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Apple TV+『窓際のスパイ』シーズン1感想|落ちこぼれスパイ集団の下剋上?

I want my people in here, doing nothng.

- Jackson Lamb, Slow Horses season 1

 

 イギリスのスパイが全員敏腕だとは限らないのかもしれません。MI5の公式任務で役に立たないので、スラウ・ハウスに送られて「窓際族」になってしまったスパイたち。彼らの活躍(?)を描くApple TV+のドラマが『窓際のスパイ』です。シーズン1のネタバレあらすじと感想をまとめました。

 

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基本データ

  • 原題:Slow Horses
  • 配信:Apple TV+
  • 配信日:2022年4月1日~4月29日
  • 話数:6
  • 原作:ミック・ヘロンの同名小説
  • 脚本:ウィル・スミス(俳優ではない)
  • 監督:ジェームズ・ホーズ
  • テーマ曲:ミック・ジャガー"Strange Game"

予告編

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 ドラマ『窓際のスパイ』はApple TV+で独占配信中。Apple TV+は初回7日間無料、その後は月額900円(税込)です。Apple TV+で配信されている作品は、すべてここでしか観ることができない独占配信作品です。

Apple TV+

ミック・ヘロンの原作小説

あらすじ

 MI5に所属するリヴァー・カートライト(ジャック・ロウデン)は、テロ対策訓練で大失態をやらかしてしまい、スラウ・ハウスに左遷される。そこにいたのは、ジャクソン・ラム(ゲイリー・オールドマン)が仕切る落ちこぼれ集団だった。彼らは、極右記者のロバート・ホブデンを調査するように指示される。

 

 リヴァーは、スラウ・ハウスで唯一の敏腕スパイであるシドニー(オリヴィア・クック)がホブデンのPCから盗んだ情報をMI5本部に届ける仕事を任される。本来は、情報の中身を見る権限がないにも関わらず、リヴァーは無理やりこじ開けて盗み見た。だが、暗号化されたその中身は、無意味な円周率だった。

 

 リヴァーは、勝手にホブデンの尾行を始める。途中でリヴァーと合流したシドニーは、自分がスラウ・ハウスにいる本当の目的はリヴァーを監視するためだと明かす。ホブデンの家に不審者が侵入したため、2人は家に突入したが、シドニーは撃たれて重傷を負ってしまう。

 

 不審者の正体は、スラウ・ハウスのジェド・ムーディであり、彼はMI5長官代理のダイアナ・タヴァナー(クリスティン・スコット・トーマス)の指示で動くだった。その後、ムーディはスラウ・ハウスの中で、パブ帰りのミン・ハーパールイーザ・ガイに見つかり、もみ合いの末に死んでしまう。

 

 この頃、大学でコメディクラブに陰ながら参加しているパキスタン系イギリス人のハッサン・アフメドが誘拐される。首謀グループは、極右団体「アルビオンの息子たち」のメンバーだと特定された。ところが、その4人のリーダーであるアラン・ブラックは、タヴァナーの部下だった。ハッサンは、パキスタン軍の重要人物の甥であり、極右組織の誘拐から救う演出をすることでイギリスとの関係を強めようという目算だった。

 

 リヴァーは、かつて訓練の一環としてダイアナの尾行をしていたことがあり、そのときにダイアナとアラン・ブラックとの面会の証拠も掴んでいた。ダイアナは、計画が失敗したら責任をスラウ・ハウスに押し付けるつもりだったが、ブラックとの面会が明らかになると言い逃れができなくなるため、そのような事態は避けたかった。記者のホブデンは、すでに誘拐事件がでっちあげだと気づいていたのだった。リヴァーとラムは、MI5本部に侵入し、証拠写真を手に入れる。

 

 誘拐犯グループのカーリーは、モー/アランがMI5のスパイであることに気づき、斧で殺害する。その後、誘拐グループの3人とハッサンは、車で移動することになる。キスの続きをしたいミンとルイーザ、ラムの秘書のキャサリン・スタンディッシュ、IT担当のロビー・ホーは、独自に誘拐犯たちを追っていた。

 

 カーリーは、さらに誘拐犯のゼッポーを殺す。目的地に着いたカーリーは、偽の古城の前にハッサンを連れていき、そこで処刑を実行しようとする。ギリギリのタイミングで、リヴァー、ミン、ルイーザが到着。空からはMI5のヘリがやってきたが、彼らはダイアナの指示でカーリーを殺そうとしていた。リヴァーらは、カーリーとハッサンを守り抜き、事件は終焉した。

 

 シドニーの記録はいつの間にかMI5のデータから消去され、生死不明の状態になった。ラムは、チャールズ・パートナーは自殺したとキャサリンに告げる。しかし、実際にはラム自身が手を下したのだった。

 

 

感想

良質エンターテインメント

 ゲイリー・オールドマン主演のスパイものといえば、2011年の映画『裏切りのサーカス』が思い浮かびます。イギリスのイケオジたちが集結したこの映画は、知的でシリアスな雰囲気だけでも十分面白いのですが、話の内容はとんでもなく難しい。スパイものは、大抵の場合、敵と味方と裏切り者の三つ巴で裏切り合いをやっているので、話が小難しいものがほとんど。

 

 『窓際のスパイ』もそんな雰囲気の作品なのではないかと身構えて観始めました。ところが、実際には(良い意味で)力の抜けたエンターテインメント作品でした。最初のシーンこそ、リヴァーが空港でテロリストを追っているので緊迫感がありますが、その後は気楽に観ていくことができます。

 

 ストーリーは明快。要は、MI5長官代理のダイアナが誘拐事件をすべてでっちあげていたので、スラウ・ハウスの面々は無事に人質を救い出そうと奮闘しています。誘拐犯の中にサイコパスが混じっていたので、勝手に仲間割れして事件が予想外の方向に転がっていくのも面白い。どんどん自滅していきます。

 

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↑各話のオープニングで流れるテーマ曲のStrange Gameはミック・ジャガーがこのドラマのために書き下ろしたオリジナルソング。

 

保守とリベラルのバランス感覚

 話はわかりやすいですが、その背景は現代の社会情勢を機敏に捉えています。スパイものの敵といえば、外国のテロリストやスパイが定番ですが、今回の敵はその逆。イギリス国内の極右グループが敵で、イスラム系の移民2世が救出すべき人質です。近年は、極右的なポピュリズム政党が世界各地で勢いを増しているので、全然フィクションには思えません。実際、ホワイトハウスを襲撃しちゃってる人たちもいるくらいですから。

 

 とはいえ、それを仕組んだのがMI5というのも皮肉なもの。こういう作りのおかげで、保守とリベラルのバランスが上手く取れているなと感じます。首謀グループが保守派だとすると、リベラルに寄った作りになってしまいますが、実はその裏に操る者がいたとすることで和らげています。そうはいっても、極右グループの中にサイコパスがいるのですが、こいつは誰が見てもヤバい奴なので、保守とかリベラルとか関係なく敵として扱うことができます。

 

 自分はリベラル寄りの思想を持っていますが、世界の約半数は保守です。たぶん。そうでなければ、保守政党が選挙で勝ったりはしません。その割に、ハリウッドの映画やドラマはだいぶリベラルに寄っているので、リベラルの押し付けだと感じる人がいるのもしょうがないのかなと思ったりはします。『窓際のスパイ』くらいバランスが良いと、幅広い視聴者から支持を集められそうですが、そう簡単ではないでしょう。なかなか難しい時代です。

 

憎めないスパイたち

 リヴァー役のジャック・ロウデンは、正統派イケメンといった雰囲気ですが、ちょっとした親しみやすさもあって好男子といった印象です。その割に、リヴァーは上司の命令を全く聞かず、独自に突っ走ってしまうタイプなのですが。

 

 ゲイリー・オールドマン演じるラムは、普段は屁をこいてばかりですが、やるときはやるタイプの上司。カッコいい。過去には、友人のチャールズ・パートナーを手に掛けたこともあるようで、意外と裏表の激しそうな人物です。

 

 ミンとルイーザはコメディ担当で、パブの後のキスをずっと引きずっています。とは言っても、第2~5話はすべて一夜の出来事なので、大して引きずっているわけでもないんですけど。仲良くやっていてくださいなという生温かい目で見ていました。

 

 問題は、シドニーです。2話の最後で撃たれて、その後はずっと寝たきり状態です。シーズン2の予告編にも姿を見せていないので、もしかしたらこれで退場してしまったのでしょうか。えぇぇ~~~! オリヴィア・クックをもっと見せてほしい。『ハウス・オブ・ザ・ドラゴン』だけじゃ足りないよ!

 

 というわけで、スラウ・ハウスの落ちこぼれスパイ集団は、今回の事件が終わってもスラウ・ハウスから脱出することはできていません。シーズン2は、2022年12月2日から。シーズン3とシーズン4が製作されることも既に決まっています。彼らの活躍は、まだまだ観ていくことができそうです。

 

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