海外ドラマパンチ

海外ドラマ最新情報・紹介・感想

海外ドラマ『ハンニバル』シーズン1感想:食前酒にブラッディメアリーを

f:id:presbr:20210709220320j:plain

Before we begin, you must all be warned. Nothing here is vegetarian. Bon appetit.

- Dr. Hannibal Lecter, Hannibal season 1

 

 ハンニバル・レクターは、架空のシリアルキラーの中では一番有名と言っても良いほどの知名度があります。トマス・ハリスが小説『レッド・ドラゴン』で生み出したキャラクターですが、映画『羊たちの沈黙』で一般にも知られるようになりました。

 

 今回は、そんなレクター博士の前日譚を描く海外ドラマ『ハンニバル』シーズン1のネタバレ感想です。ウィルとハンニバルの出会いから始まる第1シーズンを、各登場人物の心理状態の見立てとともに振り返っていきます。

 

 

 

 

海外ドラマ『ハンニバル』シーズン1基本データ

・原題:Hannibal

・放送局:NBC

・放送日:2014年2月8日~5月3日

・話数:13

・キャスト:ヒュー・ダンシー、マッツ・ミケルセン、ローレンス・フィッシュバーン

・予告編:

www.youtube.com

 

『ハンニバル』シーズン1診察ノート

 シーズン1が終わった時点で、各登場人物の心理状態と必要な処置について記した。本来ならば守秘義務があるが、事件の凄惨さを鑑みて、今回は特別に公開することに決めた。

 

アビゲイル・ホッブズ

 

f:id:presbr:20210709203801j:plain

Abigail Hobbs

 シリアルキラーの娘。最初は否定していたが、後にアビゲイル自身も父の殺しを手伝っていたことが明らかになる。実際に殺したのは、正当防衛による一人のみ。ただし、裁判だと過剰防衛になりそうな気もする。

 

 父親がソシオパスのシリアルキラーだというのは、本当に可哀そう。殺しに加担したのも、自分が殺されないためにやっていただけなので、責めることはできない。

 

 自分が関わって殺された少女たちのことを悪夢で見ていることから、自ら大きな罪悪感を抱いている。これ以上、罰する必要はないが、精神的なサポートは必要。レクター博士によるセラピーを定期的に受けること。

 

ギデオン博士

 

f:id:presbr:20210709203648j:plain

Dr. Abel Giddeon 

 元外科医。妻を惨殺したことで逮捕され、精神患者用の刑務所に入っていた。逮捕から2年後、チェサピーク切り裂き魔の手口を真似て、看護師を殺害。彼自身は、自分が切り裂き魔だったかどうかを覚えていない。

 

 結論から言えば、彼は切り裂き魔ではない。本物の切り裂き魔は、別の博士だからだ。しかし、ギデオンは精神科医から洗脳されたために、自分が切り裂き魔だと思い込むようになってしまった。脳をいじられた彼は、その恨みから担当医を殺していくようになる。

 

 切り裂き魔ではなかったとしても、人を生かしたまま内蔵を取り出したり、舌を切ってのどに突っ込んだりするのは異常。本来は要収監だが、ウィルに殺されたので終結。

 

フレディ・ラウンズ

 

f:id:presbr:20210709203910j:plain

Freddie Lounds

 凶悪事件を追う記者。ウィルのことを異常者だと書き立てる。犯罪現場に警察よりも早く到着している場合もある。ギデオンが逃亡した際には人質のような状態になっていた。

 

 取材力は非常に高く、凄惨な犯行現場であっても動じない。FBIにとっては迷惑な存在だが、ジャーナリストとしては有能。問題なし。

 

ジャック・クロフォード

 

f:id:presbr:20210709203638j:plain

Jack Crawford

 FBI行動分析課の捜査官。ウィルを捜査に招き入れる。ウィルを捜査にのめり込ませないと言いながら、精神科医の忠告を聞き入れず、ウィルは精神的に病んでしまった。アビゲイルにも、無理やり死体を見せたりするなど、強引な捜査手法は問題あり。

 

 過去に、FBI候補生のミリアムを捜査に関わらせたところ、切り裂き魔に殺されてしまったことがある。しかし、その教訓はウィルの場合に全く生かされていなかった。彼自身はタフなのかもしれないが、指揮官としては失格。交通整理担当に降格するべし。

 

ウィル・グレアム

 

f:id:presbr:20210709203633j:plain

Will Graham

 クワンティコ(FBIの訓練学校)で犯罪心理学を教える。現場では、犯人に憑依したかのように犯人の行動を再現することで、犯行の一部始終を明らかにする。たくさんの犬を飼っている。

 

 ジャックの要請で事件捜査に復帰したが、悪夢や幻覚を見たり、一時的な記憶喪失をするようになる。過去に実際に殺したのは、ホッブズとギデオン博士の2人。ともに射殺。

 

 ハンニバルは、ウィルのことを友人だと語っていたが、それは本当なのか?むしろハンニバルは、ウィルが自分の患者になったことを良いことに、上手く洗脳をしてウィルを精神的に追い詰めたと考えられる。

 

 しかし、洗脳とは言え、ウィルが非常に危険な人物になってしまったのは事実。銃を持たせてはならない。要収監。

 

ハンニバル・レクター博士

 

f:id:presbr:20210709203728j:plain

Dr. Hannibal Lecter

 元外科医の精神科医。料理が上手い。ファッションもエレガント。いつでも正装なのだが、どんなときでもそれが似合ってしまう。

 

 ウィルを数少ない友人の一人だと思っている。ウィルもハンニバルのことを友人だと思って、夜でもお構いなしに相談に来ることがある。ハンニバルは、何か事件が起こるたびに「ウィルが心配だ」と言い、知人の精神科医が殺されたときも「ウィルが心配だ」と言っている。

 

 問題なのは、本当にハンニバルがウィルを心配に思っているか否かということ。ウィルが精神的におかしくなってしまったのは、ハンニバルによる洗脳であることはほぼ確実。脳炎の事実を知ったにも関わらず、適切な治療を行わなかったなど、彼の犯行をウィルに押し付けようとしている節すらある。

 

 シリアルキラーとして有名な博士だが、殺し方に関しては特にこだわりを持っていないようだ。チェサピーク切り裂き魔は基本的に彼の犯行だが、他にもホッブズやジョージアの模倣犯も彼である。殺し方に独自のこだわりがあるのであれば、他人の殺しの流儀をパクるとは考えにくい。

 

 このことから、博士にとっては「人が死んでいる」という事実こそが重要であり、どのように死ぬかには興味がないことが分かる。単に、食材調達を目的としていることを考えれば、理解できる話だろう。狩猟の際に、どのように獲物を殺すかにこだわりがないのと同じ。

 

 他のシリアルキラーには、「人の眼から生気が消えていくのを見るのが快感だ」と語る者も少なくない。そういった殺人者は、どのように人が殺されるかが重要であり、殺され方に凝ることがある。その点からも、ハンニバルが単なる快楽殺人者ではないことが分かる。

 

 ハンニバル・レクターは、間違いなく超危険人物。ただし、殺し方にこだわらないはずのレクターが、なぜチェサピーク切り裂き魔と呼ばれる一連の独特な犯行を行ったのかは謎として残っている。要観察。

 

 

 

まとめ

 この前までは『デクスター』を観ていました。鑑識官がシリアルキラーというドラマです。『デクスター』は、主人公の犯行シーンが多く描かれ、主人公の正体がバレるかバレないかのサスペンスで物語を引っ張っています。

 

 対する『ハンニバル』シーズン1では、レクター博士の犯行シーンを、あまり描写していません。私たちは、ハンニバル・レクターがカニバリズムのシリアルキラーだという設定は当然のように知っているので、そのことを描く必要はないと判断したのでしょう。

 

 そのため、ハンニバルは得体の知れない人物になっています。視聴者であっても、彼が犯した事件の全貌を分かっていません。つまり、私たちの視点はよりウィルや捜査関係者に近いものになっています。前日譚ドラマとして、非常に上手い作り方です。

 

 シーズン1は、ウィルが監房の中からハンニバルに話しかけている、『羊たちの沈黙』を思い起こさせるようなシーンで終わりました。ウィルが捕まってしまったら、もう終わりではないかと思ったりもするのですが、この後は一体どうなっていくのでしょう?

  

psbr.hatenablog.com

psbr.hatenablog.com