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海外ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』シーズン1&2感想

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If you were crazy, you'd fit perfectly in this town.

- Madeline Mackenzie, Big Little Lies season 1

 

 嘘も方便というのは便利な言葉です。あたかも、すべての嘘が正当化されるような言い回しです。でも、本当に方便に嘘を使っても良いの? 今回は、HBOの海外ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』シーズン1と2のネタバレ感想です。

 

 

 

『ビッグ・リトル・ライズ』基本データ

・原題:Big Little Lies

・放送局:HBO

・話数:14(各シーズン7話)

・原作:リアーン・モリアーティ『ささやかで大きな嘘』

・脚本:デヴィッド・E・ケリー

・予告編:

www.youtube.com

 

海外ドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』シーズン1&2はU-Nextで独占見放題配信中。 

 

登場人物/キャスト

マデリン・マッケンジー/リース・ウィザースプーン

 クロエとアビゲイルの母。事情通。あらゆる人に喧嘩を売りがち。自分が大学に行かなかったことを後悔している。

 

エド・マッケンジー/アダム・スコット

 マデリンの現夫。クロエの父。何を考えているのかわからない。

 

セレステ・ライト/ニコール・キッドマン

 双子の母。元弁護士。夫からDVを受けているが、それは愛情のこもった性行為の一部であり、いずれは改善すると思っていた。

 

ペリー・ライト/アレクサンダー・スカルスガルド

 セレステの夫。妻に暴力を振るう”モンスター”。

 

ジェーン・チャップマン/シャイリーン・ウッドリー

 ジギーの母。レイプされた過去を持ち、やり直すためにモントレーに来た。

 

レナータ・クライン/ローラ・ダーン

 アマベラの母。キャリアで成功しており、相当の資産を持つ。

 

ボニー・カールソン/ゾーイ・クラヴィッツ

 スカイの母。ヨガ教室を開いている。あまり社交的ではない。

 

ネイサン・カールソン/ジェームズ・タッパー

 スカイとアビゲイルの父。ボニーの現夫であり、マデリンの元夫。エドに対抗意識を燃やす。

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

シーズン1感想

 シーズン1は、斬新な構成のミステリーになっています。第1話で誰かが殺されたことは分かるものの、最終話まで誰が殺されたかが分かりません。物語のほとんどは、セレブな母親たちの友情や確執だったりするのですが、いずれ殺人事件が起こることが分かっているので、全体に統一されたサスペンスがあります。

 

 この構成は、アガサ・クリスティの諸作品、特に『ゼロ時間へ』を思わせます。『ゼロ時間へ』は、「犯行の瞬間=ゼロ時間」に向かって物語が進んでいきます。そこに至るまでの小説の大半部分では、事件の背景となる人間関係が丁寧に描かれていきます。

 

 『ビッグ・リトル・ライズ』でも、同様に物語の大半では、登場人物の複雑な人間関係が描かれています。リース・ウィザースプーン演じるマデリンのような、噂好きで顔が広い人物なんかも、アガサ・クリスティの小説にはよく出てきます。

 

 もちろん全てがクリスティ作品のようであるわけではなく、例えばニコール・キッドマン演じるセレステの境遇は現代的な問題を映し出しています。元々は弁護士としてキャリアを積んでいましたが、出産を機に退職。育児に励むようになったものの、夫からはDVを受けています。

 

 DVを受けている女性が、被害を報告しないことは、よくあることだと聞きます。ときには、直接聞かれても、DVなどなかったと夫を庇う場合もあるそうです。自分には、以前まで俄かには信じることができなかったのですが、セレステのケースを見ると納得してしまいます。DVを何かの愛情行為だと錯覚してしまっているのです。

 

 アレクサンダー・スカルスガルドがDV夫であり、さらには強姦魔であることが分かったときには、なんとかこいつが殺人の被害者であるようにと祈っていましたね。良かったですよ。セレステもジェーンも命を失うようなことがなくって。

 

 ささやかなブラックジョークも、このドラマをさらに面白いものにしています。例えば、第1話から事件関係者を知る大人たちが取調室で話している場面があるのですが、なんだか都合の良いことを無責任に言っているのです。

 

 マデリンの娘のクロエも、良かったな。小学1年生なのに、母親そっくりの事情通になっています。そんなにませた子供で大丈夫なのかと少し心配になるくらい。

 

 

 

シーズン2感想

 シーズン1のラストで、大きな秘密を共有することになった“モントレー5”に、再び危機が訪れます。その名は、メアリー・ルイーズ。セレステの夫の母親であるメアリー・ルイーズは、モントレー5のすべての嘘を掘り返して、孫を奪っていこうとします。

 

 とんでもなく、腹が立つキャラクターでしたね。メアリー・ルイーズを殴りたくなるたびに貯金をしていたら、自分はシーズン2だけで金持ちになっていたでしょう。

 

 メアリー・ルイーズだって、完全に悪い人ではないんですよ。彼女も、息子を失っているわけだし、セレステが精神的に不安定になっているのも事実です。でも、だからといって孫を奪って良いわけではありません。

 

 シーズン2に入って、マデリンの夫のエドのキャラが良いなとも思いました。マデリンの元夫のネイサンからサイコパスと呼ばれるほど、何を考えているのかよくわからない表情をしています。

 

 マデリンの浮気がバレたときには、相当キレていたようですが、それも仕方ない。サイコパスかもしれないけど、マデリンに対しては常に誠実に見えたので。

 

 レナータの物語も、なかなか重かった。レナータは、ビジネスでかなり成功して、相当の資産も持っています。しかし、女性がキャリアを求めるのを快く思わない人からは、悪く言われています。そのこと自体は、たぶん彼女にとってはいつものことなので、あまり気にしてはいないかもしれませんが。

 

 シーズン2では、彼女が築き上げた財産が一瞬にしてなくなります。夫のせいで。これはツラい。自分は何もしていないのに、夫がアホすぎて、全部なくなってしまうんですから。この男も、階段から突き落としてしまえば良かったのに。

 

 シーズン2の構成に関しては、脚本を手掛けるデヴィッド・E・ケリーお得意の法廷ドラマ要素が入っています。この人は法廷ドラマの名手と言われる人物で、『ボストン・リーガル』『アリー my Love』『弁護士ビリー・マクブライド』などを製作しています。

 

 シーズン2は、シーズン1の原作小説『ささやかで小さな嘘』の続編らしき短編がもとになっているそうですが、ドラマオリジナル部分も多いのでしょう。特に、終盤に裁判を持ってきて盛り上げるのは、デヴィッド・E・ケリーらしいところです。

 

 ドラマは、5人が警察署に自白に行くところで終わります。嘘の積み重ねがこれほどの出来事を招いてしまったので、それをすべて清算したわけです。シーズン1は、5人が事件の真相についての嘘を共有することで終わったので、それと対比するようなエンディングになっています。

 

まとめ

 もっと早く観ておけば良かった。『ビッグ・リトル・ライズ』シーズン1のクオリティは、もの凄く高い。ミステリーとして巧みであるだけでなく、現代の母親を取り巻く社会問題も取り入れられています。

 

 それと比べると、シーズン2は、やや見劣りしてしまうかなとも思います。メアリー・ルイーズという強敵が現れたことにより、5人が彼女に対して共闘するという方向性が明らかになっています。シーズン1の先読み不可能性によるサスペンスや、子供たちを使ったバチバチの人間関係みたいなものがないわけです。

 

 演技に関しては、もう言うまでもないでしょう。ニコール・キッドマンを筆頭に、リース・ウィザースプーンもローラ・ダーンもシャイリーン・ウッドリーもゾーイ・クラヴィッツも、そしてメリル・ストリープの怪演も素晴らしかったです。

 

 ニコール・キッドマンはその後も、『ビッグ・リトル・ライズ』のクリエイターのデヴィッド・E・ケリーが手掛ける『フレイザー家の秘密』や新作『Nine Perfect Strangers』にも主演しているので、興味があればぜひ。

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