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ドラマ『SHOGUN 将軍』が既存の時代劇とは全く異なる4つの見どころを解説

 先月からDisney+(ディズニープラス)で、ドラマ『SHOGUN 将軍』の配信が始まりました。日本国内でもかなり話題になっているようです。とてもクオリティの高い作品で、特に日本の視聴者にとっては様々な切り口で楽しめる素晴らしいドラマです。

 

 従来のハリウッド作品とは比べ物にならないレベルで日本文化の正確な描写が徹底されている本作。その点に関してはすでに多くの記事で解説されているので、ここでは扱いません。代わりにこの記事では『SHOGUN 将軍』のアメリカドラマ的な側面について気づいたことをネタバレなしで書いていきます。

 

 ドラマ『SHOGUN 将軍』は、ディズニープラスで配信中。スタンダードプランは、月額料金は990円(税込)、年間プランなら9,900円(税込)。プレミアムプランは、月額料金1,320円(税込)、年間プランなら13,200円(税込)。

Disney+ (ディズニープラス)

 

 

 

鮮血と性の過激な描写

 『SHOGUN 将軍』の第1話を観れば、すぐにNHK大河ドラマでは絶対に見られないような描写があることがわかります。

 

 その一つは、外国人のジョン・ブラックソーンが漂着した村で目撃する切り捨て御免のシーン。ジョンの前にいた男の首が突然、刀で斬られたことによってなくなり、大量の血が飛び散ります。また、第1話では遊女がもてなすシーンがあり、ここでは女優の上半身が露わになっています。

 

 いずれもNHKの大河ドラマではできないような過激な描写です。本作を制作したのはアメリカのケーブルテレビ局のFX。アメリカでは、ディズニー系列のFXでの放送とHuluでの配信が同時に行われています。いずれにしても地上波ではないため、このような過激な描写も可能になっています。

 

 ただ、時代物の日本映画であれば、すでに様々な試みが為されているので、この程度であればもしかしたら先例はいくらでもあるかもしれません。

 

予告編

youtu.be

 

世界史の中の日本史

 日本が島国だということもあり、日本の時代劇において諸外国との関係にフォーカスされることは少ないように感じます。しかし、本作では主人公が外国人であるのみならず、ストーリーにも深く世界史的な要素が入ってきています。

 

 主人公のジョン・ブラックソーンはイギリスの商船に乗っていた船乗り。一方、当時の日本でヨーロッパとの貿易を独占していたのはポルトガルでした。

 

 ポルトガルの宣教師が大阪城にも出入りしているほどです。しかも、太閤亡き後の世を任された5人の大老のうちの2人はキリシタン。当時の日本ではポルトガルによる世界観が大きな影響力を持っていたことが伺えます。

 

 しかし、当時のイギリスも日本との貿易権を狙っていました。そのせいで、主人公とポルトガルの宣教師たちは敵対関係にあります。世界史を背景にした対立関係が盛り込まれているのが新鮮。

 

 

日本文化の真髄を知る

 1980年のドラマ『SHOGUN 将軍』は、放送されたときにはアメリカで大きな話題になり、日本文化を広めることにもなったそうです。それでも、当時の他の作品の例に漏れず、日本描写は性格とは言い難いものだったとか。

 

 本作では、徹底して正確な日本描写をすることに拘っています。それは日本文化を非常にリスペクトしている内容にも反映されています。

 

 ハリウッド作品で描かれる日本は、たとえ描写が正確だったとしても、欧米文化とは異なるエキゾチックなものとして取り扱っていることがあります。日本文化はクールかもしれないけど、自分たちのものとは違う理解できないものである。そんな雰囲気を感じることがしばしばあります。

 

 ところが、本作は本気で日本文化を理解させようとしています。それも表面的な部分ではなく真の意味から。切腹は本当はどんな意味を持つのか、主従関係とはどんなものであるのか。当時の日本の真髄がわかるような内容になっています。

 

 さらに、その根底には日本文化は決して欧米文化に対して劣ったものではないという心意気も感じます。決して日本文化こそが優れていると主張しているわけではなく、日本文化も欧米文化と同じく尊重されるべきものであると伝えています。ある意味では、近年の多様性の風潮を最も適切に捉えたメッセージであり、国際化が進む現代社会においては必須の考えではないでしょうか。

 

翻訳こそが肝

 本作には翻訳をするシーンが多く登場します。特に主人公に付き添って翻訳をする鞠子は、このドラマの最重要人物です。ハリウッド作品だと、海外が舞台でも俳優に英語を喋らせる場合が少なくないのですが、今回は日本人は日本語を喋っています*。

*注:ポルトガル語であるべきところは英語ですが。

 

 日本人は幸運なことに日本語がわかるので、翻訳がなくても日本人が言っていることがわかります。しかし、ドラマをよく見ていると、日本人が言っている内容とそれを鞠子が英語に翻訳した内容が微妙に違うことがわかります。逆の場合もよくあります。

 

 これはドラマの製作上の問題ではありません。わざとやっています。つまり、相手を慮って鞠子が発言の内容を改変しているのです。どのように改変しているのか。なぜ改変しているのか。そのあたりは毎回深読みできるので、既存のドラマとはまた違う斬新な楽しみ方ができます。

 

 

まとめ

 以上、ドラマ『SHOGUN  将軍』が日本の一般的な時代劇とは異なる4つのポイントを解説してきました。このドラマは基本的にはアメリカなど海外の視聴者を対象に製作されていますが、そのおかげで時代劇に疎い日本の視聴者にとっても入りやすい作品になっています。

 

 すでに時代劇に慣れている方も、ここで指摘したハリウッドドラマならではの4つの点などを斬新に楽しむことができます。ストーリー自体がそもそも凄く面白いので、ぜひご覧ください。

 

 ドラマ『SHOGUN 将軍』は、ディズニープラスで配信中。スタンダードプランは、月額料金は990円(税込)、年間プランなら9,900円(税込)。プレミアムプランは、月額料金1,320円(税込)、年間プランなら13,200円(税込)。

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