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英国ドラマ『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン 3つの事件』感想&解説

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 It' all game, Zen. You just don't know how to play.

- Zen "Vendetta"

 

 英国ドラマは好きでよく観るのですが、今回紹介するのは『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン 3つの事件』です。タイトルからわかる通り、舞台は花の都ローマです。同じBBCが制作した、『刑事ヴァランダー』の舞台がスウェーデン、『メグレ警視』の舞台がパリなので、英国ミステリードラマを観ているだけで世界旅行が出来てしまいますね。

 

 なお、ミステリードラマという性質上、ネタバレになりかねないことも書いています。特に、第1話はあまり前知識を入れずに観てほしいので、未見の方はこの記事の「登場人物」より下は読まないように気を付けてください。ネタバレを気にしない方、またはすでにご覧になった方は、ぜひ最後まで読んでいって頂けると嬉しいです。

 

 

 

 

『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン 3つの事件』基本データ

・原題:Zen

・放送局:BBC One

・放送日:2011年7月17日~31日

・話数:3

・一話あたりの長さ:90分

・キャスト:ルーファス・シーウェル、カテリーナ・ムリーノ

・あらすじ:

 ローマ警察殺人課のアウレリオ・ゼンは、汚職がはびこる同署内でも誠実な刑事として知られていた。しかし、すでに犯人が逮捕された事件の再捜査に関して、殺人課のチーフや内務大臣から圧力をかけられることになる。(第1話)

・予告編:(第2話「愛憎と陰謀」)

www.youtube.com

 

原作はマイケル・ディブディンの小説

 『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン』の原作は、マイケル・ディブディンのアウレリオ・ゼン・シリーズです。ドラマは、第1話が「血と影」、第2話が「陰謀と死」、第3話が「ラット・キング」を基にしています。

 

 イギリスの推理作家、マイケルディブディンはこの3冊を含めて、アウレリオ・ゼン・シリーズを11冊書いています。他に、サイコ・サスペンスの「密会」や、ホームズ・パロディの「シャーロック・ホームズ対切り裂きジャック」といった作品を遺しています。後者は、数あるホームズ・パロディものの中でも、怪作として知られています。

 

登場人物

アウレリオ・ゼン

 ローマ警察殺人課の刑事。汚職警官が多い中、彼だけは潔白な人物であるため、チーフから微妙な扱いを受けることがある。妻とは別居しており、母親と同居している。驚いたときの顔がかわいい(笑)

 

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https://www.imdb.com/name/nm0001722/?ref_=tt_cl_t1

 演じているのは、イギリスの俳優ルーファス・シーウェル。イギリス人らしからぬ顔の濃さから、この役をオファーされたのかな?映画『リンカーン/秘密の書』や『ジュディ 虹の彼方へ』などにも出演しています。

 

タニア・モレッティ

 殺人課チーフの秘書。誰もが憧れる美女であり、殺人課の中では誰が彼女と一番最初に寝られるかという賭けが行われている(不謹慎)。夫がいるが、あまり良い関係ではない。

 

Caterina Murino a Giffoni

 演じるのは、イタリアの女優カテリーナ・ムリーノ。ミス・イタリア・コンテストで4位に入賞するなど、その美貌は誰もが認めるところです。『007 カジノ・ロワイヤル』では、ボンド・ガールのソランジュ・ディミトリオスを演じました。

 

以下、ネタバレを含みます。

 

 

 

エピソード解説(ネタバレあり)

第1話「血の復讐」

 アウレリオはすでに犯人が捕まっているファソ殺害事件の再捜査を命じられる。その一方で、彼が過去に担当した事件で捕まった男が、アウレリオを殺そうと狙っていた。

 

 アウレリオ・ゼンの初登場エピソードで、そのことが上手く生かされたトリックになっています。まだアウレリオのことをよく知らない視聴者は、彼が周りの人間から「正直すぎる人物」だと言われ、彼自身も女性からのお誘いを何度も断っているところを見ると、彼は真っ当な刑事だと判断してしまいます。でも、実はそこがこのトリックのミソ。そのようなミスリードがいくつも張られたストーリーになっています。

 

第2話「愛憎と陰謀」

 名門貴族のルスパンティの死体が橋の下で見つかり、アウレリオは捜査をすることになる。一見すると明らかな自殺であり、大臣の方からも自殺として速やかに処理するよう依頼されるが、一方で判事からは徹底的に調査をして殺人であることを立証してほしいと言われる。果たして、真実はどちらなのか、そしてアウレリオはどうのように事件を解決するのか。

 

 第1話と比べると、何人もの思惑が交錯して複雑なエピソードになっています。「カブール」という秘密組織の存在が示唆されるなど、アウレリオが置かれる立場も複雑になっていきます。そんな状況で、アウレリオがどのように立ち回るかが見どころです。

 

第3話「欲望の渦」

 政治資金提供者のミレッティが誘拐され、毎度の如くアウレリオは大臣から彼を無事に取り返すよう依頼される。一方で、入院しているモスカーティの代わりに、堅物のヒューバーが殺人課のチーフに就く。

 

 冒頭のシーンから、最初の弁護士殺害事件は誘拐犯らによるものではなく、他の誰かによるものだということが、視聴者には何となくわかります。それでも、500万ドルの行方や、アウレリオの予測不能な行動が、この物語をミステリーとして面白いものにしています。

 

 

 

『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン 3つの事件』感想(ネタバレ)

 この記事がなぜこれほどネタバレの注意喚起をしているかというと、観た人ならわかると思いますが、第1話のトリックのためです。第1話の時点では、アウレリオは誠実な人間だと思われていますが、そこがこのトリックの鍵になっています。そして、アウレリオが汚いこともすると分かった第2話以降は、事件のトリックとともに、彼がいかにして自分の都合の良いように立ち回っていくかも見どころになっていきます。

 

 トリックとしては、やはり第1話のものが一番キレがありました。事件自体は結局、最初から捕まっていた奴が犯人ということなので、あまり衝撃的とは言えないかもしれません。しかし、アウレリオの企みには見事に騙されてしまいますね。

 

 第2話の秘密組織云々の話は面白いものの、犯人の動機がいまいちはっきりしなかったのが微妙に感じました。それでも、アウレリオが大臣の方とも上手くやり合って、最終的にすべてが彼の思うつぼになっていく様は面白かったです。

 

 第3話は、誘拐ものです。冒頭で、誘拐犯とは別に殺人犯がいることが示されてしまいますが、このトリックは非常に面白いものでした。大臣との駆け引きはあまりないものの、500万ドルをバッグに入れたり入れなかったりするアウレリオの策士っぷりは見事でした。

 

 『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン』は、ローマが舞台になっているところも魅力です。ローマらしい石畳の道や建物が頻繁に登場し、衣装もとてもエレガントです。イタリア系の美女も魅力的ですね。

 

『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン 3つの事件』まとめ

 BBC制作の英国ドラマ『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン 3つの事件』の感想&解説を書いてきました。アウレリオ・ゼンの策士っぷりとともに、時折見せるチャーミングな顔は、とても魅力的でした。もちろん、ローマの街並みやタニヤの美しさは、言うに及びません。

 

 さらに、各エピソードのトリックも面白いものが多かったです。事件自体のトリックはシンプルでも、大臣やアウレリオの行動が、このドラマをミステリードラマとして面白いものにしています。ストーリーもあまり難しくもないので、気軽に観るには良い作品だと思います。

 

 個人的には、アウレリオの活躍がもっと見たかったのですが、残念ながら『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン』はこの3話しか作られていません。なお、『ローマ警察殺人課 アウレリオ・ゼン 3つの事件』は、AmazonプライムビデオとHuluで配信中です。

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