海外ドラマパンチ

海外ドラマ最新情報・紹介・感想

当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

日本語タイトルが良い/悪い海外ドラマベスト5&ワースト5

 映画やドラマの奇妙な日本語タイトルに首を傾げたことがあるかもしれません。今回は、海外ドラマの邦題について語っていきます。海外ドラマの場合、日本語のタイトルは原題をそのままカタカナ表記したものがほとんどですが、中には日本独自のタイトルを付けていることもあります。その中から、私の主観で、原題よりも良くなった思う邦題ベスト5と誰にも観てもらえなさそうな酷い邦題ワースト5を紹介していきます。

 

*記事冒頭の画像は、以下の記事で名前が挙がった海外ドラマのタイトルで作ったワードクラウドです。

海外ドラマファン330人が選ぶ!歴代最高の海外ドラマベスト50 - 海外ドラマパンチ

 

前説

 邦題を付けるのは大変な仕事だと思います。たいていの場合は原題をカタカナ表記しただけで済ませることが多いですが、英語のタイトルはあまりにもシンプルすぎて、内容がさっぱりわからないことがあります。例えば『デクスター』(原題:Dexter)なんて、主人公の名前を言っているだけですからね。

 

 そこで、副題で内容を説明することがよくあります。例えば『デクスター 警察官は殺人鬼』といった具合です。副題のせいでダサい雰囲気になってしまうことはよくありますが、これは海外作品という性質上、大目に見なければいけません。アメリカなどの本国放送では、シンプルなタイトルでもCMや広告によって内容を宣伝することができます。一方、日本では海外ドラマのCMや広告などほとんどなく、映画雑誌の片隅にタイトルだけ載っていたり、最近だと動画配信サービスの画面にズラッと並んでいる中にあるだけだったりします。

 

 つまり、宣伝スペースが非常に限られているので、タイトルで内容を簡潔に説明した方が良いわけです。そんな事情を勝手に斟酌して、この記事では副題に関してはとやかく言いません。巨獣が出てこないのに『エクスパンス~巨獣めざめる~』とか、原題をどうしても入れたくて長くなってしまった『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』とかありますが、気にしません。メインタイトルのみに注目して、ベスト5とワースト5を交互に紹介していきます。

 

ベスト5位『ビバリーヒルズ高校白書』

原題:Beverly Hills, 90210

 海外ドラマに詳しくなくても、このタイトルは聞いたことがあるはずです。後半シーズンのタイトルは『ビバリーヒルズ青春白書』になっていますが、どちらにしてもシンプルで覚えやすいものです。一方、原題には、謎の数字「90210」が付いています。これは、ビバリーヒルズの郵便番号だそう。このドラマがヒットしたおかげで、今ではこの5桁の番号を覚えている人も多いかもしれませんが、そうでなければ5桁の数字を言われたってすぐに覚えられるものではありません。邦題が、90年代の日本のヒットドラマ『あすなろ白書』からパクったものだとしても、これは成功例でしょう。

 

ワースト5位『NYボンビー・ガール』

原題:2 Broke Girls

 カット・デニングスとベス・ベアーズが主演したこのドラマは、そこそこヒットしていて、6シーズン続きました。原題の2 Broke Girlsは「2人の破産した女子たち」みたいな意味です。要は、貧乏なガールズなので「ボンビー・ガール」も同じ意味ですが、言葉選びが残念すぎます。テレビ番組の『幸せ!ボンビーガール』をもじったタイトルだとは思いますが、ボンビーなんて言葉がすぐに死語になるのは明らかです。今の若い人にとっては、もはや意味不明なタイトルになっているのではないでしょうか。

 

ベスト4位『野望の階段』

原題:House of Cards

 1990年にイギリスで放送された政治ドラマです。後にNetflixでリメイクされた際も原題は同じですが、邦題は『ハウス・オブ・カード 野望の階段』になっています。今では、Netflix版が有名なので「ハウス・オブ・カード」と言えばこのドラマのことだとわかりますが、そもそもこの英語がどんな意味なのかはさほど知られていません。実際には、トランプで作った建造物のことで、日本語で言うところの「砂上の楼閣」みたいな意味があります。『野望の階段』は、原題の意味合いを全く含みませんが、端的で覚えやすく、政治ドラマであることも暗示させるタイトルです。

 

ワースト4位『ハイっ、こちらIT課!』

原題:The IT Crowd

 IT課の3人の社員の奇想天外な日常を描いたイギリスの人気シットコムThe IT Crowd。邦題には、カタカナ、ひらがな、読点、アルファベット、漢字、記号のすべてが含まれており、まるで強力なパスワードのようです。しかも、このドラマの登場人物たちは絶対に「ハイっ!」なんて元気な返事はしないでしょう。原題は「ITの人々」という意味で、とりとめのないタイトルではありますが、The Office(ジ・オフィス)というシットコムもあることを考えれば、シンプルで妥当なものです。

 

 イギリスのシットコムは、これに限らず酷い邦題を付けられているものがいくつもあります。例えば、The Inbetweenersは『思春期まっただ中』になり、The Thick of Itは『官僚天国~今日もツジツマ合わせマス~』になってしまいます。現在、いずれの作品も日本で観られない状況なのですが、これは、もしかしたらダサい邦題のせいで一時期上陸していたときに誰も観てくれなかったせいではないかと邪推してしまうほどです。

関連記事:英国コメディ『ハイっ、こちらIT課!』シーズン1感想|ギーク×暇=無限大 - 海外ドラマパンチ

 

ベスト3位『陰謀論のオシゴト』

原題:Inside Job

 2021年にNetflixで配信されたアニメ『陰謀論のオシゴト』は、あらゆる陰謀論の裏側で動いていた政府機関の職員の奮闘を描いています。邦題は、この内容をスッキリと伝えています。原題のInside Jobは、直訳すれば「内部の仕事」となり、わからなくもないけれどわかりにくい曖昧なタイトルになっています。邦題は、原題に比べると説明しすぎの傾向があるのですが、このくらいなら説明された方が良いのかなとも思います。

 

ワースト3位『グッド・ガールズ!~NY女子のキャリア革命~』

原題:Good Girls Revolt

 Amazonオリジナルドラマ『グッド・ガールズ!』は、原題をそのままカタカナにしただけの邦題に見えますが、実は単語が一つ省略されています。そのせいで、タイトルの意味が180度変わっています。revoltは「反乱」という意味であり、原題は「”お行儀の良い”女性らしさへの反抗」といったような意味合いが込められています。ところが、邦題には肝心の「反乱」の要素がすっ飛ばされており、最後に「キャリア革命」とふわっとした言葉を付け足しただけになっています。これでは、肝心のメッセージが伝わらないどころか、真逆の内容を思わせるタイトルになってしまっています。

 

ベスト2位『アンという名の少女』

原題:Anne with an E

 モンゴメリの小説『赤毛のアン』(原題:Anne of Green Gables)をベースにしたドラマです。原題は、アンが自己紹介をするたびに言うお馴染みのセリフです。自分の名前は、AnnじゃなくてAnneだと言っているわけです。しかし、日本語ではどちらも「アン」なので、この言葉遊びは通用しません。となれば、原作の『赤毛のアン』というタイトルを付けることも考えられますが、このドラマには原作から離れたオリジナル要素も多いため、正確だとは言えません。そこで、原題通りにちょっとした自己主張のあるタイトルの『アンという名の少女』が出てきたのでしょうか。シンプルで絶妙な邦題です。

 

ワースト2位『メディア王~華麗なる一族~』

原題:Succession

 原題は「継承」という意味で、世界的メディア企業のCEOの跡継ぎをめぐるドロドロの争いを描いたドラマの内容をシンプルに表しています。一方、邦題には「メディア」という言葉が入っていますが、ドラマで扱われているのがメディア企業であることはさほど重要ではありません。サブタイトルは、昔のTBSのドラマからパクったのでしょうか。

 

 このドラマの邦題がさらに酷いのは、他にも2つの邦題が存在することです。スターチャンネルで日本初放送されたときには『キング・オブ・メディア』とのタイトルが付けられ、次にAmazonプライムビデオで配信されるときには原題通りの『サクセッション』に変更されたものの、しばらく後にAmazonでも『キング・オブ・メディア』に変更。この頃リリースされたDVDのタイトルは『メディア王~華麗なる一族~』であり、現在、U-NEXTでの配信にも同じ邦題が使われています。そのせいで、視聴者に大きな混乱を招いています。

関連記事:海外ドラマ『メディア王~華麗なる一族~』のここが凄い!その魅力を徹底解剖 - 海外ドラマパンチ

 

ベスト1位『くたばれケビン!』

原題:Kevin Can F**k Himself

 タイトルに英語特有の表現が使われていると、邦題を考えるのは苦労すると思います。fuck yourselfとは「お前はどっか行ってろ!」みたいな意味のスラングですが、これをそのままカタカナにするわけにもいきません。そこで「くたばれ」の登場です。意味はピッタリです。このドラマは、シットコムと真面目なドラマが融合した特殊な形式を取っているのですが、タイトルの最後の「!」にはシットコムらしさもあり、原題よりもシンプルで的確にドラマの内容を表した邦題になっています。

関連記事:海外ドラマ『くたばれケビン!』感想:新感覚ブラックコメディ - 海外ドラマパンチ

 

ワースト1位『一流シェフのファミリーレストラン』

原題:The Bear

 2022年にDisney+(ディズニープラス)で配信が始まったこのドラマほど残念な邦題が付けられてしまった作品はありません。邦題だけでは、そもそもドラマなのか料理番組なのかもわからず、ほのぼのしたコメディを想像させます。しかし、実際には非常に尖った挑戦的なドラマです。兄弟が経営しているだけで「ファミリーレストラン」というのも若干違和感があります。原題のThe Bearもパッとしないタイトルだとは思いますが、シーズン1の最終話まで観れば、その意味はちゃんとわかります。例えば『ザ・ベア~一流シェフのファミリーレストラン~』という邦題にするだけでも、ずっとマシな印象になったのではないでしょうか。

関連記事:ドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』感想~厨房は戦場だ~ - 海外ドラマパンチ

 

 以上で、ベスト5とワースト5はおしまいです。もし、他にもツッコミどころのある海外ドラマの邦題を発見したら、ぜひ教えてください。

 

psbr.hatenablog.com