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ドラマ『クイズ~100万ポンドを夢見た男~』感想|ミリオネアになりたいか?!

 日本でも、ひと昔前に「クイズ$ミリオネア」という番組が放送されていました。私が覚えているのは、レギュラー放送が終わった後の特番時代の「クイズ$ミリオネア」だったと思います。2010年頃でしょうか。そのとき、私はまだ小学生だったので、クイズの問題もよくわかりませんでした。でも、あの妙に薄暗い雰囲気とみのもんたの「ファイナルアンサー?」の問いかけ、そしてテーマ曲は今もよく覚えています。それほど印象的なクイズ番組でした。

 

 ドラマ『クイズ~100万ポンドを夢見た男~』は、元祖「クイズ$ミリオネア」であるイギリスのクイズ番組Who Wants to Be a Millionaireで実際に起こった事件を描いた全3話のミニシリーズです。事件の展開もさることながら、世界的人気クイズ番組が生まれるに至った経緯やクイズ好きの視聴者の熱意なども描かれ、3話でも充実した内容になっています。なお、この記事はドラマのネタバレを含みます。

 

 

基本データ

  • 原題:Quiz
  • 放送局:ITV
  • 放送期間:2020年4月13日~15日
  • 話数:3
  • 出演:マシュー・マクファディン、シアン・クリフォード、マイケル・シーン
  • あらすじ:イギリスITVでWho Wants to Be a Millionaireの放送が始まる。シンプルなクイズ番組でありながら、史上最高額の100万ポンドを賞金に掲げたこの番組は、たちまち大ヒットを記録した。やがて、100万ポンドを手に入れるため、様々な努力をする挑戦者が現れるようになる。チャールズ・イングラム少佐もその1人だった。彼は、序盤ではたどたどしく解答していたものの、着々と正解を積み重ねていき、最終的に100万ポンドが懸かったクイズに挑戦することになった。しかし、スタジオの裏側ではある疑惑が囁かれ始めていた。

 

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伝説のクイズ番組はいかにして生まれたか?

 第1話では、Who Wants to Be a Millionaireが生まれた経緯が描かれます。この番組は、後に日本でも「クイズ$ミリオネア」として放送されるなど、全世界100以上の国と地域でそれぞれのバージョンが作られたと言います。特に、インド版は映画『スラムドッグ$ミリオネア』の題材にもなり、アカデミー賞まで取っています。これほど全世界で人気を博したテレビ番組は他に存在しないでしょう。

 

 その人気の秘訣は、第1話でプロデューサーの「この番組は一般人の人生が変わる瞬間を捉えているんだ」という言葉に集約されています。だから、100万ポンド(約1億5700万円)という破格の賞金が用意されていますし、番組の雰囲気は異様にシリアスです。そして、視聴者も固唾を呑んで参加者の挑戦を見守ることになるのです。

 

 私はクイズ番組が好きなのですが、特に一般人が参加できるタイプの番組が好きです。「アタック25」「99人の壁」「高校生クイズ」などですね。昔の「ウルトラクイズ」もいくつかYouTubeで観たことがありますが、面白かったです。テレビで見てみたかった。

 

 初期の「クイズ$ミリオネア」と「タイムショック」にも一般人が参加していたようですが、途中から芸能人限定になってしまったのは残念でなりません。芸能人が大金を獲得するのを見たって別に嬉しくありませんから。

 

 「クイズ$ミリオネア」は、あの音楽も素晴らしい。日本で使われていた音楽も本家イギリス版と同じです。もの凄くテンションを高めてくれます。「人生が変わる瞬間」を捉えるのに最適なドラマチックな音楽なので、そのおかげで映画『スラムドッグ$ミリオネア』やドラマ『クイズ~100万ポンドを夢見た男~』の面白さも一段上がっているような気がします。

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ミリオネアに取り憑かれたマニアたち

 Who Wants to Be a Millionaireの賞金はあまりにも高額なので、クイズ好きの視聴者たちは、これを獲得しようと躍起になります。そのこと自体は当然のことであり、必死になっている挑戦者が登場するのは良いものです。でも、徐々に攻略法が編み出されていくようになります。

 

 最初は、電話予選でした。番組スタッフから掛かってきた電話で出題されるクイズに答えられたら、スタジオ予選に出演できるようです。スタッフは、同じ問題を使いまわすことがあるので、すでに他のクイズマニアと問題を共有できていれば攻略するのは簡単です。でも、必ずしも同じ問題が出されるわけではなく、また上手い具合にクイズ同好会の2人以上のメンバーに電話が掛かってくるとも限りません。

 

 となると、問題に一発で回答できる方法を編み出す必要があります。そして、それは編み出されました。問題は、大抵の場合、同じ本の内容を出展として出されているようです。たぶん、国の機関が出しているようなデータブックだったりするんでしょうか。日本だったら国立天文台の『理科年表』などが良い例でしょう。

 

 電話を受け取った人のそばでデータブックを準備しておき、回答するまでの数秒間で答えを見つけてしまうというわけです。言うのは簡単ですが、実行するのは難しそうです。今だったら、インターネットで検索してしまえば一瞬で答えが分かるので、そもそも電話予選なんて方法は使わないでしょう。

 

 次は、スタジオで行われる早押し予選です。4つの事柄が言われ、それを指定された順番で並び替えるという形式になっています。例えば、こんな問題を思いつきました。

 

問題 次の4つの歴史物語を成立したのが早い順番に並べよ。

 A. 今鏡 B.大鏡 C. 増鏡 D. 水鏡

 

 この問題の場合は、B→A→D→Cという順番でボタンを押すと正解になります。最も早く正解した人が、中央の席で賞金の掛かったクイズに参加することができます。このクイズは、攻略することはできません。たとえ、何らかの手段で外部の人間から答えを教えたとしても、それでは遅すぎて意味がないでしょう。

 

 だから、とにかく練習するしかありません。イングラム家では、早押しマシンを自作して徹底的に練習していました。そのおかげで、ダイアナ、エイドリアン、チャールズの3人は全員とも中央のホットシートに進むことができました。

 

 これは、ズルとは言えないと思います。誰でも練習することはできるので、どんな方法で練習するかはその人次第です。ただ、自作で早押しマシンを作ってしまう熱意は凄いと思います。そういう人を生み出してしまうほどのWho Wants to Be a Millionaireの影響力の強さも凄いですよねぇ。

 

疑惑の咳の真相

 そんなこんなで、チャールズ・イングラム少佐は中央の席にやってきました。しかし、この人はそもそもクイズがそれほど得意なわけではありません。妻とその弟がクイズ好きなだけであって、彼は流れに押されて出てしまったようなところがあります。そのため、最初の方の簡単な問題でも、いちいち考え込んでしまいます。

 

 ところが、クイズを一時中断し、その翌日に続きから始めたところ、少佐はどんどん正解を出していきます。しまいには、なんと100万ポンドが懸かったクイズにも正解し、ミリオネアになってしまったのでした!

 

 しかし、番組スタッフから徐々に疑惑の声が上がり始めます。疑われたきっかけは、少佐の答え方です。どの問題でも、最初に言った答えから変えて正解しているのです。さらに、少佐は解答する前に必ず4つの選択肢を1つずつ読んでいます。その中で正解の答えを言ったときに、スタジオのどこかから咳をする音が聞こえてくるのです。ということは、スタジオの中の誰かが少佐に答えを教えていたのでしょうか?

 

 少佐側の反論はこうです。毎回、途中で答えを変えていたのは、そうした方が番組として盛り上がったからだそう。咳は、正解の選択肢を言ったときに限らず終始どこかから聞こえていたので、クイズとは全く関係ないと言います。

 

 裁判は、少佐側の有罪で決着が付き、結局、彼は100万ポンドを手にすることができませんでした。でも、ドラマはもう少し微妙な描き方をしています。第2話の時点では、明らかに少佐がズルをしているように見えたのですが、第3話の反論で迷わせてきます。少佐は、実際に番組に向けてクイズの勉強をしていたので、実力で100万ポンドを獲得していたとしてもおかしくないだろうというわけです。

 

 真相は闇の中です。社会的には、裁判で有罪と決まっているので、少佐はズルをしたということになっていますが、果たしてどうなんでしょう。イングラム夫妻は、現在も無罪を主張しています。私としては、2人は単にクイズに熱を上げすぎたマニアだと思いたいです。でも、真相が明らかになることはきっとないんでしょうねぇ。

 

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