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打ち切るべきではなかった海外ドラマ①『マインドハンター』|それでも観てほしい理由

 海外ドラマにとっての最大の悪夢。それは、打ち切りです。どれほど素晴らしい展開を考えていたとしても、打ち切られたら永遠に実現することはありません。だからといって、ドラマの存在自体をなかったことにするにはもったいない作品もあります。ということで、打ち切りドラマにもスポットライトを当てていくために「打ち切るべきではなかった海外ドラマ」と題して紹介していきたいと思います。

 

 今回紹介するのは、Netflixオリジナルドラマ『マインドハンター』。映画『ゴーン・ガール』や『セブン』のデヴィッド・フィンチャーが監督を務めるこのサスペンスドラマは、現時点で打ち切りが公式に決まったわけではありませんが、実質的に打ち切り状態にあります。しかし、忘れされれてしまうにはあまりにも惜しいドラマです。『マインドハンター』が打ち切られてしまった理由とそれでも観るべき理由をまとめました。

 

 

 

基本データ

  • 原題:Mindhunter
  • 公開年:2017~2019年
  • シーズン数:2
  • 話数:19
  • 脚本:ジョー・ペンホールなど
  • 監督:デヴィッド・フィンチャーなど
  • キャスト:ジョナサン・グロフ、ホルト・マッキャラニー、アナ・トーヴ
  • あらすじ:凶悪犯の心理を分析して犯罪捜査に活用することを目指すFBI行動科学班創設初期の実話に基づくサスペンスドラマ。

予告編

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打ち切り理由

 『マインドハンター』は厳密には打ち切りが決まったわけではありません。しかし、シーズン2の公開からすでに3年が経っているにも関わらず、シーズン3の製作が全く行われていないことから実質的な打ち切りと見なされています。

 

 Netflixがシーズン3の製作をしていない主な理由は2つ。まず、デヴィッド・フィンチャーのスケジュールが取れないようです。とは言え、もしもフィンチャー自身が本気で『マインドハンター』シーズン3をやりたいならば予定を開けるはずですから、もしかしたら本人はシーズン3にあまり乗り気ではないのかもしれません。

 

 もう一つの理由が、製作費です。SFでもアクションでもない『マインドハンター』に高額な製作費が掛かっていると聞くと驚くのですが、実は1970年代の風景を再現するのにVFXが多用されています。その高い製作費用に見合う十分な視聴者数を獲得できなかったことから、Netflixは実質的な打ち切りの判断を下していると言われています。

 

打ち切りでも観てほしい理由

 『マインドハンター』は打ち切りドラマではありますが、個人的にはNetflixオリジナルドラマの中で最も優れた作品だと思っています。もし、Netflixを契約していて、サスペンス映画やドラマが好きな人なら絶対に観てほしい作品です。

 

 ドラマは実話に基づいており、実在の有名猟奇殺人犯とFBI捜査官の面談がメインで描かれていきます。サスペンスドラマに慣れていれば、机の片側に囚人服を着た犯人が座り、それと向かい合うように捜査官がファイルを持って話をする場面を何度も観たことがあるはずです。『マインドハンター』は、基本的にそういった場面ばかりのドラマなのですが、緊張感が桁違いです。会話をしているだけで、とてもサスペンスフルな瞬間を作り出しています。

 

 猟奇殺人犯の心理を探るというテーマ自体、とても興味深いものです。『マインドハンター』では、FBIの行動科学班が「プロファイリング」という捜査手法を確立していく過程を見ることができます。凶悪犯の心理状態を知り、そこで得た知識を次の凶悪犯を捕えるために活用しようという発想は、当時は完全に型破りなものでした。現代ではプロファイリングは重要な捜査手法の一つになっており、プロファイリングをテーマにした『クリミナル・マインド』という大ヒットドラマも生まれています。

 

 犯罪捜査系ドラマでは、捜査チームのメンバー間の関係も見どころの一つ。『マインドハンター』の主人公は3人。天才型だが時々暴走してしまうホールデン、FBI内での信頼の厚いベテランのビル、大学教授のウェンディ博士。3人それぞれタイプは違いますが、全員とても優秀で、プロファイリングを犯罪捜査に活用しようという目標は一致しています。

 

以下、軽度のネタバレを含みます。

 

打ち切るべきでなかった理由

 『マインドハンター』を打ち切るべきでなかった最大の理由はシンプル。めちゃくちゃ面白いからです。視聴者数も決して少なくはないはずなので、Netflixにはこういった作品にこそ潤沢な予算を与えてほしいものです。

 

 打ち切るべきではなかった別の理由として、BTKキラーの件もあります。シーズン2では、各話の冒頭で、謎の不気味な男が登場し、最後には女装してお面を被っている姿で現れました。このようなストーリーをシーズン2に入れたということは、シーズン3でこの男の事件を扱いたかったからに違いありません。

 

 謎の男の正体は、その後「BTKキラー」と呼ばれることになるデニス・レイダーです。BTKとは、緊縛(Bind)、拷問(Torture)、殺害(Kill)の頭文字を取った言葉で、デニス・レイダーがテレビ局に送った手紙の中で自らをそのように名乗っていました。彼が捕まったのは2005年のことなので、1970年頃を舞台とする『マインドハンター』がどれほどの内容を扱う予定だったのかわかりませんが、ぜひとも観てみたかったものです。

 

 シーズン2で打ち切られたドラマ『マインドハンター』は、Netflixで独占見放題配信中。シーズン3が作られることはなくても、素晴らしい2シーズンは残り続けます。

 

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