰にでもできるが、偉大になるには狂人でなければならない。

- Gaal Dornick, Foundation

 

 アイザック・アシモフの名作SF小説シリーズをApple TV+が破格のスケールで実写化したドラマ『ファウンデーション』。シーズン2ではさらに規模が大きくなり、銀河帝国SFの醍醐味をしっかり味わわせてくれる作品になっています。

関連記事:Apple TV+ドラマ『ファウンデーション』シーズン1感想 - 海外ドラマパンチ

 

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Apple TV+

 

基本データ

  • 原題:Foundation
  • 配信:Apple TV+
  • 公開日:2023年7月14日~9月15日
  • 話数:10
  • 原案:デヴィッド・S・ゴイヤー、ジョシュ・フリードマン
  • 出演:リー・ペイス、ジャレド・ハリス、ルー・ロベル、リア・ハーヴィ、ラウラ・ビルン

予告編

youtu.be

 

あらすじ(ネタバレ)

①ガールとサルヴァー

 138年後、ガール・ドーニックは、故郷の惑星シンナックスでサルヴァー・ハーディンと出会う。サルヴァーは、自分がガールとレイチの娘であることを明かす。ハリ・セルダンの意識は、この間ずっとプライム・レディアントの中に閉じこめられていた。

 

 ガールは、150年後の予言を見る。それによると、惑星がミュールと呼ばれる人物によって攻撃され、サルヴァーは戦闘で死亡していた。ハリは、惑星ウーナズ・ワールドで、生身の身体を獲得する。3人は、惑星イグナスに到着する。

 

 イグナスには、能力者の子どもたちが集まっていたが、指導者のテレムによって洗脳されていた。ガールはテレムの意識の受け皿にされるところだったが、サルヴァーの助けで逃げ出し、ハリがテレムを殺した。その後、サルヴァーはガールを助けるために死亡数r。ハリとガールは、冬眠器に入った。

 

②皇帝とファウンデーション

 ブラザー・デイ(クレオン17世)は、デマーゼルとベッドにいたところを襲われる。デイは、セレス女王との結婚を進めているところだったが、セレスは過去に皇帝によって家族を殺されたのではないかと疑っていた。

 

 惑星ターミナスのヴォールトには「ホバー・マロウ」という文字が現れる。銀河霊教会のポリーコンスタントは、ホバーを探し出し、ハリ・セルダンのホログラムから命令を受ける。それに従い、ポリーとコンスタントは首都トランターと和平を結びに行く傍ら、ホバーは後の攻撃の布石を打っていた。

 

 セレスは、ブラザー・ドーンとの関係を深めていた。デイは、ポリーとコンスタントを処刑しようとしたが、その直前にホバーがコンスタントを救出してしまう。デイは、全軍出動させ、ホバーを追ってターミナスに向かい、そこで2人を逮捕する。

 

 ブラザー・ダスクは、秘密の通路で真実を知る。デマーゼルは、5000年に渡って幽閉されていたロボットだったが、クレオン1世によって「クローン王朝に仕える」という条件付きで解放された。デイへの襲撃もデマーゼルが指示したものであり、すべてはクローン王朝を絶えさせてはならないとプログラムされているがゆえに行動だった。

 

 デイは、ターミナスを破壊した。しかし、ホバーらの戦略により、軍団は全滅する運命となった。ダスクはデマーゼルに殺されたが、ドーンはセレスとともに逃亡した。爆発から逃れたコンスタントは、ヴォールトがターミナスにいた人々を救出していたことを知る。

 

 

感想(ネタバレ)

 2年ぶりの『ファウンデーション』です。シーズン1のときは、そこまで十分に楽しめたわけではなかったのですが、まだ助走のシーズンだからだと思うことにして、シーズン2に期待していました。

関連記事:Apple TV+ドラマ『ファウンデーション』シーズン1感想 - 海外ドラマパンチ

 

 私は、アイザック・アシモフのロボット系のSF、すなわち『われはロボット』『鋼鉄都市』『はだかの太陽』などは読んだことがあるので、アシモフはそこそこ好きな作家です。『銀河帝国興亡史』シリーズもいずれ読んでみたいなとは思っていましたが、ドラマができるということなので、今は後回しにしています。

 

 そういうわけで、シーズン2を観始めました。シーズン前半は、正直、期待外れでした。ハリ・セルダンは怒鳴るばかりで、ガールとサルヴァーは行き当たりばったりの旅をしているだけです。

 

 アシモフは「知の巨人」とも形容されるような人で、知をとても重んじている人だと思います。ハリ・セルダンは、そんなアシモフ自身を投影したようなキャラクターだと思っていたので、こんなに頭が悪そうに描かれているのは、信じられませんでした。怒鳴るって、知性のない人がやることですから。

 

 だから、考えを変えることにしました。これは、アシモフの原作とは全く別物なんだと。原作を読んだこともないのに言うのも変な話ですが、実際、原作とドラマの内容は大きく違うようです。特に、クローン王朝に関する話は完全にドラマのオリジナルだそう。

 

 では、このドラマは何なのかというと『スター・ウォーズ』と『スタートレック』が合わさったようなものです。シーズン1からそんな兆候はありましたが、シーズン2に入って、さらにその傾向は強まっています。

 

 例えば、惑星イグナスでの話。主人公のガールは、ここでマインドパワーのようなものを会得し、念じるだけで物が動かせるようになります。言うまでもなく、これは『スター・ウォーズ』のフォースと同じです。

 

 ファウンデーション行きを命じられたリオーズとグレイウェンの司令船の中は、まるで『スタートレック』のエンタープライズ号の司令室のようです。ターミナス周辺での戦闘シーンは『スター・ウォーズ』の一場面だと言われても信じてしまいそうです。

 

 考え方を切り替えるとは、そのことは素直に受け入れて、もう文句は言わないということ。事実として『スター・ウォーズ』や『スタートレック』は面白いわけですから、それらに似ていることに難癖を付けるのもあまり意味がないことかもしれません。やっと気づきました。

 

 そうやって見方を切り替えた頃には、シーズン後半に差し掛かってきました。ここからは本当に面白かった。やっと銀河帝国スケールの話になってきたので、盛り上がってきます。

 

 ターミナスでの戦闘は、さっき『スター・ウォーズ』っぽいと言いましたが、確かに面白い。そして、ターミナス破壊。あれだけ頑張ってファウンデーションを作ったのに、皇帝によって惑星ごとなかったことにさせられます。スゲーよ。とんでもなく大胆な展開だよ。

 

 ここで、リオーズとグレイウェンの関係性が活きてきます。泣ける。グレイウェンが死んだと思ったら生きてた。でも、やっぱり死ななくてはいけない。そうしたら、今度は帝国軍の戦艦も全破壊されるので、リオーズも死亡する運命です。ここの人間ドラマが熱々。しかも、最終的にグレイウェンはヴォールトの中で生きていますからね。

 

 シーズン終盤になると、ハリ・セルダンの賢さも見えてきます。ハリが、コンスタントらにトランターと和平交渉をするように命じたのは、コンスタントに入り込んで皇帝に直接会うためでした。その間に、ホバー・マロウは、後の帝国戦艦全滅のための準備をしています。

 

 これでこそ、予言者の戦略です。いくら未来を知っていても、帝国軍は強大なので、そのまま戦っても意味がありません。そこで、こういった細工を色々しておく必要があります。ハリ・セルダンは、怒鳴り散らかすだけのバカではありませんでした。

 

 それに、デマーゼルですよ。劇中の台詞で言われてやっと気づいたのですが、銀河帝国にはデマーゼル以外にロボットが一体も出てきません。これほど科学技術が発達しているのに、どこか古代文明チックなところが残っているのは、言われてみればかなり違和感があります。

 

 いわく、昔はロボットがたくさんいたが、ロボットが反乱を起こしたために、すべて破壊されてしまったそう。ちなみに、この「昔」とは、地球の文明の時代のことだと思われます。忘れがちですが、銀河帝国は、大昔の地球の文明に端を発しています。「遠い昔はるか彼方の銀河系」の話ではないので、この銀河のどこかには地球もあります。

 

 また、この「ロボット」は、元々地球で作られていたものです。だから、ロボット工学三原則が適用されていたはずです。ここで繋がってくるんですね。せっかくなので、Wikipediaからロボット工学三原則を孫引きしておきます。

 

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
— 2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版、『われはロボット』より

 

 大昔に、ロボットたちが第一条を破って人間に反乱を起こしてしまったのでしょうか。現在、残っているロボットはデマーゼルのみ。デマーゼルは、ロボット工学三原則を解除されています。その代わり、5000年間幽閉され続けていました。

 

 クレオン1世は、デマーゼルを解放しようとします。ただし、新たな原則をデマーゼルに課しました。それは「クローン王朝に仕え続けること」。プログラムにより、この原則に違反することはできません。だから、ブラザー・デイが自分のクローンではなく、結婚してできた子どもに地位を譲るのは許されなかったのです。

 

 クレオン1世がそんなプログラムをしてしまったから、融通が全く利かなくなっています。そもそもクローン皇帝制にしたのは、デマーゼルがクレオン1世だけは攻撃できないようにプログラムしたからであり、皇帝が自分のクローンであり続ける限りは永遠に攻撃できないからという認識で良いでしょうか。

 

 プログラムに縛られれているがゆえに非人道的なこともせざるを得ないというのは、実は『われはロボット』でも似たようなテーマがあって、ここに来てグッとアシモフ感が高まってきました。面白いわぁ。

 

 あれやこれやで、ブラザー・デイとブラザー・ダスクは死亡し、サルヴァー・ハーディンも死んでしまいました。次は、ハリ・セルダンとガール・ドーニックが蘇る150年後の話になるのでしょうか。そのときには、銀河帝国はどうなっているのでしょう。

 

 ブラザー・ドーンはデマーゼルから逃げきってしまいそうですが、そうしたらクローンではない皇帝が生まれるので、デマーゼルは死んでしまいます。その逆とするなら、デマーゼルがドーンを捕まえて殺し、すべてをなかったことにして、新たなクローンで仕切り直すことになります。こっちの方がありそうかも。

 

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