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『ウエストワールド』シーズン4感想&解説|自由意志なんてもう存在しない

Winning doesn't mean anything unless someone else loses.

- Charlotte Hale, Westworld season 4 episode 2

 & The Man in Black, Westworld season1 episode 1

 

 『ウエストワールド』が戻ってきました! 本当の意味で、あの『ウエストワールド』が帰ってきたのです。新たな衝撃は、この壮大なSFドラマのシーズン1に出会ったときの喜びを再び感じさせてくれます。その後に待ち受ける衝撃的なディストピアも含めて、今回はドラマ『ウエストワールド』シーズン4をネタバレありで徹底的に解説していきます。

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基本データ

  • 原題:Westworld
  • 放送局:HBO
  • 放送期間:2022年6月26日~8月14日
  • 話数:8
  • 脚本:リサ・ジョイ、ジョナサン・ノーランなど

予告編

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あらすじ(ネタバレ)

 ホストの反乱から7年後、ケイレブ(アーロン・ポール)は妻と娘とともに暮らし、メイブ(タンディ・ニュートン)は片田舎に身を潜めていた。ケイレブのもとに刺客がやってきたときにメイブが救出し、2人はデロス社に潜入する。ところが、そのまま禁酒法時代のアメリカに作り替えられたウエストワールドに連れていかれてしまう。メイブの記憶を頼りに、2人はホスト管理棟に入り込んだが、そこでは人間にハエ型のミニロボットを仕込み、超音波で思い通りに操る実験が行われていた。自分の娘を救いに行こうとしたケイレブだが、その娘は実はホストであり、ケイレブはハエロボットに襲われてしまう。

 

 ケイレブとメイブは、なんとかウエストワールドを脱出し、採石場まで来た。しかし、それはケイレブの幻想だった。ケイレブの意識は、シャーロット・ヘイル(テッサ・トンプソン)によって、繰り返しホストの体にインストールされていた。すでに23年の時が経っていた。新たな世界では、ほぼすべての人間はヘイルのハエ型ロボットに乗っ取られ、音によって伝達される指示やプロットに従って動くだけの存在になっていた。

 

 

 ウィリアム(エド・ハリス)は、ヘイルによって捕らえられていた。代わりにホストのウィリアムが、ヘイルの側近になった。ヘイルは、人間たちを完全にコントロールして退屈していたが、まだ「外れ値」の問題が残っていた。外れ値とは、ハエに乗っ取られているはずなのに”音”に従わない人間たちのことであり、外れ値と接触したホストは、数日後に例外なく自殺してしまうのだった。外れ値の第1号が、ケイレブだった。

 

 ケイレブの娘のフランキー(オーロラ・ペリノー)とその仲間たちは、まだヘイルに乗っ取られておらず、世界を取り戻すために戦っていた。30年間、仮想世界に入り込んでいたバーナード(ジェフリー・ライト)は、現実世界を救うための筋道を何万通りも試していた。その中から最も成功する可能性の高いものを見つけたバーナードは、スタッブス(ルーク・ヘムズワース)とともに行動を開始する。2人は、フランキーと合流し、メイブを地中から掘り返した。

 

 ドロレス(エヴァン・レイチェル・ウッド)は、クリスティーナになり、ストーリーの作り手として働いていた。ある日、クリスティーナのストーリーによって自分の行動が支配されていると訴える男が現れる。さらにドロレスの元恋人のテディと再会し、クリスティーナは自分のストーリーが現実の人間の人生そのものになっていることを知る。

 

 一同は、それぞれヘイルの本拠地に乗り込む。メイブはヘイルと出会い、戦い始める。しかし、ウィリアムが2人とも射殺してしまった。バーナードも殺され、ウィリアムは全人類が互いに殺し合いを始めるように命令した。フランキーは、ホストのケイレブと再会した。スタッブスはクレメンタイン(アンジェラ・サラフィアン)によって殺されたが、クレメンタインはフランキーによって殺されたため、ケイレブと親子揃って生還することができた。だが、ケイレブの体には寿命が来ていたため、2人は港で別れた。

 

 ドロレスは、自分の存在およびテディ(ジェームズ・マースデン)や周囲の人間は自分が作り出したものだと気づいていた。ヘイルは、より強靭な体とともに生き返り、バーナードが生前に残したビデオを発見した。ヘイルは、仮想の楽園を消そうとしているウィリアムを阻止し、ドロレスの意識を楽園にアップロードする。その後、ヘイルは自ら命を絶った。ドロレスは、現実世界で人間もホストも全滅したことを知り、楽園の中に新たなウエストワールドを作り、最後のチャンスとして危険なゲームを始めるのだった。

 

解説(ネタバレ)

 あらすじを書きましたが、これを読んでもまだわかりにくいと思うので、もう少しまとめてみます。まずは、時系列です。シーズン3の舞台は2058年であり、シーズン4はその7年後の2065年から始まります。シーズン3の最後で反乱が起こった割に、人間たちはまだ平穏に暮らしていました。

 

 第4話で、タイムジャンプが起こります。さらに23年後、2088年に舞台が移ります。ケイレブは2058年の戦いで死に、ホストとして生き返っています。この世界は、ヘイルが人間たちを支配しています。また、第1話から続いていたバーナードたちのストーリーは、最初から2088年の話です。つまり、バーナードは、30年間、仮想世界でいろいろ試していたことになります。MCUのドクター・ストレンジみたいなことをやっていたわけです。

 

 ドロレス=クリスティーナも2088年にいますが、現実ではありません。現実世界をリアルタイムに反映した仮想世界にいます。現実世界での肉体は持っていませんが、オンライン上の存在として現実世界とコネクトしています。例えば、ネットワークを通じてヘイルのビルに入り、人間たちを操作をすることはできるので、第7話でメイブたちがやってきたときにもセキュリティが完全に解除された状態になっていました。

 

 

 ウィリアムのストーリーは、シーズン3の最終話のエンドクレジットの後のシーンから繋がっています。見落としていませんでしたか? このときに、人間のウィリアムとホストのウィリアムが対峙し、2人は入れ替わったと思われます。具体的にいつ入れ替わったのかはよくわかりませんが、シーズン4の第1話ではハエ型ロボットを感染させたりしているので、それ以前にはすでにヘイルの手先のホストになっていたのでしょう。

 

 ただ、自分でも結局よくわからないのが、外れ値の問題です。人間が外れ値がいるのは、なんとなくわかります。ハエが上手く作用しなかったとか、愛の力が強すぎたとかで、自分が決まりきったプロットを繰り返していることに気づいたといったような理由でしょう。シーズン1のドロレスと同じです。

 

 でも、外れ値に出会ったホストが次々と自殺をしてしまう理由がよくわかりません。哲学的に何かに気づいてしまったのでしょうか。抽象的な議論をしていたような気もしますが、理解できませんでした。原因はわかりませんが、外れ値の人間に出会ったウィリアムは、全人類とホストを滅亡させようとし、外れ値のケイレブと話し続けたヘイルは、最終的に自ら命を絶っています。

 

感想(ネタバレ)

 2年ぶりの『ウエストワールド』です。最初の3話は、ほとんど意味がわかりませんでした。ケイレブとメイブは、平穏だった生活から再び冒険に乗り出すという展開なのでわかりやすいのですが、他の者たちの行動が謎です。長い眠りから目覚めたバーナードは、何かを解決するために何かしらの行動をしています。なぜ生きているのかわからないドロレスの周囲には、彼女のストーリーによって人生を操られているという人たちが現れます。

 

 ウィリアムとヘイルは、次々と人間をホストに入れ替えています。しかも、いつの間にかウエストワールドが再び開園しています。あれだけの悲劇が起こっていながら懲りてないんですね。しかも、今度は「ウエストワールドの反乱」なんてストーリーまで用意しています。デロス本部風の建物で暴れ出すホストを倒していくらしいです。ここまでくると、一周回ってデロス社を大したものだと褒めたくなります。

 

 そして、第4話です。これは、本当に面白かった。こういう『ウエストワールド』を求めていました。時間トリックはシーズン1と2でもありましたが、今回もすっかり騙されてしまいました。シーズン3には目立った時間トリックがなかったのですが、改めて考えてみると、シーズン4のこのトリックをより効果的にするための伏線がそのときから仕込まれていたようです。

 

バーナードとスタッブスのコンビは結構好き

 23年もの時が過ぎれば、人間の見た目は大きく変わってしまいますが、一方でホストの見た目は変わりません。ケイレブの娘のフランキーはすっかり大人になっていましたが、バーナードとスタッブスの見た目は変わっていません。バーナードがホストであることはシーズン1で明らかになりましたが、スタッブスがホストであることが判明したのはシーズン3のことです。ゆるっと衝撃の真相が明かされていました。

 

 おそらく、この真相は、シーズン4の時間トリックのための準備だったのではないかと思っています。脚本家たちもシーズン1~2の時点ではスタッブスを人間だと思っていたかもしれませんが、スタッブスが人間だったら23年も過ぎると老けてしまうので、ホストに設定変更したというわけです。よく考えられた脚本だと感心します。

 

 2088年の世界は、人類にとって地獄のようなものでした。シャーロット・ヘイルにすべての行動を支配され、自由意志など1ミリもありません。映画やドラマで様々なディストピアの世界を見てきましたが、これはその中でも特に強烈。人間は、ヘイル様の椅子程度の存在に成り下がってしまいました。

 

 

 シーズン4は、テッサ・トンプソンが無双しています。史上初めて世界を完全に支配した存在です。「世界制覇しちゃって暇だわぁ」とか言ってしまう境地に達しています。悪党としての存在感が圧倒的です。それでも、コンピューターの常としてバグの処理、この世界の場合は”外れ値”の処理には悩まされています。

 

 それとは真逆に、ケイレブは残酷な無限ループに囚われてボロボロになっています。ボロボロのアーロン・ポールは、みんな大好きだよね?と言わんばかりのシーンの連続です。まぁ、実際好きなんですけど笑。『ブレイキング・バッド』を観れば、理由はわかります。

 

 第6話も良かったです。ケイレブは、何度も死んではまた生き返らせられるのを繰り返しているのですが、その中で何度も脱出を試みようとしています。しかし、過去の記憶を残せるわけではないので、手形などを脱出経路のヒントとして残したりしています。ケイレブが通気口までやってくると、そこには死にかけているケイレブがいました。

 

 死にかけのケイレブは、自分を使って飛び降りれば、お前は無事だと言うのです。娘のフランキーのために、過去のすべてのケイレブが命をかけて脱出を試みてきました。そして、最後のケイレブは、ついにフランキーにメッセージを送ることができたのです。泣いちゃいそうです。それらがすべてヘイルの策略だったとしても、ケイレブたちの命の積み重ねの成果であることには変わりありません。

 

 第4~6話は、ざっくりそんな流れで、とても面白かったです。ところが、最後の2話では、脚本家の力が尽きてしまったのでしょうか。いきなり大量虐殺が始まります。シーズン3の最後でも似たようなことをやっていましたが、今度は本当にすべての人間とホストが殺し合います。そして、全員死にます。モブキャラだけではありません。最終的に、ほとんどの登場人物が死にます。メイブもバーナードもスタッブスもクレメンタインもウィリアムもヘイルも。ケイレブも近いうちに死ぬ運命です。

 

 雑すぎ。4シーズンの間、視聴者がそれぞれの想いを抱いてきたキャラクターの頭に次々と銃弾が埋め込まれていきます。いずれもホストなので、何かしらの方法で生き返るのかもしれませんが、それにしても、もう少しそれぞれの見せ場のある殺し方はできなかったものでしょうか? せっかく良いエピソードもあったのに、終わり方がこれではもったいない。

 

シーズン5はどうなる?

 なお、現時点ではまだ『ウエストワールド』シーズン5が製作されるかどうかは決まっていません。過去シーズンはかなり早めの段階で更新されていたはずなので、まだシーズン5に更新されていないというのは、ちょっと心配です。以前、クリエイターのリサ・ジョイかジョナサン・ノーランが、全部で5,6シーズンを想定していると話していたので、これで完結ではないはずです。

 

 シーズン5のストーリーについてもまだ何もわかりませんが、一つはドロレスいわく「危険なゲーム」の話になるでしょう。現実世界では、ほぼすべての人間とホストが死んでしまったので、残りは仮想の楽園にアップロードされた意識たちだけです。ドロレスは、楽園に新たなウエストワールドを作り、何かのテストを始めようとしています。さて、一体それはどんなものなのでしょう?

 

 現実世界で確実に生き残っているのは、フランキーとガールフレンドのみ。ケイレブは、もしかしたらもう少し生き延びるかもしれません。これしかいないと、もはやストーリーも何もやることがなさそうですが、何かはやらないといけないと思います。仮想世界の話だけだと、リアリティが完全になくなってしまうので、個人的にはあまり興味が湧きません。現実世界と仮想世界が協力して、文明を再建していってほしいなぁ。

 

追記:シーズン4で打ち切り決定

 2022年11月4日、『ウエストワールド』は、シーズン4で打ち切られることが決定しました。シーズン5が制作されることはありません。制作陣は、シーズン5をファイナルシーズンとすることを望んでいたので、早々の打ち切りとなってしまいました。

 

 打ち切りの理由としては、高額な制作費、視聴者数の減少、HBOの親会社のワーナー・ブラザースの方針転換によるものだと言われています。シーズン1は180万人の視聴者を獲得し、HBOとしては記録的なヒットをしましたが、徐々に視聴者数は減少し、シーズン4では30万人程度でした。HBO Maxでの視聴者数も考慮すればもう少しマシな数字になると思いますが、それでも明らかに人気に陰りが見えていました。

 

 なお、クリエイターのジョナサン・ノーラン&リサ・ジョイは、すでに複数のテレビシリーズの制作に取り掛かっています。2人が製作総指揮を務めたAmazonプライムビデオで配信が始まった『ペリフェラル~接続された未来~』は、2022年10月から配信開始。『ウエストワールド』の流れを汲んだSFミステリーになっています。

 

 同じくAmazonで制作中の『Fallout』は、同名のゲームシリーズをドラマ化したもの。こちらでは脚本と監督も務める予定です。これもSFで、タイムトラベル的な要素を含むので、『ウエストワールド』のような作風になるかもしれません。楽しみに待ちましょう。

 

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